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理想への近道は「自分ごと」に捉えて動くこと

マレーシアでは1ヶ月半のMCO/ロックダウンを経て、経済活動の再開に向かっています。ところが、国民の多くが「あまりに急過ぎでは?」と反対し、地元紙のアンケートでは85%が「ロックダウンを続行すべき」と回答。

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なんと署名運動まで起こり、133,000人以上の署名があったそう。その結果、ペナン州など6つの州ではロックダウン緩和を先延ばしにし、連邦政府の方針よりもさらに慎重な方針を打ち出しました。

もちろん経済活動再開は必須で、現に収入が途絶えて困っている人が大勢います。私も仕事が無くなってしまったうちの1人です。いつかロックダウンは終わらせる、でもそれは今では無いと、国民自らが声をあげたわけです。

相反する意見同士も対立しない

こんな風に、マレーシア人は政治を自分ごととしてコミット。私が属している地元のFacebookグループでも、活発に議論が繰り返されていました。

不思議なのが、どのグループでも「相反する意見同士が対立していない」こと。それぞれの利害というより、命と経済のバランスをどこで取るか?という「国にとっての落とし所」を探るような議論で、これは最終地点が同じ「コロナ禍をサバイブする」という目標だからかもしれません。

個々の立場で言いたい事はあっても、個人攻撃しない、罵倒しない、汚い言葉も飛び交わない。時々おかしな人も乱入するけど、そんな時の対象方法まで含めて勉強になります。

マレーシアのFacebook、国民の本音も垣間見える生きた教材です。この国を知るには、グループに入ったりニュースのコメント欄を見るのもお勧めです。

受け身では理想の社会へ近づけない

どうしたらこんな風に成熟した議論ができるのだろう?と、私はいつも羨ましい気持ちになってしまうのですが、マレーシアだって一夜にしてこうなったワケではないんですね。

過去には人種間の大きな対立もあったし、長年の腐敗した政権を選挙で倒したり。自分たちで行動してきたからこその、今なのだと思います。受け身の人が実に少ないのです。

コロナ禍でも主体的に動く人たちが大勢いるので、今日はその中から4つのエピソードをご紹介します。

1)仏教団体Tzu-Chi(慈濟)、8万枚のシールドと1000食を寄付
Tzu-Chi は物品寄付の他、検疫施設やホームレス施設の設置にも大活躍。普段から透析センターの運営やボランティア活動で地域に貢献しています。
2)科学館の職員が3Dプリンターでシールドを作成
ペナンっ子なら一度は訪れたであろう Penang Science Cluster が、自前の3Dプリンターでフェイスシールドを作成。その後、州内の工場で大量生産へと繋がりました。(息子はカットや組立の個人ボランティアに応募するも、なんと応募人数オーバーで仕事が回って来ませんでした!)
3)サバの村では野菜やフルーツが無料で軒先に
東マレーシアのサバ州では、軒先に野菜やフルーツの無料提供。カンポン(田舎)ならではの助け合いです。
4)11歳の女子が手作りワッフルで動物シェルターをサポート
動物シェルターがロックダウンで資金確保に苦悩する様子を知り、心配したペナンの女の子。自分で作ったワッフルの売上を野良の犬猫に寄付する事を決めます。この子の意思を汲んでウェブサイトを立ち上げたご両親も素晴らしいです。(私も購入しました!美味しいですよ♡)

こんな感じで個人から企業まで、必要と思えばすぐ行動に移すマレーシア人。特にペナンは、地域のベースとして助け合い精神が根強くあります。

もう一つ、私が実際に体験したエピソードもご紹介しますね。

空き巣を自分たちで捕まえるペナン人

実はロックダウン中、コンドミニアムで空き巣事件が発生したんです。概要はTweetに書きましたが、けっこう壮絶でした...

犯人3人はコンド内に部屋を借りており、出入りが自由だったのです。

・1〜2日目:計13軒の空き巣に入る
・3日目:警察が突入するも取り逃す
・4日目:犯人1人を逮捕、残り2人は逃走
・5日目:なんと残りの犯人2人がコンドへ舞い戻るが、空き家を転々と移動し、捕まえられず
・6日目:自警団が犯人2人を確保

空き巣は全て私の住むブロックで発生しており、しかも犯人が同じ建物のどこかに立て籠もっている状況。今までに感じたことのない恐怖で、文字通り眠れない夜が続きました。

5日目、住民の男性陣が自警団を結成しパトロール。この時の心強さと言ったら、もう言葉になりません...そして6日目の昼、その自警団が犯人2人を確保!警察に突き出して事件は解決したのでした。

自分たちがヒーローになる

管理事務所は昼間だけ、警備員は外国人労働者、強気で犯人を捕まえるとは思えず。ましてや警察が常駐してくれるはずもなく...日本ならどうするでしょう。管理事務所や警察に詰め寄る状況でしょうか。

でもペナンの男性陣は自警団を結成し、自らコミュニティを守った。誰かに期待せず、自分たちがヒーローになってしまったのです。自警団はローカルや欧米など外国人も参加した多国籍軍、本当に頼もしかった。

主犯は元軍人だそうで、高層階のベランダや小窓から恐れもせず移動を続けていたのも納得。Tweetには防御の注意点なども書いたので、一連のツリーを読んでみてください。

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空き巣事件、正直今でも怖いです。それでもペナンが好きで、住み続けたいと思っています。ここに居ると「個々が行動すれば理想の社会に近づける」と感じられるからでしょうか。この環境にいると、自分も何かせずには居られなくなるんですよね...不思議です。

理想の社会に近づくためには、自分で考えて行動すること。それが良いバイブスとして広がり、少しずつ変わっていくのかもしれません。


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