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台風でぶっ飛んだカナダ旅〜後編〜

***** 前編は、こちらから *****

2018年、台風の影響で関西国際空港に閉じ込められた私たち。
待合のソファを何とか寝床に確保して、長い1日が終わりました。

その次の日の朝。

フェリー行きのバスが到着していまーす

という空港職員の声で目が覚めました。
どうやら空港中に言って回っているようです。

ぼんやりした頭で、
「そうか。橋が壊れてるから陸路でなくフェリーを出してくれるんだ」
と理解し、誰が出してくれたのかも分かりませんが、感謝の気持ちがじわじわと湧いてきました。

しかし、前日も長い1日を過ごしていた私は、疲れからなかなか起き上がることができませんでした。
外を見てみると、水は昨日見た時よりもまた、少し引いているように見えました。

だいぶ水が引いた滑走路

どうせ今行っても混んでいるだろうから、もう少し後でいいや。

私はそう思ったのですが、友人からの「行こう」の一言で、渋々準備をしました。笑

しかし、ここからがまた長い1日の始まりだったのです。

神戸行きと泉佐野行きのフェリーが出ているとのことでしたが、泉佐野に戻っても、台風被害がひどくて電車が動いていないとのことだったので、神戸を選択しました。

外に出ると、既に長蛇の大行列。
「昨日、こんなに空港に人いたんだ…」と愕然としました。

どこが前かわからないくらいの人・人・人


まぁ、3、4時間もすればフェリに乗れるやろ。

とたかを括っていた私。
しかし、実際には、ここから約11時間並び続けることになったのです。

1時間経って、2、3歩しか列が前に進まない
そのまま11時間…。
なぜそんなに列が進まなかったのか、いまだに分かりません。

並びだして1時間くらい経ったころだったでしょうか。
報道陣が集まりだし、なんの断りもなく、疲れた顔で並び続ける私たちの顔を撮りだしました。

報道陣のお仕事は「事実をそのまま伝えること」なので、しょうがないといえばしょうがないのですが、その時私は、なんだか無性に腹がたちました。

映りたくない人だっている。
なのに、なんの断りもなく、勝手に撮っている。

とにかく映らないように、報道のカメラがこちらに向く度に後ろを向き、避けていました。

***

トイレで空港内に入るついでに、一緒にいた友人が色んな情報や物資を取ってきてくれました。

空港職員の方が配っていた、味のない災害時用のパンやビスケットを食べながら、だんだんと色んな気力が失われていきました。

そして、自分たちも大変なのに、お客様の対応をしている空港の人たちが、見ていて本当に気の毒でした。

***

大きな花火大会の時のように、携帯電話はかけてもつながらず、途中で家族に公衆電話から電話をかけました。

ニュースを見ていたらしく、後ろ姿が映っていたのが分かったそうです。笑
さすが家族。

***

私たちがフェリー乗り場へ向かうバスに乗るころには、空港が閉鎖されだしました。

私たちがバスに乗ったのは、20時前だったと記憶しています。
バスの中は、ぎゅうぎゅう詰めでした。

バスの中からながめると、私たちの後ろの長蛇の列。最後の人はトイレもないこの場所で、何時まで待たないといけないのか、と思いました。

フェリーに着くと、想像よりもかなり小さい、漁船より少し大きいくらいのサイズの船でした。

これで何往復も、あの大勢を送迎していたのか…?
と正直、愕然としました。

まだ暑い時期だったので、フェリーに乗るころには、さすがの私も体調がよくなく、フェリーに乗った後のことはあまり記憶にありません。

とにかく大変な体験でしたが、こんな経験をすると、人間、たいていの旅のトラブルは水に流せるようになります

「この経験ができてよかった」とは思いませんが、
この経験で強くなれた」と前向きにとらえるしかありません。

あれから、カナダにもまだ行けていませんが、ぜひもう一度トライしたいです。

もしこれを読んでくださった方の中に、”あの” 空間にいた方がいれば、あの時は本当にお疲れさまでした。


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