『へうげもの』2巻を読んでみました
この漫画を読んだら、いつのまにか日本史(特に安土桃山時代)の勉強になっていました。
漫画のタイトルでもある「へうげもの」は、ひょうきんな人という意味で、主人公の古田佐助は、信長からひょうげた奴だとからかわれながらも、しかし何かやり遂げそうでもある、と評価されています。
印象的なのは、普段厳しく緊張感をまとっている信長が、佐助のとぼけた行動に「うひゃひゃひゃひゃ」と笑うさまが、愛されていることを感じさせます。佐助も信長を尊敬しており、いい上司と部下の関係を築いているように見えます。
そんな信長の周りで不穏な空気が流れる第二巻です。
信長に忠誠を誓い武功を重ねてきた明智光秀ですが、信長は手厚い恩賞を明智光秀ではなく自分の息子におくります。また分け与える土地も息子には手厚く、光秀が与えられた土地は寂しいものでした。
その光秀の心の揺らぎを感じ取りつつ、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)も暗躍します。
そして信長が本能寺に宿泊する日に、ことが起こります、の2巻です。
2巻では、こんな勉強ができました。(以下、内容のネタバレを含みます)
①狩野永徳の描いたふすま
1582年の元旦、年始のあいさつで佐助は信長の元を訪れます。そこで見たのは、安土城に新たに設置された帝をお迎えするための「御幸の間」でした。著名な画家である狩野永徳の絵がふんだんに描かれたふすまが並んだ豪華な部屋。これが意味するのは、信長がまもなく名実ともに天下統一を成し遂げること。佐助にとっては、戦の数は残り少なく成果をあげる機会はあとわずかということでした。
物欲の塊である佐助は、部屋を見ながら狩野永徳のふすまを1枚でも持って帰れないものだろうか、、と悶々とします。狩野永徳とは、安土桃山時代に活躍した絵師で、日本美術史上でも最も有名な画人の一人でもあります。
狩野派と呼ばれる、室町時代から江戸時代にかけて約400年にあたって活動していた専門画家集団の代表的な人物として知られています。
織田信長や豊臣秀吉に仕え、安土城や大阪城の障壁画を制作したそうです。現存している有名な作品は「洛中洛外図」という京都の市街と郊外の景観を描いた屏風絵で国宝に認定されています。
②本能寺の変
1582年、織田は武田軍討伐を終えて、武においては天下統一を果たします。続いて公家衆と京都で茶事を開き、朝廷に自分の力を認めさせて政治においても天下をまさに取ろうとしていました。その京都で宿泊したのが本能寺です。別場所では、明智光秀が部下をそろえて「本能寺の織田信長を討つ」と宣言します。史実上の本能寺の変では様々な憶測がなされていますが、『へうげもの』という作品でも思い切った展開が起こります。
本能寺の変は、1582年に明智光秀が謀反を起こして織田信長を襲撃した事件です。宿泊所ということもあり、織田軍は数十から数百人程度の警備に対して明智軍は1万3千人で襲撃。信長は自分の手で寺に火を放ち自害したともいわれています。建物は焼け落ち、たくさんの灰もかぶさり、信長の遺体も発見されなかったようです。
本能寺の変には、信長生存説や、本能寺の変の黒幕説、なぜ明智光秀が謀反を起こしたのかといった様々なうわさがあり、大きな歴史上のターニングポイントでもあった出来事ではないでしょうか。
へうげものは2~3回読み直すと、人物や出来事の理解が深まります。1回ではストーリーの流れだけ把握できる程度ですかね。どちらでも十分楽しめる作品と思います。娘にとっては中々の難易度になりそうですが、ハマったら歴女になるきっかけになるかもしれません。
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