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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』試写

虎ノ門に行く時はソニー・ピクチャーズで映画の試写を観るぐらい。銀座線に乗っていくのが渋谷からは直通で早いけど、新しくなった銀座線は導線が終わってるという話も聞いていた。そのため渋谷から半蔵門線に乗り表参道に、降りたホームはちょうど浅草方面の銀座線が同じなのでそれが一番いい気がする。そんなわけで試写のお知らせをもらっていた『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を観にソニー・ピクチャーズに。

アメリカでは去年のクリスマスぐらいに公開になっているみたいで、題名は『LITTLE WOMEN』、邦題は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』なので観るとなるほどなあと思った。最初は邦題長すぎるんじゃないかなって思った。

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「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。幼なじみローリーを「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、長女メグを「美女と野獣」のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、ジョーの人生に大きな影響を与えるマーチ叔母をメリル・ストリープがそれぞれ演じる。(映画.comより)

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一番の興味はやはり『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナン主演コンビ再びということになると思う。『20 センチュリー・ウーマン』でのグレタ・ガーウィグが演じた女性がすごく素敵で最高にクールだった。彼女が監督した『レディ・バード』も試写で一足早く観ることができた。

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「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。「フランシス・ハ」や「ハンナだけど、生きていく!」などでは脚本も手がけ、「Nights and Weekends」(日本未公開)では共同監督を務めた経験もあるガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンをとった。カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。主人公クリスティンを「ブルックリン」「つぐない」でアカデミー賞候補にもなった若手実力派のシアーシャ・ローナン、母親マリオン役をテレビや舞台で活躍するベテラン女優のローリー・メトカーフが演じた。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。(映画.comより)
6月公開の『レディ・バード』試写鑑賞。予告を観ていたイメージだと『小説すばる』で連載してそうなのに『すばる』で連載してたねって感じがした。これでわかってくれる人だとイメージしやすいと思うのだけど、あまりいないか。展開は思ったよりも早くない。わりとワンエピソードが長いのか、90分ぐらいなのにいい意味でそれより長く感じる。テンポ良く進まないで落ち着いている感じがした。
中途半端な田舎・サクラメントの女子高生が上京する前の高校三年性の一年間、母と娘の衝突と田舎と家族について描いている。どの時代にもある普遍性のある話、かわいいのに小憎たらしい主人公が父母の庇護から飛び立つまでの物語だからか、ポスターのキャッチコピーが「羽ばたけ、自分」なんだろう。そして、2002年という時代のアメリカが舞台の背景というものも監督のグレタ・ガーウィグが83年生まれなので、自分の高校時代に近い設定なのかもしれない。
9.11が起きてイラク戦争が始まり、リーマンショックとグローバリズムの波と世界的な保守化が始まる前夜、日本だと『木更津キャッツアイ』が始まって地元まったり上京志向がなくなるのを予見していた頃にあたる。
アメリカだとNYに行きたいとか都市部に行きたいとなると親からしたらテロが起きそうとかそういう心配もあったと思う。世界中の大都市ではテロが起きるかもしれないという時代に突入していくわけだしね。
韓国映画『サニー』みたいに日本版をインディーズ系でリメイクできそうだと思う。上京ものなので、これから進学を考えている高校生にもいいだろうし、上京して少し経った大学生とか、30歳とかの世代だと懐かしさもある、親になった人だったら主人公の親目線で観れるだろうなって。
ハデさはないけど、しっかりした作品なのでヒットしたらいいなあ。(2018-03-13)

試写を観てこのようなことを感想で書いていた。

『20センチュリー・ウーマン』は劇場で観た。グレタ・ガーウィグの女優だけではなく監督としても信頼度が高いだけに、この『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の期待が上がるのは仕方ない。


公開は3月後半になるらしいので、ネタバレもしないけど試写を観れてむちゃくちゃよかった!  小説家だけではなくライターや文章に関わる物書き関係者はグッサグサに刺さりまくる部分もあるし、またなにかを創ってる創作クラスタ刺さりまくるだろう。次女の作家志望のジョーを主人公視点に置いているが、四姉妹を巡るシスターフッドの話だし、グレタ・ガーウィグ監督やっぱりすごい、今だよ今観るべきだし、みんなが考えていかないといけないことをしっかり描いてる。

フェミニズム文脈もあるけど、男とか女とかLGBTQすべての人に観てほしい、誰かに強要されるんじゃなくて個人として生き方を選んで生きる話なので、多くの人に届くはずだ。僕は何回も泣いてしまったけど、周りの人もかなり泣いていた。ほんとうにいい作品だった。役者も衣装も素敵だった。

四姉妹それぞれがキャラも立ってるし、関係性も含めてバランスがよい。長女のメグのエマ・ワトソンと次女のジョーのシアーシャ・ローナンは若くしてその才能が認められている女優さんだが、三女のベスのエリザ・スカンレン、四女のエイミーのフローレンス・ピューも素晴らしい。エイミーは一家の希望としてマーチ叔母に見出されるのだが、ジョーがNYに行く前の実家にいた時とその後の顔の表情の変化などもすごく、エイミーが同じ人であるのはわかるけど、洗練される前と後というをうまく演じれていたと思う。


小説家志望のジョーが金のために売れる小説を書くこと、それを読んだある人物から「それは君が書きたいものなのか」「僕は好きじゃない」と言われる部分など、多くの人が共感する、悩むところでもある。彼女が一度小説を書かなくなって、もう一度書き始める時、その流れに関しては自然と涙が零れてしまった。何箇所も泣いてしまう部分があるのだが、ストーリー展開、現在と過去をうまく結び付けて話を進めていく、登場人物たちが魅力的なので二時間少しは長く感じない。


幼なじみローリーをティモシー・シャラメが演じているが、基本的にこの作品に出てくる男性陣は理性的であり、当時も今もこんな男性もっといるのが普通なんじゃないとグレタ監督が描いているようにも思える。
ひとりの個人として自分で選んで生きることを描いている、そのためには今のような昔を引きずったままの価値観では誰も幸せになれないし、変化を受け入れることができないだろう。男とか女とかLGBTQとか関係なく、ひとりの個人として認められ、尊厳を認め合える世界になっていってほしいし、しないといけない。韓国の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』みたいにヒットしてほしいし、作品からいい波及効果が起きそうな予感がする。

monokaki」で連載していた三宅香帆さんの『新時代のヒロイン図鑑』でテーマだった「姉妹ヒロイン」「シスターフッド」にも通じるし、社会の不自由、イデオロギーに抗っているのが映画の主人公のジョーだった。素晴らしい作品なのでヒットして多くの人に観られるといいな。


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