きみはそれを体験したのか
2012年にヨルダンとイスラエルを旅行したときのメモリーカードを久しぶりに見つけました。
中東の旅は一生忘れられない、とても良い旅でした。
わたしはすっかり中東に恋をして、人生が終わる前にもう一度行きたいと強く思っています。
行ってみなければわからない、行ってみてはじめてわかることがあると、あの旅はわたしに教えてくれました。
イスラム圏の人とその文化は、すばらしいものです。
人はやさしく、食べ物はおいしくて、911以来ずっと不穏なイメージをかぶせられてきた彼らを、本当に気の毒に思いました。
イスラエルの複雑な立場も、実際に訪れてみてはじめて、肌で感じることができます。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が三つ巴の膠着状態を起こしたまま、数千年も経ってしまった神殿の丘。
あちこちを、マシンガンで武装した兵士が歩いていました。
異様な緊張感に包まれるなか、嘆きの壁に立った時のさわやかな風も、忘れることが出来ません。
こんなにすばらしいところなんだから、きっと中東はもっとよくなると思ったのに、あれから6年も経って、実際にはますます殺伐としていっている気がします。
世の中にはいろんな陰謀論と呼ばれる情報がありますが、それをささやいている人のうち一体何人の人が、実際に中東に行ったことがあるのかな、と思います。
わたしはジャーナリストでも何でもない、ただの旅行者でしたが、それでも実際に行って、人に触れて、場所を見て、自分で感じてきた体験は大切にしたいと思います。
どんな国でもそこには実際に人が住んでいて、みんな自分と何も変わらず毎日の人生をせいいっぱい生きているのだと知っているから、そういう人の営みを無視するような、残酷な好奇心や野次馬根性的な真偽不明の言葉が、ネットの中から世界中に濁流のようにあふれだしていくことには嫌悪感を持ちます。
そのなかにはほんの少しは正しい情報もあるかもしれませんが、しかし実際にはそういうものの大きな流れが結局は仮想の敵を作り出すだけで、何の問題解決にもならないどころか、多くの人を巻き込みながらただ分離感や敵愾心だけを煽って、そしてその先に待っていることは現地の人のあたりまえの幸せな生活をふみにじっていくことのほうが多い気がします。
陰謀論に精通する人、陰謀論を発信する人、陰謀論が好きな人は、とりあえず現場に行ってみたらいいと思います。
自分が行ったことすらない場所のことをまことしやかに、さも知ってる風に語ることのダサさに、早めに気がついたらいいなと思います。
また早朝の死海で、泳ぎたいです。
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