マンバ読書会『いい夏のマンガ』イベントレポート【2019年8月】②
どうも、クチコミとランキングでいいマンガが秒で見つかるサービス『マンバ』です!
8月24日(土)に、東京・豊島区にある『Comic Cafe & Bar しょかん』にて開催されたマンバ読書会「いい夏のマンガ」。こちらに、スペシャルゲストとしてご参加いただいた、マンガソムリエの兎来栄寿さんによるイベントレポートが届きました。ぜひお楽しみください!
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夏コミも終わり倒れそうになる日射もやや和らいで外出するハードルもやや低くなり、少しずつ秋に向かいつつある今日この頃いかがお過ごしでしょうか。マンガソムリエの兎来栄寿です。
コミティア前日でマンガ好きが沸き立つ8月24日(土)、池袋のComic Cafe & Bar しょかんさんにて「いい夏のマンガ」をテーマにした読書会が開催されました。
マンガ好きならテンションが上がらざるを得ない、壁一面マンガという空間に続々と集まるマンガ好きの方々。
「『ビューティフル・ドリーマー(うる星やつら2)』を観ないと夏は終われない!」と、ラムちゃんのTシャツを着てきて下さった方や、「某オンリーイベント『完全燃焼!』に行った足で来ました!」といった熱い方々にご参加頂き、夏らしさもひとしおでした。
実はこのとき、前回の読書会で「スクウェアとエニックス、合併前は二つの会社である」ということを知らない方がいた件に続き、「芸能人は歯が命」のキャッチコピーのCMを知っているかどうかで、世代が明確になる一幕がありました。「芸能人は歯が命」を知らない世代にも『ビューティフル・ドリーマー』の素晴らしさは伝わっている。こんなに美しいことがあるでしょうか。
そんな懐古主義的な感動はさておき、今回も様々なマンガが持ち寄られました。
夏っぽい作品を集めると青色成分が多めになりますね。
この日は特に『サマータイムレンダ』を好きな方が多く、自己紹介シートの好きな作品欄で挙げている方も複数いました。
「ジャンプ+は月曜日が強すぎる! 一瞬で30万部を突破した『SPY×FAMILY』、『地獄楽』、画太郎先生の新作『星の王子さま』、そして『サマータイムレンダ』!」
「わかります!」
「物語構成が面白いんですよね~。もう一度最初から読み直したい」
「『サマータイムレンダ』気になってたけど皆さんがそこまで推すなら読んでみようかな」
と、ほとばしる熱量にあてられて自然と読み始めてしまう方も。
海外マンガで夏を感じる作品として挙げられたのは、バスティアン・ヴィヴェスの『年上のひと』。
「普段あまり海外のマンガは読まないけど、これは読みやすい!」
と好評でした。陰影が特徴的ながらスタイリッシュな絵柄で日本人にも受け入れやすく、またしっかり「夏」を感じられる一作です。
「『スローニン』はひと夏の物語。人生で読んだマンガの中でもベスト5には入る」
「ひと夏の物語と言えば『スラムダンク』なんかもそうですよね」
「7年かけてひと夏の物語をやって、その後8年して(作中の最終話から)10日後の物語「あれから10日後」が出ましたね」
「『大甲子園』も地方予選を突破して優勝するまでのひと夏の物語」
「スポーツマンガだと結構ひと夏の物語が多い?」
「最近は『弱虫ペダル』とか2年目を描いているものも結構ありますよね」
などなど、トークも序盤からとても盛り上がっておりました。
さて。実はこの読書会では、小さなミラクルが起きていたんです!
それを写真に収めたものがこちら。
この3冊のマンガには、運命的な繫がりがあるんです…!
『トライガン』や『血界戦線』で知られる内藤泰弘先生の初期短編集『S.Flight』には、コマの並べ方が特殊で「あ、その持ち方をしているということはアレを読んでいるな」とわかる短編があるのですが、この本の幕間にて「高野文子先生のジーンズの描き方はずっと参考にしていました」という記述がありました。
そして奇しくもこの日、高野文子先生激推しの方より、代表作『絶対安全剃刀』が持ち込まれていました…!
さらにそれだけに留まらず、高野文子先生が帯文章を寄稿した千明初美先生の『ちひろのお城』もあるという小さな奇跡が起きていました。普段は全く見えない、意外な作品の意外な結び付きがこうして可視化される瞬間を目の当たりにすると、とても面白いですね。
また、今回もしょかんさんによる美味しいお料理が登場。
思わず、
「なぜ今……芋を食べだした?」
「……冷めてしまっては元も子もないので…」
という掛け合いをやりたくなる美味しい芋!
そしてこの日のMVPはねぎ塩たれのかかった鶏肉!
レギュラーメニューにして頂きたい美味しさでした。
シメにはエビピラフも。ある参加者の方からは「美味しいピラフ久しぶり!」と大好評でした。
1500円でワンドリンク+美味しい軽食もつくお得な読書会。
ぜひご参加してみてはいかがでしょうか(ダイレクトマーケティング)。
さてお腹も程よく満たされた所で、恒例の私・兎来によるマンガトークのコーナー。
この日は夏ということで、「青空の描き方から見るマンガの特色」、「個人的にお薦めしたい、都留泰作先生のマイナー名作『ナチュン』、『ムシヌユン』」、そこから派生し「知られざる沖縄マンガの世界」について語らせて頂きました。
こちらは沖縄マンガの代表作の一つである『山原バンバン』。ボーダーインクという出版社ともども、この作品の存在を知る方は会場に一人もいませんでした……マンバのOさんを除いては(マンバは凄まじいマンガ知識とマンガ愛に溢れた方々により運営されています)。
この『山原バンバン』は普通には読めないレベルの沖縄の生の方言が注釈付きで大量に登場したり、島で開催されている闘牛大会など多くの日本人には馴染みのない沖縄の日常が描かれていたりする夏の物語です。読むだけで沖縄の伝統的な文化・風土への理解が一気に進みます。
かつて存在した雑誌『コミックおきなわ』は1987年~1990年の間だけ刊行されて現在は廃刊になっていますが、コミックチャンプルーというWebサイトでも現在の沖縄マンガが読めますので興味がありましたらぜひ読んで見て下さい。
こちらがこの日に集まった本すべてです。
「夏」というテーマ一つでも多様な切り口で語ることができ、燃え滾るような熱さを持った作品から、蝉時雨の寂しさを感じさせられるような作品まで様々でした。四季のある日本だからこそ、こういった強く季節感を感じさせてくれる作品も沢山生まれるのだなあと思うと感慨深いものがあります。
そして、今回も終了時刻の21:00を過ぎても多くの方が会場に残っておりました。むしろ、間に合わなかった方が閉会後に「いい夏のマンガ」を持って加わる一幕も。
今回の読書会について、「『夏』というテーマはふわっとしていて特定のテーマに詳しくなくても参加できそう!」という声がありました。が、マンバ読書会はどんなテーマであろうと、そのテーマに詳しくない方のご参加も歓迎しております! 詳しい方々のお話を聞いたり、全然知らない名作に出逢えたりするだけで間違いなく楽しいですので。
次回のマンバ読書会は、9月28日(土)18:00より、今回と同じく池袋Comic Cafe & Bar しょかんさんにて「人生を変えたマンガ」をテーマに開催します。あなたの人生に大きな影響を与えた作品、誰かとの大切な思い出の作品などぜひ聞かせて下さい。
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