マンバ読書会『食マンガ』イベントレポート【2019年11月】
どうも、クチコミとランキングでいいマンガが秒で見つかるサービス『マンバ』です!
11月23日(土)に、東京・豊島区の『Comic Cafe & Bar しょかん』にて「食マンガ」がテーマのマンバ読書会が開催されました。
スペシャルゲストとしてご参加いただいた、マンガソムリエの兎来栄寿さんによるイベントレポートが届きました。どうぞお楽しみください!
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全国の紅葉もピークを過ぎ、めっきり冷え込んできた今日この頃。マンガソムリエの兎来栄寿です。皆様いかがお過ごしでしょうか。
幕之内一歩、 赤屍蔵人や赤山濯也などの誕生日だったさる11月23日(土)。
丁度この日から始まったシャーマンキング展の広告が掲示されていた池袋。小山田まん太の好物がタンシチューなのは今思えば大分贅沢だな、などと思考を馳せつつ。
池袋西口にある『Comic Cafe & Bar しょかん』さんにて、「食マンガ」を語るマンバ読書会が開催されました。
とてもオシャレな店内ですが、その一角には「よだれが止まらなくなるマンガ」のコーナーも。
幅広いレーベルの新旧の名作食マンガたちがひしめいていました。
この日は最近の食マンガの多様性を改めて強く認識することに。
開始時間が近付くにつれて、徐々に参加者の方とそれぞれ持参した色濃い食マンガが集結。
初めての方も常連の方も混じって、簡単な自己紹介から始まり早速各テーブルごとに食マンガについての語らいが行われました。
「『きのう何食べた?』、『いつかティファニーで朝食を』が好きです!」
「『もやしもん』の8巻のビール作りのくだりを読むといつも泣いてしまう」
「『灼熱カバディ』の王城正人はなぜあんなに短時間でリゾットを作ることができたのか」
「『鉄鍋のジャン』の主人公による妨害工作は衝撃を受けた」
「『異世界ちゃんこ』……なるほどこういうのもあるのか」
などなど、様々な食マンガを前に会話も弾んでいました。
また、会場には来られなかった方からも「古い作品だけど漬け物と女の人Love作品の『うめぼし(小池田マヤ著)』とかオススメです」というコメントを頂きました。
「マンガを読んで実際に食べたり作ったりした物はある?」という話題では、
「マンガ肉作りました!」
「大阪に『ルパン三世』のスパゲティなどを出してくれる店があるので、食べに行きました」
「『きのう何食べた?』の鮭とごぼうの炊き込みご飯やクレープは作りました」
「よしながふみの『愛がなくても喰って行けます』を読んでピエールマルコリーニに行った。北島亭にも行きたい」
「父親が『美味しんぼ』のカレーを作ってくれました。あまり美味しくなかった笑」
「『白熱日本酒教室』を読んで、日本酒の飲み方を学びました。2,3回読んで、日本酒のお店に行った時にこれは山廃純米なんだなーとか参考にしました」
「『めしにしましょう』の豚肩ロース作りましたね~」
「今話題の清野とおるさんの『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』のツナマヨネは10回やった。簡単に再現できる系はいいですね」
などなど、様々な面白いエピソードを聞くことができました。
「兎来さんは何か食マンガを見て作った物はありますか?」
と逆に尋ねられもしましたが、私自身の一番古い記憶は『OH!MYコンブ』のアイスプリン。基本的に負けない主人公のコンブが敗北を喫した強敵・闇の味帝国のクッキー、その彼が作ったのがバニラアイスとプリンを混ぜて作ったアイスプリンでした。実際に作ってみたのですが、残念ながら「まずくはないけど別々に食べた方が美味しい」と結論付けたのを覚えています。
すると、他の方からも
「きゅうりにハチミツをかけるとメロンの味になるという『OH!MYコンブ』の真似をして大失敗して以来、秋元康さんへの不信感が募った。大人に騙された原体験」
というあまりにも切ないエピソードが飛び出しました。
人は……こうして成長していくのですね…………
ちなみに他にもCLAMPさんの影響でミスドのエンゼルクリームを頼んだり、『ジョジョ』の影響でイタリアではスパゲッティネーロを、仙台ではごま蜜団子を食べたり、『波よ聞いてくれ』の主人公が勤めるスープカレー屋のモデル店に行ったり、『ミスター味っ子』を読んでお弁当を温めるために石灰を集めたり、『海街diary』のきんつばを食べたり、『クッキングパパ』の海水カレーを作ったり、最近では連載が始まった『染谷まこの雀荘メシ』のナポリタンを作ったりと様々なことをやってきました。
やっぱり、マンガを読むと食べてみたくなりますよね。
と、そんな私たちの願望を叶えて下さったのはしょかんの方々。
何と、オーナーがこの日のために○万円もかけて調理器具を新調!!思わず大丈夫か心配になってしまいましたが……
この後出てくる料理の美味しさにはそんな想いも吹き飛んでしまうのでした。
まずは『花のズボラ飯』に登場する代表的なメニュー、シャケトー!
こちらはマンガサロン『トリガー』でも一時期提供していたメニューということもあり、懐かしくも香ばしく食欲をそそる風味に舌鼓を打ちました。
続いては、『ハチミツとクローバー』で竹本君の作った切り干し大根入りの卵焼き!ヘルシーな味わいで、こちらも美味!
そして、『オリオリスープ』よりタコ入り鶏団子とカリフラワーの鍋!
寒くなったので、温かいスープが身に染みました。ポイントはタコが入っていることによって、鶏と野菜のみならない深みのある玄妙な味わいになっている所。
すべてとても美味しかったです! ご馳走様でした!食マンガの危険な点は「読むとお腹が空く」という所ですが、満たされてしまえばこちらのものです。
以下は、この日集まった食マンガ。カウンターに置ききれない位に集まったのは、最近でも最多でした。
ちなみにこの日は何とグルメマンガ4000冊所持、月に30冊のグルメマンガを買い寝る時以外は常にマンガを持っているというグルメマンガのスペシャリスト・旨井旬一さんにもお越しいただきました。
旨井さんが特に好きなのは『目玉焼きの黄身いつつぶす?』だそう。そして、今度『月刊養殖ビジネス』という雑誌で新たに魚マンガの連載を始めるそうですのでぜひ注目してみて下さい。
そんな旨井さんの前で僭越ながら、私から10分ほど「グルメマンガの歴史」について話させて頂きました。
食マンガ研究家の間でも共通見解となっている、『突撃ラーメン』及び『ケーキ ケーキ ケーキ』という元祖食マンガから、70年代・80年代・90年代の代表作と潮流、「リアクション」や「対決」について、そして2000年代に『深夜食堂』『孤独のグルメ』ドラマ化、『花のズボラ飯』の「このマンガがすごい!」第1位などによりブレイクしてからのムーブメントなどなど。
2017年に星海社新書で出された『グルメ漫画50年史』によれば、2009年までに刊行されたグルメマンガは約300作品。しかし、2010年代では400作品以上とのこと。
今現在まで含めれば、2010年代で500作品以上は確実に刊行されていることでしょう(カウントの仕方やグルメマンガの定義にもよるのでしょうが、旨井さん曰く、食マンガはもっともっと多く出ているとのことです)。
未だに食マンガは日々新しい作品がどんどん出てきており、まるでブームの衰えを感じることがありません。それどころか、「異世界」や「タピオカ」など近年のトピックスが扱われたり、今までなかったジャンルやテーマと掛け算されたりでまた無数の作品が生まれていっています。
なぜグルメマンガはこんなに人気があるのか。
私見ですが、やはり食というのは常に人間の生活の一部であり、生きることとニアイコールの営為。人間誰にとっても関心があり、共感もしやすいテーマという所がまず大きいでしょう。文化・風俗の一部であることから、時代によって変遷する姿を描くだけでも面白くテーマとして成り立つという所もありそうです。
そして、日本人の性質も大きく影響していると考えます。大きな街に出ればほぼあらゆる国の美味しい料理を食べることができてしまう。それどころか、その辺のコンビニに入るだけでも世界的に見ても非常にレベルの高い美味しい物を安価で24時間買えてしまう。SNSにも自分の写真より、美味しい食事ばかりを上げる人が大勢いる。美味しいものを食べるためだけに数十分から数時間の行列に並ぶ。元々、料理番組ではなくグルメ番組という世界的には珍しいコンテンツが大人気。そう、日本人は食という文化自体が元々大好きなのです。
とはいえ、『孤独のグルメ』はフランスでもキオスクで売られる位に大人気だそうなので、海外でも今後同じように人気が出る可能性も十分に考えられるでしょう。大多数の人がソイレントのような物だけ食べる時代にでもならない限り、食マンガがこれから先、廃れることも考えにくいのかなと思います。
今後も登場するであろう斬新な食マンガ、面白い食マンガが楽しみですね。
次回のマンバ読書会は『2019年のマンガ』を語る会として、1月18日(土)18:00から開催です。
また、12月21日(土)はマンガプレゼン大会も開催!推したいマンガを持ち時間5分でプレゼンし、ベストスピーカーを決める催しです。どなたでも、初参加の方でも大歓迎のアットホームな会ですので、ぜひお気軽にご参加下さい。
↓お申し込みはPeatixからどうぞ!
【おまけ】マンバの『食マンガ』一覧
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