見出し画像

憧れのゆぶろ

私はお風呂が大好きです。
温泉とかも良いけれど、何より家のお風呂が好きです。
スーパー銭湯とかは数えるほどしか行ったことはないので、真の風呂好き、とは言えないと思います。
でも、しずかちゃん並みにはお風呂好き。
家のお風呂に入るのが幸せ。
ひとりで入るのが良いんですよ。
気楽に。

頭の中でひとりでしゃべるのが好きだからかもしれません。
子どもの頃から、ひとりで、ごっこ遊びやお人形遊びなんかが好きでしたから。

子どもの頃の実家のお風呂はガスのお風呂でした。
ホースの水を湯船に溜めて、ガスで沸かすタイプ。
丸い小さいタイルがビッシリとはまっている床にすのことかマットとか敷いて、窓枠は木でした。開ける時にコツがいる窓。

脱衣所は大工仕事ができる祖父が作ったものだったし、歯磨きなんかをする洗面台がお風呂場の中にあって、誰かがお風呂に入っている時に、
「ちょっと歯磨きさせて。」
なんてやらなきゃいけない。
あれです、劇的ビフォーアフターに出てくるお家の、ビフォー、の状態みたいなお風呂でした。

でも、ひとり遊びが好きな子どもでしたから、お風呂の中にも『こえだちゃん』って、プラスチック製の小さいお人形なんかを持ち込んだりして
(わかる方は昭和仲間ですよね?)
お風呂に入りながらいつまでも遊んでいました。

そして熱くなってきたら、
湯船に水を溜める用のホースから水を飲む。
っていうのがまた良かった!
熱いお風呂の中で飲む冷たいお水は格別でした。
なかなかワイルドな子どもだ。
って話しを大人になってから姉に話したら
「えっ!ホースの水を飲んでたの?!衝撃的なカミングアウトだ。」
って笑われました。
え、家族みんな当然飲んでいたと思ってた。

学生の頃一人暮らしをした学生アパートのお風呂や働いてからのワンルームのお風呂は、どこもユニットバスでしたけれど、狭いお風呂でも、湯船にお湯を溜めて入るのが好きでした。

お湯に浸かると、軽い風邪くらいは治る気がする。軽い身体の不調はお風呂で治す。
くらいの持論。

それが、台湾の家では湯船がなかったんです。
…ある、といえばある。
シャワー室が、
消毒槽?学校のプールによくある、
「腰まで浸かりなさい」とか言われるあの消毒槽。
あんな感じの作りでした。
床に栓が付いているので、お湯を溜めることはできる。という作りでした。
でもなんせ、素材も消毒槽的な、石?コンクリート?みたいな感じなので、お湯は溜めた先からどんどん冷める。溜まるまでに冷める…。寒い。
ので、シャワー室としてしか使いませんでした。

でも次男は、
「家族みんなでお湯をためて入ったことあったよね!また入りたいね!」
って、ちょいちょい言っていたんです。
台湾の家に引っ越したばかりで、消毒槽にお湯を溜めてなんとかお湯に浸かる工夫を試しみていたことをいつまでも覚えていて言い続けていたんですよね。
4歳とか5歳とかだったんですけどね、既に私に似てお風呂好き。しずかちゃんグループだったわけです。
どこかに泊まりに行った時なんかは、たとえホテルに着いた時間が夜中だったとしても
「ちゃぽん、する。」
って、湯船に浸かりたいタイプの子どもでした。

だからそんな次男、夫の会社の台湾人一家のお家におじゃました時、お手洗いを借りた時に目にしたのか、
私の隣りに戻ってきて、コソッと小声で

「お母さん、この家ね、ゆぶろがあるよ?いーねぇ〜。」

って言っていたのが忘れられません。

「え?ゆぶろ?湯風呂?」
って思いますよね。
私も思いました。
湯船のことだったみたいです。

そんな風に、台湾にいた時、我が家にとって湯船は、
憧れの湯船!
でした。

だから今、家であったかいお風呂に入って、湯船に浸かれる幸せ。

毎晩幸せであります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?