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母を見習うでないぞ

「お父さんと朝方まで名前を考えてたの。それでやっと寝たらバシャーって破水して、動かなくなっちゃってこわかった。どうしようどうしようって思ってたら、ちょっとだけ、ぴくって動いたの。安心したなあ」

これは母が毎年、毎年、繰り返し話す私の誕生日の話だ。私は予定日より1ヶ月も早く、大破水して生まれてきた。もう嫌と言うほど何度も聞かされているこの話。

今までは「もうわかったよ」と言いながら聞き流してきた誕生日の話を、今年は少し違う気持ちで聞いている。

今までと違うのは、私のおなかにもあと1ヶ月で生まれる娘がいることだ。

毎日びっくりするくらい動き回る胎児と過ごす毎日は、28年前に母が体験していた日々と重ねられる。

そして大破水。歩きすぎたのがいけなかったのかな、寝不足だったからかな。母がそのとき感じた不安は、今や他人事ではない。

きっと私も、毎年、毎年、娘の誕生日が来るたびに話すんだろうな。30年近く経っても色褪せない、はじめて娘に出会えた日のことを。

そして「もうわかったよ」と言われるのだろうけど、それでも話し続けようと決めた。

ようやく産休に入ったばかり。どうかおなかの中の娘には、私を見習わずに、もう1ヶ月おとなしくしていてほしい。大破水は勘弁よ。

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