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2023年3月の記事一覧
小説(SS) 「秘密の教室」@毎週ショートショートnote #理科室まがった
お題// 理科室まがった
理科室をまがったところに、使われていない教室があった。鍵のかかった引き戸の内側には高くまでダンボールが積まれており、廊下側から中の様子を覗くことはできない。ぼくはいつも、その横を通る度に胸のざわつきを感じていた。理由はわからないが、なんとなく異様な雰囲気があるように思えた。
だからぼくは休日、学校に忘れ物をとりにいったついでに忍び込むことを決めた。
この日のため
小説(SS) 「デブリ帯ドライブ」@毎週ショートショートnote #だんだん高くなるドライブ
お題// だんだん高くなるドライブ
商社に勤めるアイナ・リスボンは、火星周縁部にある採掘資源衛星N16に視察で訪れるべく、その玄関口のシャトル発着所にきていた。
「すまないがね、お嬢ちゃん。そのチケットじゃ、乗せてやるわけにはいかねぇんだ」
「なんでですか、会社から事前に発行されたもので照合はとれているはずです」
「そいつぁ、一ヶ月以上も前のレートのものだろ? ここ最近はな、毎日のように
小説(SS) 「いつだってエコノミークラス」@毎週ショートショートnote #ダウンロードファーストクラス
お題// ダウンロードファーストクラス
飛行機で出張するといっても、会社の経費で落ちるのは格安航空会社のエコノミークラスまでだ。
またあの狭くて気の休まらない空間に放り込まれることになるのか、そう考えると誠司はいつも気が沈んでいた。二時間しか乗らないから、機内食も出なければ、映画も微妙に見きれない。たいていは、クライマックスに差しかかった頃になると目的地に到着してしまう! その割に、新
小説(SS) 「商店街に行こう!」@毎週ショートショートnote #ヘルプ商店街
お題// ヘルプ商店街
おばあさんは目を覚ますと、今日は天気がいいから商店街にでも行こうと思い、ゆっくりと布団から這い出ました。
身寄りのないおばあさんにとって、毎日はとても退屈です。楽しいことといえば、商店街に出かけて仲のいい知り合いとお話するくらいのものでした。
商店街では、若い人が優しく話しかけてくれて、買い物したものを代わりに運んでくれたりします。おばあさんは、長年生きてきてこん