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Super Seven スーパーセブン 続編

Super Seven スーパーセブン

1. プロローグ

2024年、ケーターハム・スーパーセブン(セブン)を所有して30年たちました。今回この30周年を節目として、セブンオーナーとして長い年月を過ごしてきた中、ムック本、ネットであまり書かれていない、生のセブンの魅力(良い点も悪い点も)を記しておこうと思いオーナーとして経験したことをまとめました。

文章はプロのライターではないので、気の利いた言い回しを書くことが出来ませんが、とにかく自分で気が付いたこと、感じたことを書いたつもりです。この記事が少しでもセブンに興味がある方、また将来セブンを購入したいと思う方々の一助になればと思います。

2.出会い

モータースポーツが大好きなので、セブンのルーツであるLOTUSの名前はよく知っており、創業者のコーリンチャップマンは憧れの人でした。よってスーパーセブンのことは以前から知っていましたが、特に最初から自分がオーナーになって乗ってみたいとは思っていたわけではありませんでした。

丁度30年前に仕事の関係で、某大手自動車メーカーに出向する機会があり、そこでたまたまメーカーが参考車両として購入したセブンを見つけました。車はビル内の駐車場の一角に置いてあり、時折駐車場所が変わっていたのでテスト試乗していたのかもしれません。

第一印象は、思っていたよりコンパクトで車高が極端に低いので一見フォーミュラーマシンの様に見えました。出向中は毎日一人で昼休み時間に見に来て、何度かコッソリ乗車しました。この時セブンは幌が付いていましたが、普通の車のような普通のドア(セブンはサイドカーテンと呼ばれる幌の一部のようなドア)ではなかったので鍵もかかっておらず簡単に乗車できました。シートに座るとまさにレーシングカーそのもので、実際に走ったわけではないのですが、快適性は期待できそうもなく、走ることだけを最優先に作られたクルマという感じでした。

このような環境下で4年間過ごし、出向も終わって自分の会社に戻りましたが、セブンのことは忘れられず、その後しばらく情報収集を行い、セブンの専門ショップにも顔を出すようになりました。そのうちに、ショップで中古の程度の良い“ケータハムスーパーセブン1700SS”を見つけ、試乗もさせてもらいました。カラーはブリテッシュグリーンでまさにセブンならこの色と決めており、これは1960年代のF1ではルールでクルマのカラーリングは各国ナショナルカラーが決められており、英国のマシンはロータス、BRM、ブラバム等すべてこのブリテッシュグリーンに塗られていたのでこれに拘っていました。そして購入に関して一番の難関であった家内を説得して、はれてセブンのオーナーになりました。今から30年前1994年4月のことでした。

3.セブン購入・引き取り

元々オリジナルな状態がどのような仕様なのかあやふやな車ですが、前オーナーは大切に乗っていらしたようで車体・機関とも大きな改造もなくカタログモデルに近い状態でした。ただ、最初取り付けられていたステアリングホイールはあまりに小径で取り回しのしにくさ、キックバック時に手を怪我しそうだったので、標準サイズに変更してもらいました。また、クルマのネジサイズがすべてインチでしたので、インチサイズの車載用工具をオマケで付けてもらいました。

購入後クルマを初めて引き取りに行って、すべて手続きを終え帰ろうと帰途に就いた際、途中でエンジンがいきなり止まってしまうという洗礼を浴びました。スターターモーターも回るし燃料も入っているので原因が分からず焦り、すぐショップに電話して来てもらって分かったことは、なんとガス欠!でした。

しかし、燃料計はエンプティではなく、1/4程度示していたのですが、ショップの方曰く、セブンのメーターはあてになりませんからと言われびっくりしました。その後燃料計にはガス欠防止のため、燃料計の目盛りとは関係なく、ガス欠になる部分に目印の蛍光色のステッカーを貼ってあります。

4.セブンの乗車方法

普通の感覚では、クルマに乗るのに乗車方法?と思われますがセブンは別格です。

極端に低く狭いセブンのコックピットに乗り込むには技!?が必要です。まず左足から乗りそのまま左足をペダルボックスへ入れます、この時左足をまっすぐ入れないとステアリングに足が当たり座れなくなります。次にセンタートンネルに左手をつきながら体重を移して右足もペダルボックスに入れながらお尻をシートへ。言葉では簡単ですが、とてもコックピットはタイトで更にはステアリングがあるので、慣れるまで苦労すると思います。乗車を楽にするためにフォーミュラーカーの様に脱着式ステアリングにしている人も見たことがあります。

このようにペダルボックスはとても狭く、足元のペダル類は幅の広い靴では操作時に干渉してしまうので、幅の狭いドライビングシューズがベストです。またシートバックは寝た角度で固定されているので、一度座ってしまうと自由に身体を動かくことが出来ません。

とにかくシート厚も薄いため、セブンのコックピットの居住性はよくありません。

5.エンジン始動~走りだし

エンジン始動は最初にアクセルを何回か踏み込み、ステアリングの裏にあるイグニッションキーをワンクリック廻して、燃料ポンプを作動し燃圧を上げます。次にさらにキーを廻すとエンジンは始動します。冬場冷えた状態ですとアクセルを微妙にあおりながらのスタートになります。この辺は普通のクルマのエンジン始動とは異なり、セブンの走り始めの儀式という感じです。始動後は回転が安定するまでアイドリングを少し高めにしてアクセルを踏み込んでおき、安定するまでじっと我慢です。(ちなみに私のセブンにはチョークレバーありません)

次にクラッチを踏み込み1速へつなぎ走り始めます。車重が軽いので半クラッチ操作は簡単です。走りだすとレスポンスは鋭くアクセル反応とリニアに回転は上がり気持ちがいいです。吹上りは軽やかで、回転の上昇は素早く、シフトアップ後の加速では身体がシートバックに押しつけられる感覚で、まるでジェットコースターに乗っているようです。

参考までにパワーウエイトレシオ4.3㎏/PSです。

6.走行に関して

一般的クルマと比較してまず最低地上高がとても低いです。特にオイルパンは最低地上高は80mmくらいしかないので路面の段差には要注意です。最初のうちはなれないので何度かぶつけてしまい、オイルパンを削ってしまいオイル漏れを起こしてしまい、ショップで溶接して修理してもらいました。またフロントのナンバープレート取り付位置も低いので、駐車場の停止ブロックに当たってしまい曲げてしまうことも多々あります。

ステアリングはクイックですが、アシストがないので低速時はとても重いです。ブレーキもアシストがないので踏力はある程度必要ですが、車重が軽いので制動力には問題ありません。車高が低くアイポイントがレーシングカー並みに低いので、通常よりスピード感は高く、風切りノイズ、タイヤロードノイズ、エンジンノイズ、エキゾーストノイズ等が混在し静寂とは程遠い環境下でのドライビングとなります。

高速道路では、街中の走行以上に風と走行音に耐えれば走行できますが、少なくとも助手席の人との会話は不可能で、且つヘアスタイルは嵐の中を歩いた状態となります。カタログでは最高速180 km/hとありますが、とてもこの数値を試そうとは思いません。よってセブンでの高速走行は好きではありません。

セブンはワインディングロードをクイックなステアリング、素早い加速、強力な制動力、素早いシフト感覚を楽しみながら走る方が向いていると思います。もし限界を超えてコントロールが破城しても車の軽さ、絶妙なウエイトバランスでカウンターを当てやすく修正は可能です。ただ一度怖かった思い出があります、それはいつものように真冬の早朝に走りに行って、気持ちよく走っていたら突然エンジン回転数が上昇、すぐにアクセルを緩めた瞬間ステアリング操作ができなくなり、クルマはスピン状態。何もできない状態でアイドル音のみの状態でコントロール不能な状態になり360度スピンして止まりました。自分でもどうゆう状態だったのか不思議なことにスローモーションのような感覚でよく覚えています。道路脇は民家がありコンクリートのブロック塀がありましたが、幸いにもどこにも当たらずぎりぎりの状態で止まってくれました。原因はブラックバーン(路面凍結)で低いアイポイントだったので気が付きませんでした。この場合も軽い車体のおかげですぐに停止できたことが幸いしました。これが今まで乗ってきた中で一番怖い体験でした。

セブンは頭の中が真っ白になるマスのない加速感、曲がれと念じただけでコーナーをクリアできるシャープなステアリングフィール、セブンは移動の道具ではなく、操ることだけが目的の、乗り手に快感だけを与えてくれる唯一無二の乗り物です。まさに走る・止まる・曲がるというクルマの基本性能においては、高級スポーツカーに勝るとも劣らない走りをセブンは体感させてくれます。

7.諸元データ

下記はセブンの基本諸元です。そこそこメカに精通している方であれば、セブンというクルマはいかにシンプルで驚くようスペックでないことに気が付くと思います。もちろん電子デバイス等は一切使われていません。更に驚くべきは1957年にオリジナルが誕生してから今まで基本構造はそれほど大きく変わっていないということです。これこそイギリス流の“良いものであれば変える必要はない”というポリシーの現れだと思います。

Super Seven GT1700 SS

SPECIFICATION

【車体】
 全長×全幅×全高:3380mm×1580mm×1120mm
 ホイールベース:2250mm
 トレッド:(F/R):1270/1320
 車重:580kg

【エンジン】
 型式名:フォード225E
 形式:水冷直列4気筒
 ボア×ストローク:83.27mm×7.62mm
 総排気量:1690cc
 圧縮比:10.5 : 1
 燃料供給:ウェーバー40DCOE×2
 最高出力:135ps/6000rpm
 最大トルク:16.8kg.m/4500rpm

【トランスミッション】
 形式:5 speed/T
 変速比:3.36 1.81 1.26 1.00 0.82
 最終減速比:3.92

【ステアリング】
 ラック・アンド・ピニオン

【サスペンション】
 形式:フロント:ロア・ウイッシュボーンスケジュール/アッパーIアーム
 +コイルスタビライザー
 リア:ド・ディオン・アクスル+コイル

【ブレーキ】
 フロント:ディスク
 リア:ディスク

【ホイール&タイヤ】
 フロント:6J×14+185/60HR14
 リア:6J×14+185/60HR14

8.各部詳細説明

1) コックピット廻り

①ウインカースイッチ 

ウインカースイッチ

写真のL⇦ ⇨Rマークのトグルスイッチがウインカースイッチです。ステアリングとは連動しておらず自動で戻りません。その都度手動!で戻します。


②ヒータースイッチ&ブレーキインジケーター

ヒータースイッチ&ブレーキインジケーター

写真のファンマークのシーソースイッチがヒータースイッチです。2段階の強弱で作動、ペダルボックスに温風が吹き込みます。冬季はペダルボックスがエンジンルームとアルミ板一枚で遮蔽されているのでエンジンの熱が伝わり、ヒーターとともに足元は快適です。尚、イギリスでの環境を考慮しエアコンは装備されずヒーターのみです。その横の赤いレンズのスイッチはブレーキ故障インジケーターです。ブレーキオイルが規定以上減ると点灯します。スイッチを押して点灯すれば異常なしです。

③ヘッドライト

ライトスイッチ

写真のグリーンのライトマークのシーソースイッチがライトスイッチです。2段階となっており、1段目でポジション点灯、2段目でライト点灯スイッチとなります。その下のトグルスイッチはライト点灯時のロービーム&ハイビームの切り替えスイッチです。

④ワイパースイッチ&ウォッシャー液スイッチ

ワイパー&ウォッシャースイッチ

左側写真の上部右側のシーソースイッチがワイパースイッチで、左側がウォッシャー液スイッチです。おもちゃの様な小さなワイパーが作動、ふき取り効果は期待できません。一応ウォッシャー液も出ます。尚、右側写真一番左の緑のシーソースイッチがロントガラス熱線スイッチで、これを作動させると曇りは取れます。

⑤スピードメーター&タコメーター

スピード&タコメーター

両方ともVDO製、スピード表示はマイル表示ですが一応Km表示もされています。スピードメーターは260km/hまで刻まれています。タコメーターは7000rpmまでの表示されており、シフトアップrpmが一番上にくるようにセットされています。

⑥水温メーター

水温メーター

メーカーVDO製、水温90℃超えるとサーモスタットが作動します。

⑦オイルプレッシャーメーター

オイルプレッシャーメーター

メーカーVDO製、走行時に3kg以上保持してればOKです。

⑧サイドブレーキレバー

サイドブレーキレバー

助手席のフットボックスの上にある黒いレバーがサイドブレーキです。場所が場所だけにシートベルトをしていると手が届かず非常に使いにくいです。特に坂道発進時には苦労します。(イギリスでは実際坂道はほとんどないので気にならない!?)

⑨シフトレバー

シフトレバー

5速で、シフトフィーリングはストロークが短くカチッと入りとてもいいフィーリングです。リバースは左側前方にプッシュして押し込むタイプ。シフトパターンは左前がリバース、そのとなりが1速、手前が2速、その右側手前が3速、手前が4速、更に右側前が5速で、各シフトへポジションへは短いストロークで操作できます。

⑩シート

シート

運転席側、助手席側ともに7cm前後程度スライドしますが、シート肉厚も薄く長時間のドライブはきついです。また年式も古いのでヘッドレストはありません。

⑪ペダル類

ペダルボックス

ペダルボックスに通常のMT車同様クラッチペダル、ブレーキペダル、アクセルペダルが並び、踏力は前述したようにアシストがないためブレーキペダルは重いです。それ以上に問題は前述したようにフットスペースが狭いため操作しにくく、セブン専用の幅の狭いドライビングシューズが必要です。

⑫シートベルト

購入には4点式LUKE製が装着されていましたが、すぐTAKATA製の4点式に変更、その後車検対応ということで3点式を追加しました。4点式は体がしっかりと固定されるのでハードなドライビングには適していますが、サイドブレーキ使用時は不向きです。

⑬消化器

消火器

最初から助手席シート前にハロン消火器が装着されていました。基本設計ではキャブレターの下にバッテリーが設置されていたので、キャブのオーバーフロー時にスパーク等で出火したら自分で“冷静”に消火器を使って消火するとのことです!

⑭荷室

荷室

ロールケージも貫通しており、十分なスペースはありません。私の場合バッテリーを荷室へ移動したので、車載工具&幌程度しかはいりません。最初から実用性ゼロと割り切っています。

⑮エキゾーストマフラー

エキゾーストマフラー

購入した時は当時の年代もありキャタライザーは装着されていませんでしたが、のちに社外品のキャタライザー付きマフラーに交換しました。ただ、マフラーカバーがないので、助手席側の乗り降りはやけどの注意が必要です。音量はサイレンサーが大きいせいか思ったより静かで、空ぶかししなければ近所迷惑にはなりません。(勝手にそう思っているのかもしれませんが)

⑯幌  
         

幌フレーム


幌装着

装着時はコツが必要です。まず荷室カバーを外して幌フレームを出します。次に幌フレームベルトを緩める方向で幌をかぶせます。幌はすべてホックでボディ側に取りつくのですがこれが至難の業です。特に冬季(この時期に一番使うことになる)は幌が冷えているので硬くまずは前方のスクリーン上部側からホックをはめていきます。その後後方廻りを取り付けて終了です。この際結構な力業になるので大変です。最後は室内から緩めてあった幌フレームベルトを締め付け完了です。これで、ただでさえ狭いコックピットが更に狭くなり、閉所恐怖症の方は無理かもしれません。また、2人で乗車する際は、前述したように一人でも大変なので、アクロバティックな格好で助手席の方とうまく息を合わせないと乗車&降車はできません。

⑰サスペンションダンパー

サスペンションダンパー

SPAX製のダンパーが装着されています。もともと乗り心地は期待していませんが、一般道での走行には問題ありません。サーキット走行される方はアジャスト機構が付いているものへ交換した方がいいかもしれません。

⑱フロントノーズカバー

ノーズカバー

材質はFRPでボンネットカバーを外した後に、クイックファスナー4か所を緩めると外れます。エンジン冷却水を補充する際はフロントノーズカバーを外さないとできません。

2) エンジン廻り

エンジン廻り

①    オイルパン

オイルパン

ウエットサンプなので深さがあり最低地上高は80mm程度なので傾斜のきついパーキングアプローチ、駐車場の車止め等に気を付けないと、オイルパン、ナンバープレートを破損してしまいます。

②エンジンオイル
エンジンオイルはMobile 1を使用しています。数年に一度オイル交換をしています。通常メンテはたまにオイル量をチェックして、不足分はオイルを継ぎ足すだけです。

ミッションオイル&デフオイルは車検時2回に1回(4年ごと)は交換しています。

3)電装系関連

①点火系:

LUCASフルトラ

メンテナンスフリーのフルトラになっています。デスビだと消耗に対するメンテナンスが必要になるので始動性はよくおかげでメンテ&トラブルフリーです。

②プラグ
指定は7番もしくは8番となっていますが私は7番を使っています。

③バッテリー
この手のクルマは日常使用するものではなく、且つノーマルのバッテリー容量ではぎりぎりなので外部環境によってはすぐにバッテリーが上がります。ノーマルの設置場所(キャブレター下部)ではメンテナンス性が悪いので、バッテリーのマウントトレーを自作し、荷室へ移動しました。その際電気抵抗を考慮してバッテリー自体の容量も上げケーブルも太くしました。また、バッテリーはメインスイッチが切られた状態でも微弱な電流を放出し続けるので、バッテリーの端子にカットオフ・スイッチ取り付けました。微弱電流による鉄・アルミの接触による電蝕作用を防げ、ボディの劣化も防止できます。

9.オーナーになったら覚悟すべき点

下記項目は一般のクルマでは全く縁のない問題ばかりですが、セブン特有の環境ですので知っておいてほしい事柄です。一般的にこの言い回しは悪い案件に使われますが、セブンにおけるこれらマイナス面に比べると楽しさはそれを大きく上回ることも知っておいてほしいです。

①    外部環境に対する快適性
夏の暑さ
よく廻りの方、隣に停車したドライバーからは、オープンカーは涼しそうでいいですねと声をかけられますが、日中に乗るのはお勧めできません。オープンカーですので直射日光を浴び、ドライビングするだけで上半身は日光浴できます。特に帽子は必須で、被らないと危険です。またペダルボックスの所でも書きましたが、エンジンルームとの遮蔽がアルミ板1枚なので下半身も地獄の暑さです。夏はサウナ風呂に入る覚悟で乗る覚悟が必要です。(熱中症要注意!)私は真夏に乗る際は、朝5時に家を出発し8時には帰宅します。

冬の寒さ
これも前述しましたが、夏とは逆にペダルボックスの暖かさとヒーターのおかげで足元は快適です。しかし幌を装着しない場合(サイドカーテンのみ)だと冷たい風が吹き込み、毛糸の帽子、耳当て、防寒グローブがないと凍えます。カッコさえ気にしなければフルフェイスヘルメットがベストでしょう。やはり冬季は乗車・降車を犠牲にしても幌を装着するのが一番の寒さ対策です。

②    走行音
この手のオープンカーでは走行中はエキゾーストノイズ、風切り音がひどく、一般道でも静寂とは無縁です。特に高速道路ではまともに助手席の人と会話できません。やはりバイク用インターカムが必要かもしれません。私は常時一人で乗車しているので困りませんが。

③    車高
オイルパンの所でも書きましたが最低地上高は80mm程度なので傾斜のきついパーキングアプローチ、駐車場の車止め等に気を付けないと、オイルパン、ナンバープレートを破損してしまいます。また車高の低さによりジャッキは通常のタイプは使用できず、低床タイプが必要です。

④    廻りの目
見ての通り既存のクルマの恰好とは大きく異なり、乗っているドライバーともども奇異な目で見られます。まず子供はセブン見て100%不思議な顔をします。まさにセブンに乗った瞬間から自分の趣味趣向が一般人とは異なることを周りにPRしていることを認識する必要があります。とにかくどこでも目立ちます。

10.トラブル履歴

もともとシンプルな構造なセブンですので、もしトラブルが発生しても致命的なトラブルはショップで対応してもらわなければなりませんが、大抵の問題は自分でホームセンターに行って部品を調達すれば何とかなります。とにかく、トラブルが大事に至らないよう、日ごろから日頃からこまめにメンテナンスをする必要があります。これもセブンは自分で“いじれる”からで、セブンを所有する楽しみの一つです。

①    ガス欠
事象:燃料メーターの制度が低く、残量が不正確
対応:エンプティ表示を自分で設定。因みにガソリンは無鉛ハイオクを使用

②    オイルパン損傷
事象:最低地上高が低いので路面の突起物に当たり損傷
対応:注意深い運転と、ぶつけた際は溶接にて修復

③    バッテリー
事象:ノーマルは容量が不足、場所(キャブ直下)もメンテナンス性が悪い
対応:50Wのタイプに変更。その際元の場所がスペース不足で置けないの
   で、荷室に移動

④    ヒーター故障
事象:ファンモーター内のマグネット脱落
対応:モーターを分解してマグネットを接着剤で固定

⑤    リアナンバープレートライト
事象:脱落
対応:他メーカー品購入し装着

⑥    エキゾーストマフラーリア取り付け部破損
事象:一応ブッシュマウントで固定されているが、振動でブラケット破損
対応:ブラケットを溶接で接合

⑦    スピードメーター
事象:ワイヤーケーブル駆動部分が摩耗して作動不良
対応:ワイヤーケーブル交換

⑧    タコメーター
事象:作動不良
対応:内部が壊れてしまい、ショップ経で専門めーかーで修理

⑨    クラッチ
事象:突然クラッチが切れにくくなりストロークが変化
対応:クラッチ・プレッシャープレートのスプリング折れ発生により
   クラッチプレート交換

⑩    ステアリング・ラック&ピニオン
事象:ステアリングのガタが発生
対応:タイロッドバー保持用カラーブッシュが割れガタが発生。樹脂
   ブッシュを自作・交換

11.日常のメンテナンス

メンテナンス時における特殊な工具等は必要ありませんが、最低でもインチサイズの工具類と低床タイプのジャッキは用意しておいた方がいいと思います。

もともと一般的な自動車メーカーの品質は期待しておらず、また制御系・電装系もシンプルなのでメンテナンスを含めちょっとした修理部品はホームセンターもしくはネットで購入でき、自分で対処できます。30年間乗ってきましたが致命的なトラブルは発生せず逆にシンプルが故トラブルが少ないのかもしれません

外装の手入れでは、アルミフロントフードパネルはアルミ研磨剤で磨くと鏡面のようになりますが、面倒なので長いこと何も処理していません。よって表面は酸化して白っぽくなっています。また、足回りの分はメッキ研磨剤で磨いており錆を防止しています。

前後フェンダー、ノーズコーンなどのFRP部品はワックスで磨いています。

ブレーキ&クラッチ廻りは車重が軽いため負担がかからず、ブレーキパッド、クラッチディスク消耗は低く特にメンテナンスに気を使う必要はないです。ただし、クラッチワイヤーは一度走行中に切れてしまい困りました。

エンジンオイルはMobile 1を使用しています。数年に一度オイル交換をしています。通常はオイル量をチェックして、不足分はオイルを継ぎ足すだけです。ミッションオイル&デフオイルは車検時2回に1回(4年ごと)は交換しています。

そして最後に、セブンと暮らすコツはいいショップを見つけることです。トラブルも少ないと書きましたが、やはり基本設計が何十年前のクルマです、いつどんなトラブルが出るか予測は付かないので、車検を含めメンテナンスを安心して任せられる信頼できるショップを見つけることがセブンと一緒に暮らすコツです。

12.総括

最後までこの記事を読んでくださりありがとうございました。オーナーとしての気持ちがすこしでも伝わってもらえたら嬉しいです。そしてこの記事を読んで、読者の2極化、即ちセブンはこんな大変なクルマでとても無理と思った方、一方で手間がかかるけど現代のクルマにはない魅力が沢山詰まった面白いクルマで是非乗ってみたいと思った方に分かれたのではないでしょうか。

*簡単に日常から非日常の世界への移動が可能なクルマ。

*ただ走るためだけに作られた無機質なメタルで出来たクルマ。

*荷物は積めない、二人しか乗れない、乗り心地は最悪の実用性ゼロの
 クルマ。

ただ操縦するだけの最低限の装置しかないタイトなコックピットに足を踏み入れ、地面に座るような低い位置に腰を沈め、ダッシュメーター裏のイグニッションをひねるとエンジンに火が入った時には、すっかり気分が変わっています。エンジンをかけるたびに嬉しさがこみあげてくる車なんて、そうあるものではないと思います。

とにかく、一度でもセブンに乗ってしまうとセブンシンドロームという厄介な病気に罹患して、サウンド、スピード、強烈なGの感覚が忘れられないので要注意です。興味を持ってくれた方、とにかく一度乗ってみてください、間違いなく非日常の世界へ飛び込めます!

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