見出し画像

Malawi Misuku Coop.

生産国(Country):マラウィ(Malawi)
農協(Coop):ミスク農協(Misuku Cooperative)
地域(region):ミスク地区(Misuku)
標高(Elevation):1,500m〜2,000m
品種(Varietal):ゲイシャ、Sアガロ、ニカ(カチモール)、ムンドノーボ(Geisha,S Agaro,Nyika[catimor],Mundo Novo)
精選方法(Processing):フルウォッシュド(Fully washed)
備考:フェアトレード認証、4C認証※


「マラウィ」と言われて聞き馴染みの無い方も多いと思いますので、まずはザックリとした説明を。

マラウィは1964年に英国から独立したアフリカ南東部に位置する共和国家で、タンザニアの北・北東、西はザンビアと国境を接しています。

主要産業の1つである農業はたばこ、メイズ(トウモロコシ)、茶、綿花、ナッツ、コーヒーなどで、それらが主要な輸出品でもあります。

2018年のコーヒー生産量は11,082トンで生産国では37番目の生産量、世界シェアの0.11%と決して大きな数字ではないが、実はブルンジに次ぐ生産量で東ティモールやジャマイカよりも生産量は多いです。(FAO国連食糧農業機関より)

さて、僕がこの聞き慣れない「マラウィ」という国のコーヒーと出会ったのは2014年、まだ大手メーカーで焙煎の仕事をしていた時に遡る。焙煎部署に隣接した生豆部署では焙煎用の生豆準備の他、生豆の小分け販売も行っており、常時200種類ほどの生豆をストックしていた。その中には焙煎に回って来ない原料も幾つかあったのだが、そのうちの1つが「マラウィ」だった。

生豆の係長が「マラウィは他のアフリカの豆と比べても、とにかく豆が綺麗だ」と、よく口にしていたのが印象深く、某有名グループのロゴが入った小分け袋に詰め替えられるのを横目に、「機会があれば焼いてみたいものだ」と常々思っていた。

時は経ち、僕もイッパシのロースターとして自分で豆をセレクトする様になった時、初めてお客さん側として「マラウィ」と向き合った。生豆の係長は縦社会ノリのめんどくさいヤンキー系だったが、15年生豆を見てきた彼に「綺麗」と言わせたコーヒーを是非飲んでみたい。単純な興味本位でルワンダやブルンジと併せてサンプル豆を取り寄せてみた。

レポートによると現地では「ゲイシャ、ゲイシャ」と言われるようだが、品種は限定されておらず、ゲイシャ、Sアガロ、ニカ(カチモール)、ムンドノーボなどが混在している。願わくばゲイシャの割合を増やしたいようだが、やはりハイブリッド種の耐病性や収量には目を見張る物があるらしい。

カップを取ってみると、アフターに仄かなカティモール臭があるものの、オレンジピールやウィスキーの様な甘さとほろ苦さ。他のアフリカ産のコーヒーと比べて全体的に控えめではあるがクリーンで心地よい味わいが楽しめる。昨今のトレンドである発酵プロセスを「お化粧」と例えるならマラウィは「すっぴん美人」といった印象だった。

さて、今回のブレンドのキーワードの1つとして考えていたのは「サスティナブル(持続可能性)」、そしてもう1つはTIMELESS CHOCOLATEに合うコーヒーである。

コーヒーとチョコレートのペアリングは近年始まった事象ではないが、あらためてテイスティングする機会もそうそう無い。

定番4種のタブレットに合う原料探しにあたり、コーヒーは南米・中米・アジア・アフリカの4産地のブレンドにしようと思っていた。アフリカの豆は力強く華やかではあるが、天邪鬼な性格なので安易にケニアやエチオピアといった「強豪国」の豆を使うのはチート使いの様で面白味を感じない。そこでマラウィを使う事を思いついたのである。

フェアトレードや4Cを取得しているからと言って、必ずしもサスティナビリティが保証されている訳では無いが、購入先のアタカ通商は買い付けや視察のレポートなどをはじめとした情報をwebに公開しており、サプライヤー(農園)との友好関係のもと、市場への安定供給を行っていると公言している昭和気質な会社である。何よりも僕が業界に飛び込んで以来の縁が未だに続いている事を大切にしたいと思った。そんなこんなでマラウィ産の生豆のゲイシャやSアガロの割合が増えていく事(品質向上)にも期待を込めて購入する運びとなった。

ちなみにシングルでも申し分なく美味しい「すっぴん美人」。個人的なオススメはフルシティロースト。弊社の石臼挽きのコロンビア82%やインドネシア72%といった純黒糖を使ったチョコレートとのペアリングが秀逸。

※4C認証(The Common Code for the Coffee Community):ドイツ(ケルン)に拠点を置く「4C Service GmbH」が運用する認証制度。コーヒーの生産と加工の経済的、社会的、環境的条件に高い基準を適用して、持続可能な信頼できる公正なコーヒーサプライチェーン(生産・加工・流通システム)が認証される。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?