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見出された蟹

きのうのこと。日展に足を運んでから、京都シネマで『ゴーストワールド』を観てきた。私自身、イーニド或いはシーモアにはなれなかった、と言うよりそんな生き方ができなかった学生時代を過ごしたからだろうか、彼女らをどこか羨ましく感じた。俗世に対する見切りの強度とでも言おうか。単に思春期にありがちな一一といった文脈で語るのは勿体ないとも感じる。

(C)2001 Orion Pictures Distribution Corporation. All Rights Reserved.

二十代半ばにも差し掛かってティーンの葛藤に共感を覚えるのというのも情けないこと極まりない話だが。自分と社会と中間に分布する友人、その別軸としての旧友一一なんてざっくりと分けてみると、見えてくるものもあったりなかったり。少なくとも、ある種のシーモア臭さ強度のある拘りを持った人と好んで付き合っているのは言うまでもない。

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俗世との折り合いの付け方は、それこそ幾らでもあろうが、あるひとつのスタンスに固執することもないよね、って。風の吹くまま気の向くまま...


映画の前後、時間潰しがてらに安酒場で稲垣足穂に付き合ってもろうて。そのまま帰りのバスで河出文庫の『ヰタマキニカリス〈1〉』を読了した。この書籍のあとがき、野田秀樹氏が綴っているのだが、これが本編同様なんとも味わい深く。

内容は蟹に終始するのであるが、読み終えてから、背表紙に挟んであった栞を取り出すとこりゃビックリ。蟹!!!正真正銘の蟹だったのである。足立美術館のショップで購入したもので、北大路魯山人のコレクションが元となった一品だ。何やら蟹に化かされた気分になった。


今日は昼下がりから一時間ほど近場の喫茶店へ。辻邦生『眞晝の海への旅』を読み始めた。明日からまた仕事が始まるから、ムラのある進行具合になるのであろう。

帰りにLondon Booksで四冊ほど漁る。ここ最近は偏っている。一乗寺某店の影響が大きいのだろうがこれはいかん。早期の軌道修正が求められている。


〈ポンペイ秘儀荘への想い〉

そうそう、日展で藤森さんの作品を見かけた。直ぐにそれとわかった。なんだか嬉しかった。

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