マンタムmantamu

美術作家、骨董商 2010年雑誌夜想の拠点パラボリカビスで個展開催。ヤンシュヴァンクマ…

マンタムmantamu

美術作家、骨董商 2010年雑誌夜想の拠点パラボリカビスで個展開催。ヤンシュヴァンクマイエル氏より「マンタム氏のオブジェを見ていると蝙蝠傘とミシンが手術台の上で素晴らしい会合をするというロートレアモン伯爵の名句から飛び出して来たとしか思えない」という言葉が贈られている。

最近の記事

    • 溶ける月

      溶ける月 その頃倉庫をアトリエに借りていて 熱くなり始めた夏の午後 シャッターの前を片付けていたら ずっと放置され雨水が溜まったバケツの中にいつか手に入れて行方のわからなくなっていたオウム貝が沈んでいるのを見つけたのです。 ああ、こんな所にあったのかと取り出しみると貝の表面は溶けて真珠層が剥き出しになった鈍く銀色に光る貝の表面が太陽を反射しているのでした。 それを見た瞬間それまで忘れていた事を思い出したのです。 それより何年か前にバイクでのツーリングに熱中していた時期がありバ

        • 麗子

          麗子 この作品は2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因しています。 この作品はあの日一瞬にして亡くなられたあまりにも多くの人々への追悼として作り始めたのですが 本当はあの日に人生で初めての鬱を経験した自分の為の作品だったのかもしれません。 麗子とは犬狼都市に出てくる麗子であり私の中ではシリーズ化されていて何人もの麗子が存在します。 この麗子は作っているうちにどうしても腹部に穴を開けたくなり 開けた穴には壊れたオウム貝を入れてしまいました。 それで漸くわかっ

          normal lamp

          normal lamp - 壊れた地下に残された街灯が鼠の死骸を照らしている 2024年 鹿骨 街灯 300000円  190cm30cm30cm 時々ですが現実と夢想の境界が曖昧になる事があります。 子供の頃家から少し離れた所にある塾に通わなければならなかったのですが、そこに至る道に狭くて小さなトンネルがあり、そこの蛍光灯が切れかかり、点滅を繰り返していたのです。 当時の私は、その点滅が時間を細切れに裁断しているように思え、その刻まれた時間の隙間から多数の死者が私を覗き見て

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          2024.Zaroff個展 骸 屍

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          骸muqro屍cavane

          遥か世界の果てから続く遠い砂漠を超えて現れたのは見窄らしい老人だった。 それでも眼光だけは力がありなにより強い言葉で話しかけてくるのだ。 彼は遠い世界から弱く庇護のない人々を救う事が目的であると言い触るだけで病を治し水をワインに変える事が出来た。 やがて多くの虐げられ搾取され続けていた人々が彼の周りに集まるようになっていた。 彼は言う この世界は何処をどう煮詰めても必ず不幸な人達を生み出すだろう。 教育も医療も福祉も全てを救済する事は出来ない。 それでも世界のほんの一握りの

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          ナトロン湖の鳥

          ナトロン湖の鳥

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          私はその地域で最後の1人となった年老いた漁師である。 妻と二人で暮らしている。 そこに取材で若い女性がよく来る様になり彼女は私達の世話をしてくれる。 それはありがたいことではあるがでも長く受け継がれてきた私達の漁は神との契約であり信仰を持たない外部の人間には知られてはならないものなのだ。 そこは気をつけないといけないだろう。 魚は死んだ者が姿を変えたものなのだ。 つまり川で泳ぐものも海を潜るものも皆死人になった成れの果ての姿が魚の正体なのだ。 多くの死がそうやって川や海

          Ἄνουβις

          私はずっと孤独だった。 この地域にいる最後の一頭になってしまったからだ。 元々は群れで動いていて死肉をあさっていた。 でもその事を理由に排撃される覚えはない 我々はそういう生き物だしそれも必要な事だから我々は一定数は増えてそれなりのテリトリーを持ち他の生態系と共存して来たのだ。 自体が変化したのは我々の仲間が土中に沢山の死肉が埋められているのに気がつきそれを掘り起こして食い始めてからだ。 それはヒトの言う墓地というもので神聖なものらしかったが我々には何の意味ももたなかった。我

          Dekadansu

          Zaroff  「 dekadence 」 マンタム作品展示 漫画 池袋万里  会場音源 田吹三千郎 2023年1月29日から2月11日(最終日は午後5時終了) 午後13時より午後19時まで 古道具屋アウトローブラザーズによる不可解な骨董市同時開催 尚会期中は休まず営業 私は終わりのはじまりに 世界の淵に立っている 未だ収束に至らない世界規模でのウイルス感染とかつての時代の如くfašistickýが政権をとり 世界の凡ゆる片鱗で戦争が勃発し 封印されていた筈の最終兵

          死者を器として背嚢にする

          南方戦線で飢餓から原住民の村を襲撃して捕らえられた兵士が寄生虫を植え付けられてそのまま身体の中身を食われヒトの抜け殻のようなものに変わり果てるがそれはその村の守り神として生まれ変わる作業でもありある種の即神仏のようなものだったのだ。 その村は2000年の昔から存続する村であり外敵から村を守る為に襲撃者をこの様なカタチで神にしてなかば見せしめのようにして襲撃を防いでいたのだ。 戦争が終結してかつての戦友が村に入りこの亡骸を返してもらったのだがそれはもうただの器でありその中に

          死者を器として背嚢にする

          滅びの国

          王国は既に潰えていた。 彼女が甘受してきたあまりにも贅沢な生活は 彼女が望んだ物では無かったが王族達の贅を尽くした暮らしはその民からの簒奪によって成立していたものだ。 それだから王族を倒し主権者となった民が彼女を赦すわけがなかった。 そのままにしておけば親族とともに残酷な死が与えられたであろうがまだあまりにも幼すぎそういう事がわかる筈もない彼女を哀れに思った王族に仕えた魔法使いが最後の力を振り絞り彼女の姿を子鹿へと変えて城外へと逃したのだ。 自身も殺到する民の目を盗みなんとか

          夜の王

          夜の王 彼は生まれた時はまだ鳥だった。 水鳥で さして大きくもない池で小さな魚を啄んでいたのだ。 だがある時長く暑い日が続き池は枯れていき彼の仲間達も他の多くの生き物達も池を捨てて何処かに飛んでいってしまった。 彼もそうしたかったが彼には生まれたときから羽が無かったのだ。 だから泥のようになった池に残るしかなく泥の中をほじくり返し虫を食べて食べる物がとうとうなくなるとやはりこの池から逃げ出すことのできなかった色々な生き物や生き物の残骸と身体を繋ぎあわせる事で残った命をもらい

          溺れる犬は藁をも食べる

          溺れる犬は藁をも食べる 八月に初台Zaroff全域を占拠してマンタム個展と首領をつとめる不可解な古道具屋アウトローブラザーズ骨董市、とってもフリーダムなマンタム式錬金術師の為のワークショップ+役者石野竜三によるマンタム原作「夜の海に溺れる犬」語り芝居をまとめて「溺れる犬は藁をもたべる」という括りで展開致します! その手前に七月十七日から八月一日まで上野骨董市があって現在かなりボランティアなアルバイト募集しています。 こちらもよろしくお願いします。

          溺れる犬は藁をも食べる

          この先のスケジュールと覚書です。

          まず6月20日に日野市の高幡不動の骨董市にお店を出します。少し作品も持っていくつもりです。 午前6時から午後2時くらいまで。 22日から27日までは恒例になっている横浜中華街ギャラリーソコソコで無政府主義的な骨董市を開催します。 当店のアウトローブラザーズという名称は直訳すれば無法者でまるで犯罪者の集団のようですが法などに縛られず自由であり続けたいという願望によるもので国家など必要のない世界を求めての事と理解して下さい。 住所は横浜市中区山下町81-5 チャイハネ本

          この先のスケジュールと覚書です。