他者の立場から自分を見る

退職した課長が最後の挨拶で、課員の一人ひとりにそれぞれの性格を見据えた上で成長のきっかけとなる一冊の本をくれた。

僕がもらった本は分厚く最初は気後れしたたけれど、あの課長のことだからきっとそれなりの考えでこの本を選んだんだろうなとついに興味が湧いて読み初めてしまった。

まだまだ序盤だが、ページをめくるたびに刺激されるほどのすごい本だ。
すごいというのは、あまりにも僕にぴったりの内容ということだ。適時というのがこういうことか。そんな思いで興味津々に読み進めていく。

結局退職までほぼ半年にわたって課長の下で仕事をした。課長は優しく親切で、仕事に苦戦している僕をよく助けてくれた。あまり課長から厳しいことを言われたことがないが、本を渡されたときの一言が響いた。

「君はフィードバックに弱い」と。

欠点を言われるとムキになるのは人間の本能だ。本当の意味で指摘されて嬉しい人なんかいない。一発で通る自分でいたい、と誰だって思う。

しかし、現実はそんな甘くない。仕事は特に指摘される場面が多い。僕は人の言うことに敏感で、たとえば相手がどんな思い出言っていたとしても、悪く言われているような受け止め方をする癖がある。

課長が付け加えた。「人がどんな思いでフィードバックしているか、分かっていない」と。

上司からのフィードバックに対して、僕はほとんど「はい、わかりました」で応じている。
面はそうでありながら内面は腹を立てることがしばしばだ。

かと言って、聞く耳を持たないと言われたら、それは違う。

聞く。よく聞く。ただ納得しないことが多いのだ。

納得しないということは、ハナから受け入れないということではない。自分なり噛み締めて考えた結果、自分に当てはまらないという結論を出している。

偉そうにしているつもりはなく、むしろ人に言葉を鵜呑みにしない自分を褒めてあげたい、そういう感覚だ。

ところが、課長からもらった本を読み始めると、人から見て自分がどう映るか。相手の立場に立って自分を見つめることを勧められた。外から自分を除いてみたらちょっとした、いやかなりのショックだった。客観的に見た自分はずっと思ってきた自分と違った。言われてきたフィードバックの意図はようやく理解できた。自分だって同じような指摘したくなる。

まだ読んでいる最中で、こうして人の目線で自分を見る、という自己認識能力というものを身につけることの大切さが説かれている。それから少しずつだけど、苦手な人に対してや、フィードバック言われそうなときに自分が他者にどう映っているか考えてみるようにしている。外の目に映る自分と自分の感覚のギャップが激しく、正直この作業はあまり好きではない。カッコ悪い自分が見えてしまうから。

でも、そのカッコ悪い自分に気づくことが改善のきっかけになる。たとえば、指導者なら教え子のミスを指摘するように、自分の良くないところを指摘することで、改善ができるのだ。もっと良い人生を送る上で絶対的にこの能力が必要だ。周りへの意識を高めてもっと高い自己認識能力が持てるように頑張っていきたい。

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