気おくれしそうになった君に
試験
……
型の審査を受ける。こじんまりとした道場。辺りに人の気配はなく、自分の他に受験生が一人、講師が一人いる。
その受験生が先に試演する。
真剣を危なげなく操り、滑らかな稜線を描き、振る舞っていて、見ていると眠りに誘われて、身体ごと引き込まれてしまう……
自分の番となるが、何も練習してないどころか、真剣を持ったことすらなく、剣の怖さと実力差に臆して辞退することにする。
「うん、いいんだけど……もう審査の先生も用意して頂いてるしね……これが1点。もっと早くに言うことだし、無礼にあたる……これが2点」
講師には亡き祖母の面影がある。
……
裕美がタイトなミニスカートを履いて、決意の表情で突き進み、観衆の前で踊ることになる。
学校の中庭で、全校生徒が座れる程の椅子が置いてあり、既に半数以上が埋まっている。
校舎の2階程も高さのある巨大な三脚式の照明兼スピーカーが左右に配されている。
そのあまりの規模の大きさ、それでいて整頓されている様に驚嘆する。
(さっきの審査との違いは何?)
憶する。
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