プロジェクトマネージメント特性比較 ブロックボールゲーム実験 Part2
第2節 ブロックボールゲーム の説明
ブロックタワーボールは、ブロックを組み立て、最後にボールを上から落とし、最後まで流れるかどうかを楽しむ玩具である。前回記載した7つの要件を満たすため、ブロックタワーボール (Picture 1)を使用することとした。
ゲーム実行の流れ
この玩具を使用して以下の流れでゲームを行い、プロジェクトマネージメント を疑似的に再現した。
1. 参加者一人一人が個別にシンプルな物を一つ作成する。
2. 1で作成した物を基に、参加者の能力がどの程度かを確認する。
3. この玩具が、参加者にとって難しすぎないことを確認する。
4. 参加者は、どういうものを作り上げるかを認識する。
5. 3人1組でグループになり、参加者には各グループで時間を競い合うゲームであると伝え、出来るだけ努力して早く確実に作り上げてもらう。
6. 8回のゲームを多様な条件によって行い、ゲームの結果を分析する。また、参加者の動きや感情の流れを観察し、先の章で議論した開発プロジェクト以外の属性や条件を確認する。
7. 各ゲームの順番によって結果が異なる事が想定されるため、各ゲームの順番はランダムに行った。
ゲームの構成
“ゴールを提示するしない”、“要件を提示するしない”、“ゴールを変える変えない”、“要件を変える変えない”、“説明書を渡す渡さない”を組み合わせて各ゲームを行った (Table 45) 。
それぞれのゲームで、各チームのブロックが組みあがった時間を測り、速度として比較する。この速度は、実際のシステム開発の開発速度に相当する。
ゴールは、“柱の数”、“柱の高さ”、“与えられたブロック全てを利用する”の三つで構成される。これらは必ず満たさなければならないと伝える。この違いによって、各チームはどのような方向性でブロックを組み上げるかを考え、ブロックの構成を考える。このゴールは、実際のシステム開発のビジョンやゴールで、システム開発が目指すべき方向性に相当する。
要件は、ジャンプ数、スルー数や、ブリッジ数を指定する。例えば、“ジャンプが2回ある事”、“スルーが5回ある事”のように指定する。各チームはこの要件をどこに配置し、どのように満たすかの設計を考え、安定したブロックの作りこみを行う。この要件は、実際のシステム開発においても、要求、開発要件に相当する。また、全体の難易度やスキルリスクにも相当する。
最後に、説明書や完成後の写真を配布するか配布しないかを分ける。これは、実際のシステム開発においては技術リスクに相当する。作るゴール、要求、開発要件が決まった後に、全体像がイメージ可能かどうか、実現可能なシステムデザインを作れるかのリスクに相当する。つまり、説明書が配布されると全体の作り方が詳細にあり、全体のシステムデザインがあるという技術リスクが低い状況である。また、説明書が配布されないと全体像が無く考えなければいけないという技術リスクが高い状況である。
Flow Diagram 15 に全体の流れを記した。また、今回のゲームの各要素構成とシステム開発の各要素構成の関係は Figure 45に記した。
来週は、もう一回だけ、ルールの説明があって、再来週には、お待ちかねの結果をお伝えしますのでお楽しみに!