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一人との付き合い方

 「一人」で生きることが肯定されるようになった昨今、僕は本当に一人きりの人生を好んで歩む人を今まで見たことがない。「人との関りが狭いからそういう人を知らないだけだ」と言われればそれまでなのだが、やはり人は人との繋がりを求めているんだなと考える節がよくあるのだ。

 一人きりの時間が欲しいときってどんなときだろう。きっと今いる環境に上手くなじめなかったり、一晩じゃ乗り越えられないくらいの辛いことがあったり、自分の歩む道に不安を感じたり、自信がなかったり。何かしらで疲れてヘトヘトになった時なんだろうと思う。つまり弱っているということだ。そんな人は、いつもより攻撃的になったり、感情をうまく表現できなくなったり。なにか助けを求めているサインだと思う。イライラしている人を見かけても、それは人が嫌いでそうなっているのではなくて、助けてのサインだと思えばこちらも少し寛容な気持ちになれる。

 確かに一人の時間も時には必要だ。周囲から寄って来る膨大な情報を一度遮断し、頭の中で整理する時間は重要だ。でも僕自身で考えたとき、やはり「誰かそばにいてほしいな」と感じるときが多い。近所の人とでも天気の話をしたり、職場で休日の話をしたり、電話で友人に悩みを相談したり。「取り繕わないお喋り」が生活の軸になり、健康につながるのであろう。家族の団欒に入れずに母に八つ当たりをしていた父を見てそう感じた。

 来月は父の日がある。いつもWikipediaのようなうんちくしか話さない孤独な父にも、耳を傾けようと思ったのでした。

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