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<自己紹介>「ライター・ウィルソン」の話をしたいと思います。

「打席にも立てていないってことなんですよ」

ライター仲間の貝津さんに、ギクリとする言葉をもらった。こんな仕事がしてみたい、こんな働き方がしたい、と話していた末のことだ。

「私たちはこんなにもライターとして届けたいことがハッキリとしているのに、それを伝えてきていない。これはベンチで素振りばかりして、打席には立ててないということらしいんです!」

なるほど。そういえば先日、別の人にも「こんな想いでライターやってて……」と話したら「全然知らなかった!もっと発信した方がいいですよ!」と言われた。つくづく、自分のことを話すのが得意じゃないなと苦笑いしてしまう。だから、人の話を聞く仕事に就いたのかもしれない(笑)

けれど、自分のことすら上手に伝えられないのでは、ライターとして人の物語を伝えることもできないだろう。noteでは子育ての話も書きつつ、そろそろちゃんと「私」の話をしなければ。

と、前置きが長くなったけれど、まずは自己紹介の記事を書きましょうね!と貝津さんと約束した。ちなみに貝津さんは行動が早いので既に素敵な自己紹介記事をこちらに書いている。読んでもらえばわかる通り、とても熱い想いを持ったライターさんです!

私が何がしたくてライターになったのか、どんなことをしてきて、これからどうなりたいのか。長くなるけれど、もしよければお付き合いください。(お仕事実績については「役に立てること①」以降をどうぞ!)

私がライターになるまで

幸せだ、と感じると泣いてしまう、ちょっと変わった子どもだった。

家族で楽しい時間を過ごしたり、おばあちゃんと散歩に行ったりすると「いつかみんな死んじゃうんだ……この幸せは永遠には続かないんだ……」と勝手に諸行無常を感じて涙していた(どんな子どもだよ)。いや、今思えば、幸せというものに執着している子どもだったのかもしれない。

私の人生で大きなキーワードとなる「児童労働」について知ったのは、大学一年生の時だった。国際協力専攻で、さまざまなセミナーやイベントに参加するなかで「世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)」と出会い、啓発担当としてインターンすることになったのだった。

私が「授業だりーなー」と言っているあいだに、自分よりも幼い子どもが家族のために働いているという事実。私がたいして進路も真面目に考えず、未来にいくつも選択肢があるのが当たり前だと思っている頃、私の身の回りのものを作っている人たちには「夢を抱く」という機会すら与えられない。

note「私も『そこにいる人』を伝えたい。だから書く。」より

私が失うことを恐れていた「幸せ」は、ある人にとっては“手に入れることすらできないもの”だった。その衝撃たるや、罪悪感たるや。

日本という恵まれた国に生まれただけのラッキーな私は「無知」であるが故に、彼らを「人」として認識することがなかったが故に、彼らを搾取して傷つける一端を担っていたんじゃないか。その可能性が苦しかった。

だったら。恵まれた環境のおかげで培った力を彼らのために、「生まれた場所が違うだけ」で起こる格差のために、使うべきだと思った。若い10代の綺麗事だとしても。

note「私も『そこにいる人』を伝えたい。だから書く。」より

児童労働だけでなく、途上国における低賃金労働、その環境の悪さを知るたびに感じるなんとも言えない苦しさ。楽しかったはずの買い物も、物が溢れるショッピングモールも、つらいものになってしまった。物を手に取るたびに「なんでこんなに安いんだろう」「誰が作っているんだろう」と思うようになった。これを作っている彼らに、喜びは、楽しみは、夢はあるのかな?と考えてしまう。

とはいえ、私だって何も買わないわけにはいかないわけで。エシカルブランドだけで生活できるほどお金もないわけで(当時は選択肢も本当になかったし)。私が、生活のほんの一部でもいいから「誰が、どんな環境で作ったかわかるもの」を買いたいなと思うようになったのは、そこからだ。


その頃、自分が働いていく上での、ビジョンとミッションを決めた。当時はビジョン・ミッションという言葉に落とし込めていなくて、なんとなく考えていたものだけれど。

ビジョン「すべての人が愛しいものに囲まれて暮らす世界」
みんなが、心から愛しいと思えるものに囲まれる世界を目指そう。これは作る人も使う人も、みんな。そのために自分の労働力を使おう、と決めた。

本当に愛しいと思える物ならば、ワンシーズンで捨てたり、無下に扱って壊すことはないんじゃないか。「また買えばいいや」とは思わないかも。理想を言えば、そういう大量生産・消費の反対側にあるような生活になったらいいなあと思っている。

あと、ここで言う「もの」は「者」でもある。家族や友人と引き離されることもなく、愛しい人たちと将来を夢見ながら幸せに暮らすこと。作る人たちの人権がちゃんと守られるような世界になってほしい。そのために何ができるのかは、まだまだ模索中だ。

ミッション「物の向こう側と出会う、そして伝える」
私は、ほとんどの場合、身の回りのものを作っている人を知らない。この洋服も、この野菜も、どこの誰がどんな気持ちで作ったのか、それまで考えたこともなかった。

それを知る方法は、“出会う”しかないのだ。出会って、その人のことが好きになって、想像を超えた過程や込められた想いを知ったら、私はその物がたまらなく好きになる。「あの人が作ってくれたんだ」と大事にする。だから、私は“物の向こう側”にいる彼らと出会いたい。

そういえば、工場見学や美術館の帰りにギフトショップに寄るのが大好きだったなあ。作っている人たちに出会って、その想いを知ってから、物を買う。これが当たり前の社会になったらいいなという気持ちを込めて、私は「物の向こう側」にいる人や風景を伝えていきたいと思うようになった。

「物の向こう側を伝える」と決めてから働き始めたのは、八百屋だった。オーガニックの野菜やこだわりの食品を中心に扱うお店で、日々発注と品出しに追われながら、ポップを書くことと新商品を食べることを楽しみに生きていた。

国際協力畑の自分が少数派な考え方だという自覚はあったし、実際に人々が商品を買うときにどんなところを見ているのか、何が購入の決め手になるのかを自分の目で確かめてみたいと思ったのが大きな理由。そこで「物の作られる背景」を伝えることができたら……という気持ちもあった。でも、お店の立ち位置や求められるものによると思うが、ほとんどの人が気にしていたのは値段と見た目と農薬だったように思う。

ある時「この野菜は農薬を使っているからねえ……」とお客さんに言われたことがある。私はその農家さんが「お客さんに良いものを届けたい」という一心で、数ある肥料や農薬の中から使うものを選んでいるのを知っていたから、なんとももどかしい気持ちになった。表示じゃなくて、彼のことを、彼の想いを見てほしいなあと思っても、販売員トークと思われてしまうのではと歯痒かった。

どうにかして商品だけではなく、彼らの想いや人柄を伝える方法があれば……。そうして私は、よちよちと文章を書き始めた。農家さんだけでなく、知り合いに紹介してもらった伝統工芸の職人さんたちにも話を聞いて、ブログにまとめる。商品の魅力だけでなく、作っているのはどんな人で、どんな生活をしているのか、私の目と文章を通して知ってもらえたら、という気持ちだった。

書き始めてみると、思わぬ発見があった。自己満足で書かせてもらったものなのに、取材した方々がとても喜んでくれたのだ。拙い文章と写真をわざわざ印刷して「これ書いてもらったんだ。今まで話したことなかったことばかりだけど、ぜひ読んでみて」と周囲に配ってくれる人もいた。

今も仲良くしてもらっているミニトマト農家さんと。

正直、書くことはつらかった。全然うまく書けないし、時間はかかるし、「産みの苦しみってこういうこと……?」と思いながら書いていた(今もそう)。でも、物の向こう側を伝えるためにできるのは書くことだけだと思っていたし、書いてくれてありがとう、と言われるたびになんだかめちゃくちゃにやる気が出た

実は当時、ライターになるという選択肢は全然なかった。ただ単純に、もっと喜んでもらえる文章、読んだ人がまるで作り手さんに会いに行ったと思うような文章が書きたい!と申し込んだライター講座で出会ったのが、川内イオさんだった。イオさんの仕事への考え方と楽しく生きてます!という姿に感激して、気付けばめちゃくちゃ長文のお礼メールを送っていたのが、私のライター人生の始まりである。

そして、ほぼ時期を同じくして、メディア「70seeds」を運営する会社に転職し、週3日会社員をさせてもらっている。(このあたりの、多くの方々に拾ってもらった話はまた別の記事に。)

こうして、ライターになったわけだけれど、日々改めてこの仕事の素晴らしさを感じている。自分自身が出会い、伝えたいと思っていた物の向こう側に、仕事を通して行けるなんて本当に幸せな仕事だなあと思う。

作る過程を見せてもらって、込められた想いを聴く。取材はいつも初めて知ることばかりで、自分の未熟さと世の中の面白さで目が回りそうだ。話を聞いた帰り道、私はいつも興奮し、彼らの作るものが愛おしくてたまらない。それを伝えるためだけに、書いているのだと思う。

お仕事として記事を書かせてもらうようになってから、ものづくりだけでなく、場所やコトの背景にある想いも同じように届けたいと思うようにもなった。商品として存在していなくても、何かが生まれるところには誰かの想いがある。

そして、多くの出会いを経て、私の買い物はまた楽しいものになってきた。物を作る人がいて、それを使う人がいるって本当に素晴らしいなと思えるようになった。だから、この「出会い」を他の人にも届けたい。愛しいものに囲まれる世界のために、込められた想いを伝えたい。私がしたいことはきっと間違っていないはず、と思っている。

役に立てること①取材記事

物・コト・場所などの「向こう側にある想い」を伝える記事を書きます。大切にしているのは、できる限りその場に出向き、出会い、感じたことを文章にすること。

他のライターさんもそうだと思うのだけど、取材していると相手のことがどんどん好きになってしまい、仕事をすればするほど「推し」が増え続けている日々です。

詳しい過去の実績は、下記よりご覧ください。(がんばって随時更新!)

役に立てること②HPや冊子の紹介文

以前、ホームページのリニューアルで掲載する文章の作成をお手伝いしました。

  • ステートメント

  • 会社の歴史

  • 商品の特徴や魅力

  • 働く方々の人柄など

を、数ヶ月にわたって一緒に言葉にしていきました。

取材をして一本の記事を書くのと違い、想いを何度も繰り返し伺いながら言葉を重ねていくのは新鮮で。「一緒に言葉を作っていく」という感覚がとても楽しかった。

文章を書くのは取材記事に留まらず、こういう形で想いを持っている人たちのお役に立てるのだな、と発見させてもらえたお仕事でした。ご依頼時の詳細と内容は下記をどうぞ。

役に立てること③想いの言語化・言葉にするお手伝い

「ちょっと壁打ちさせてもらえませんか?」という、ふとした相談から始まったお手伝い。

以前取材させていただいたことがあった社会起業家の前川裕奈さんのnoteのマガジンタイトルを一緒に考えました。そこから少しずつですが、世に出す投稿の順番を一緒にモンモン考えたり、届けたい相手を一緒にウンウン思い描いたりさせてもらってます。いずれ必要とされるなら、記事の編集でもお手伝いできるかもしれない。とても読みやすく、熱い想いを持って書かれているマガジンなので、ぜひ読んでみてください。

このタイトル「#女戦士になりたかったわけじゃないのにね」は、裕奈さんが発信していきたい内容を教えてもらって壁打ちをしまくり、何十通りもの言葉を出し合いながらふたりで決めたもの。

「この情報必要かな……」「この書き方で伝わるのかな……」

ひとりで書いて発信しているとわからなくなって、不安になってくることも、客観的に見てくれる相手がいるだけで整理されるのかもと思っています。私自身がそうなので、少しでもそういう寄り添い方ができたら嬉しい。テーマを問わず、想いを持っている人の気持ちを言語化する壁打ち相手ができるんじゃないかな、と思っています。

役に立てること(番外編)

言葉に関してで言うと、仲間と一緒にこのひよりというサービスを作っています。「大切な記憶を、言葉に」というテーマで、忘れたくない思い出をインタビューして本にして贈るものです。

せっかく「人の話や想いを聴いて書く」ことができるなら、もっとたくさんの人に喜んでもらいたいな、と始めました。これまで取材させてもらった方々が「記事にしてもらえて嬉しい」「インタビューしてもらったら思わぬ発見があった」と言ってくれたことがヒントになっています。

おわりに

ここまで書いてきて、なかなか感慨深い。喜んでもらえることが嬉しくて、自分が感動したことを伝えたくて文章を書いてきたら、こんなに色々な形でお仕事になっていたんだ……。何かしらの形で人の役に立てることが嬉しいのは、最初に取材した作り手さんたちが喜んでくれたときから変わっていないのかもしれない。

なんだかまだまだ役に立てそうなことってあるんじゃないか?という気がしてきました。この記事で私という人間を少しでも知ってもらって、一緒に仕事ができたら楽しそうだと思ってもらえたら、「やってみる?」とお誘いいただけたら嬉しいです。いろんな出会いをお待ちしてます!

■メールアドレス:manawilson.5@gmail.com
■リットリンク:https://lit.link/en/manawilson

(各種DMなどでも大丈夫です)


ふう、ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。ちゃんと打席に立てたかな。「ちゃんと届いたぜ!」という人も「長いよ!!!」と思った人も、ぜひ「いいね」していっていただけましたら。ドキドキしながら発信してよかったと思えます。

それにしても、自分の人生を振り返ると、クサい言葉だとは思いつつ愛と感謝が溢れるなあ。これを書くきっかけをくれた貝津さん、拾ってくださった師匠や社長、そしてここに書けるようなお仕事をご依頼くださったみなさま、もちろんこれまで取材させていただいた方々。私をライター・ウィルソンにしてくださっているみなさまに、改めて愛と感謝を。


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