見出し画像

台風でぶっ飛んだカナダ旅~前編~

最近、色んな意味で、だんだんと旅行がしやすくなってきましたね。
町には外国人観光客があふれ、SNSでは、海外にいる日本人の投稿もあちこちで見られるようになりました。

そんな中、私には忘れられない旅の思い出があるんです。

皆さん、覚えているでしょうか。
2018年9月4日に関西に上陸した台風21号を。

このとき、タンカーが関西空港の連絡橋を破壊し、空港内にいた人が一時孤立しました。

あの日、私もその中にいた一人でした。
あの時について、今回書いてみたいと思います。

台風発生

2018年9月、私はカナダのバンフに友人と旅行に行こうとしていたのですが、台風が発生。

行けたらこーんな景色が見られたはず。(出典:pixabay)

発生から毎日、天気予報とにらめっこしてましたが、事態は好転することなく、どうやら大型の強い台風が直撃しそうです。

旅行の前日に、「明日、飛行機飛ばないのでは?」と思い、仕事が終わるやいなや、すぐにチケットを手配した旅行会社に電話をしました。

ところが、その旅行会社もなかなかはっきりしたことを言ってくれないのです。

飛行機が飛ぶか飛ばないかは、航空会社の判断だと思いますが、もし飛ばなかったときは、旅行代金の返金はあるのか?
それさえも答えてくれませんでした。

とりあえず空港へ

予報では、台風の雨風は、出発日のお昼頃から強くなってきそうでした。私たちの便は夕方便。

飛行機が飛ぶのに、空港に行けなくなっては大変と思い、朝から空港に行くことに。同じことを考える人がたくさんいるだろうと、朝早くのバスに乗ることにしました。多分、朝7:00頃出発のバスだったと記憶しています。

意外とバスは空いていて、関西空港へはすんなり着くことができました。

「はぁー。よかった」と、一安心していた私たちは、この後起こることを知る由もなかったのです、、、。

到着した後、旅行会社のカウンターにいき、チケットを引き換えてもらうことになっていました。

そこでようやく、今キャンセルしても全額戻ってくると告げられたのです。

(いや、昨日言ってくれや、、、。)

今すぐ行くか行かないか決めなくてもいいと言われたので、とりあえず様子を見ることにしました。

チェックイン時間までひたすら暇つぶし

飛行機のチェックインまで、待合の椅子に座ったり、お土産を見たり、マクドナルドでコーヒーを飲んだりして、ひたすら時間つぶしです。

時折、窓の外を見ると、雨と風で霧の様に真っ白になっています。しかし頑丈な空港の建物の中は、全く暴風雨の音は聞こえず、空港内の人々の足音や話し声、アナウンスの声が聞こえるだけでした。

そうして、15:00頃でしょうか。
モスバーガーで何度目かのお茶をしていた時、突然バンっと大きな音が聞こえたかと思うと、空港の電気が一斉に落ちたのです。

停電のようです。

その時もらったうちわに書いてあるコピーが、状況にピッタリすぎて笑える…

(こうなっても、飛行機は飛ぶのだろうか?)

疑心暗鬼のまま、外にも出られないのでひたすら待っていると、すれ違う人たちから「欠航やって!!」という声が聞こえてきました。

見ると、他の行き先の便が、軒並み「cancelled」(欠航)と表示されています。

私たちの便は?!と確認しに行きますが、エアカナダだけまだ「delayed」(遅延)との表示。

(まだ、飛ぶ可能性があるということか?)

チェックイン開始の17:00になり、エアカナダのカウンターで今どうなっているかを確認することに。

私「まだ飛ぶ可能性はあるんですか?」

エアカナダ「分かりません。ただ、搭乗いただくはずの機体がこの台風の影響でまだ来ていないのと、空港の滑走路も、あのとおり水没しておりまして…」

空港スタッフさんの手の方向を見ると、確かに滑走路が水没して川のようになっています。

奥に見える濃い線のところが滑走路の端。それより手前が完全に水没して川のようになっている。

(え、これってもはや、飛ばないんじゃないの?)

しかも、出発するとしても相当遅れるため、現地の乗り継ぎが予定通りできず、中継地で1泊しなければいけない可能性が高いとのこと。

それを聞いた私たちは、再度緊急会議。

ここまで「せっかく休みもとったんだから、行けるなら行ってしまいたい」と思っていましたが、ここまでの影響が出ていたとは…。

空港の中にいると雨風の音が聞こえないため、あまり分かっていなかったのですが、空港の出入り口に行ってみると、普段バスが停まる道路にも川のような濁流ができていました。

空港の出口から見た道路の様子。これでも少し水が引いた後のよう。

それを見て、思っていた以上に被害が出ていることを悟り、私たちはなくなくここで断念することにしました。

そしてあの事件がおきる…

旅行会社にキャンセルを伝え、帰りのバスが再開するまで待っていると、広島に住む友達からLINEが。

「大阪、台風大丈夫?」

大学時代の友人が、ニュースを見て心配して連絡をくれたのでした。

「うん、今関空にいるんやけど、飛行機飛ばないみたい。最悪。」

「え?!今えらいことなっとるよ。Twitterにあがっとる写真じゃけど」

と言って送られてきた写真は、あの、タンカーが空港の連絡橋に激突し、橋が壊れている写真でした。

「え、、、?」

これじゃぁ、台風がおさまってもすぐに空港から出られないかもしれない…と写真を見て絶句しました。

救いだったのは、友達と一緒だったことと、空港内にも大勢人がいたこと。

まわりにたくさんの人がいることで少し恐怖が和らぐような気がしました。

しかも、一緒にいた友人が、

「ちょっと行ってくる」

と言ってしばらく消えた後、どこで聞いたのか、色んな情報を仕入れて来てくれました。

どうやら、相当たくさんの人が空港内に取り残されているらしく、国内線の待合ロビーも開放してくれているとのこと。

今晩空港から出られないことはほぼ決まりなので、せめて柔らかいソファーの上で寝られるよう、急いで寝床の確保に向かいました。

私たちの後しばらくすると、ソファーは人でうまり、取れなかった人たちは、床に段ボールを敷いて、寝床を作っていました。

幸い、海外旅行の荷物を持っているので、歯ブラシや充電器、着替えなど、しばらくの滞在に耐えうる物資は持っています。

あとは水と食料をどうするか。

飲食店は停電で閉まり、売店も1つ開いているだけ。すでに品薄です。

友達と交代で荷物を見張りながら、空港内の自販機から、とりあえずの水や食料(スナック菓子)を確保しました。いつここから出られるんだろう…。不安を抱えながら、とりあえず私たちは就寝しました。

この続きは後編で。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?