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ビビリな保護犬に懐かれたい #3

犬といえば、たいていの犬は外が好き。
ドッグランで駆け回ったり、ボールを投げれば喜んで追いかけたり、道端のにおいを嗅ぐのに夢中になったり。

でも、そうじゃないわんこもいるんだと、全身で主張している子が目の前にいます。
震えながら庭の隅っこにうずくまって、一歩も動こうとしないこの子。
この記事の主人公、ビビリな保護犬のこうたくんです。


▼前回までの記事


30分の庭デビュー


「今日はこうたを庭に出してみようと思う」

そんなLINEが母から届き、慌てて準備し実家へ。

普通、犬を庭に出すくらいでこんなイベントごとにはならないのですが、こうたは実家に引き取られて半年、なかなか人にも懐かずちょっと大きい物音がしただけでお漏らしするようなビビり犬。

先日やっと狂犬病ワクチンを打つことができ、散歩に出かける権利を手に入れたところでした。

それでも、こうたに散歩デビューがまだ早いことは明々白々。やっと家の中で母親にだけ、心を許し始めたところなのに、リードを繋いで散歩に出かけるなんてハードルが高すぎる……。というより、そもそも歩いてくれるのか?

この心配が杞憂ではなかったことは、わたしが実家に到着してすぐに判明しました。


そう、狭い庭の端っこに、申し訳なさそうに小さく小さく丸まって、震えているこうたを見つけて。

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山で兄弟と一緒にいるところを捕獲されたと聞いていたので、外の世界にはそれなりに慣れているのではと期待もしていましたが、ビビりな本性のほうが勝っていたようです。


この日の庭での滞在時間は30分。
しかも家の中へと入れた途端、尻尾を丸めて自分の部屋へと一目散に逃げ帰るヘタレっぷり。
屈辱のデビュー戦となってしまいました。


牛歩、牛歩

自分の部屋に閉じこもって、誰も寄せ付けないぞ、と息巻く思春期全開の中学生、こうた。

まあ、そういう時期もあるよね、としばらくは寛大なふりをしていたわたし。

ただ、姉とは元来おせっかいなもの。
部屋に上がりこんで、話しかけたり撫でまわしたり。ほっといてくれよ!なんて台詞は聞く耳持たず。

そうこうしているうちに、相手もちょっとずつ絆されてくるんですね。

無遠慮な姉が押しかけてきたせいで狭いだけなのか、まあいいかという諦めなのか、わたしの膝に顎を乗せてくつろぎ始めました。

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姉とは元来、弟には甘いもの。
しかも、それが普段自分からは寄ってこない子ならなおさらです。情けないデビュー戦については、口をつぐむことにしました。


人への慣れ方でいえば、家族に対してはだいぶ進歩が見られたこの半年。新しい外の環境には、まだもう少し時間が必要なようです。

ふたりで散歩に行ける日はいつになるのか。

手のかかる弟のふわふわした毛並みを撫でながら、未来に想いを馳せる姉の休日はゆっくりゆっくり過ぎていきます。

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