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自分にとっての贅沢のタイミング

随分と前に連れて行っていただいたお寿司屋さんで美しすぎるお箸と出会った。

先端がスラッと細くて、ながーい白木の美しすぎる佇まい、
使い勝手も格別で、薄くスライスされたガリや小さな魚卵も
さらりと摘める。

それでいて、使う人の背筋がピン!
と伸びるような、無駄のないデザイン。
食べている自分がなんだか高貴で凜とした人に思えてくる、
そんな不思議なお箸と出会う


思わず、
その箸の素晴らしさを大将にお伝えすると、
『実は盛り付け箸としても利用できるんですが、
うちでは皆様にお使いいただいてます』
とのこと。

それに加えて、
『是非お持ち帰りください』
と快くそんな言葉をかけてくださった。


そんな訳で、我が家にやって来た一対の美しい盛り付け箸。


ただ、普段使いにするには、どこか勿体無いし、
あまり頻繁に使うと傷んでしまう。
そんな訳で、すっかり使い道を断たれたその箸は長いこと
箸入れに無造作に置かれたままだった。


ーーー


先日、朝食の準備の最中、
フルーツを盛り付けている時、
ふとその盛り付け箸の存在を思い出した。

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ようやく日の目を見た
その盛り付け箸を手に取り、うっとりとする。
やはり美しく、
使うのを少し躊躇してしまいそうになる。
そんな貧乏性の自分を鼻で笑って頭の中から追い払う。


スっとした手触り。
指を少し動かすだけで、
フルーツをいとも簡単に理想の位置へと
運んでくれる。


今まで試行錯誤していた時間が嘘のように
フルーツを綺麗に整列させてくれたり、
バランスが微妙な位置にも
スススーーーと運んでくれる。


なんとも美しく、軽やかで頼もしい相棒が
思いがけず出来た事にニンマリと一人笑う。


そういえば、『勿体ない』と、
使うとを躊躇っているものが私には沢山ある。


『特別な時に』と戸棚の奥にしまってある食器、

『いつか広い家に引っ越したら使おう』
そう想ってしまってあるカトラリー、

『汚れるのが嫌だから...』と、
なかなか履けない白のスニーカー


『いつかの特別なタイミングで』
そう思っているけれど、
そんなものは無いのかもしれない。


そんな『いつくるかわからない、いつか』を想って
大切に温めておくよりも、


今の暮らしをちょっと楽しく、心地よく、
底上げしてくれる、
そんな大好きなモノに日々囲まれている方が
ずっと贅沢な気持ちになる。

自分にとっての小さな『贅沢』を、
日常の隙間に少しずつ少しずつ忍び込ませていく作業。


40を過ぎてやっと少しだけ、今を楽しむコツを
掴んできたような気がします。


あなたの贅沢は何ですか?

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