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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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(31) 通勤時間が爆長くなったので毎日本を一冊ずつ読むことにした

 通勤時間を利用した読書の記録です。冬だから、バナナと納豆ばかり食べて、出来る限り午前中のうちから出かけて、セロトニンを分泌するように心がけて過ごしている。冬が好きな人に、「冬って身体痛くならない?」と訊いたら、よくわからんと言われた。疼痛っつーの? わたしは、なんか、背中とか頭とかいろんなところが痛くなるんだよ。冬は。読書する気が全然起きなくて朝も電車の中でずーっと寝てしまうんだけど、それでも何冊か読めてえらかった週。

171. 死のテレビ実験---人はそこまで服従するのか

 図書館で借りた。心理実験の応用として、架空のクイズ番組を作り、「テレビの権威」によって人は人が死ぬと言われる量の電気ショックを流せるか。という実験を追ったドキュメンタリー。権威から逃げる方法として、相手(今回はテレビ側)の言った文脈を利用して参加を拒否する という方法が挙げられていて、それはちゃんと人の話を聞いてないとできないことだなと思った。逆に人に電気ショックを与え続けた参加者に「上の言うことはとにかく従う」という性質の人が多かったのは、それはそうかな という感じ。ここで取り上げられていたのは消防士の人だったかな。「上の言うことはとにかく従う」というと公務員の友人たちの顔がパッと思い浮かぶ。彼らは電気ショックを施せるんだろうか。きっと施せる人たちもいっぱいいるだろう。しかし多分わたしも権威に責任転嫁して人を殺せる人間だ。
 面白いなと思ったのは、抵抗の手段として「したくありません」とか「このままだと死んでしまうのではないですか」とか発言した人の多くが、その発言をした後に電気ショックを与えていたということ。発言をしたことでガス抜きができて、「自分は抵抗した。自分は悪くない」と電気ショックを与えてしまう。毅然とした態度を取って舞台から降りる人と、ぐちゃぐちゃ反論して(感情が激しく乱れたりもしながら)結局電気ショックを与える人の姿が対比して描かれると、グロテスクだなあと思った。

172. よかれと思ってやったのに

 桃山商事の清田さんの本。桃山商事の『生き抜くための恋愛相談』がめっちゃいい本だったのでKindleで買った。女たちから見て「なんで男たちってこうなの?」と思うような行動を、男性筆者の目線で論理的に読み解いていこうという主旨。相変わらず鋭い考察があって面白い。
 ただ、なんか数年前に桃山商事と出会った時から比べると、すごく清田さんが小さくなっているように見えるというか、めちゃめちゃ「反省」させられてる……?と思った。本の内容的にはそりゃそう(男の不可解な行動を男が自己分析する内容だから、嫌でも自分の非合理な部分を洗い出さなければならない)なんだけど、なんかすごく女性に対して迎合的というか、そんなに縮こまらなくてもいいのに……。とちょっと思った。世間のフェミニストの女性たちの言う「男性にも当事者意識を持ってほしい」というのはその通りなんだけど、彼女たちもまた自分に都合の良いことばかり言っていることがあるじゃん。 例えば男たちとの自由恋愛は楽しみたいが、老後は女だけで暮らしたい みたいなさ……。ていうか今のフェミニズム?の主流?って「結婚したい、育児してほしい、家事してほしい、仕事させてほしいけどあくまで共働きがいい(経済的に頼ってこないでほしい)、わたしの意見を尊重して話し合ってほしい、後は知らん(男性の自殺率の高さ、ホモソ体質のきつい場所でのいじめ、仕事を一生続けなければいけない風潮、重労働はとにかく男性にさせる風潮などは自分たちで解決してほしい)」って感じじゃない? こういうこと書いてるとアンチフェミだと思われそうなのもマジで無理。私怨を書いてしまったな……? ともかく、そんなに自らの男性性を呪わなくてもいいのにな。と思った。面白かったけど。

173. アリエリー教授の人生相談室──行動経済学で解決する100の不合理

 『よかれと思ってやったのに』を読んで鬱々としてしまったので、昔読んだことあるけどどんなんだっけなーと思った本を再読。行動経済学の先生が受けるお悩み相談の本。「ある行動を起こすか迷ったら、その行動のモデルを実際にやってみる。それをしたくない・やりたくないのであれば、諦める」(例えば、彼女と結婚するか悩んでいる場合、その彼女のお母さんと長い時間過ごせるかどうか試してみる など)という回答が多くて、なるほどね!と思った。わたしと結婚するか悩んでいる相手がいたとして、うちの母と長い時間過ごせるかは疑問だけど……。 このあとに冒頭だけ読んで放置してた同著者の『予想どおりに不合理』を読もうとしたんだけど、また冒頭だけ読んでギブアップした。なんでだろう?

174〜176. ラブひな(1)〜(3)

 Prime readingより。タイトルは知ってるけどどんな内容なのかは読むまで全然知らなかった。東大を目指す男女の話なんだねぇ……! そしてラブコメのやり方にとても時代を感じる。こうしてみると、ToLOVEるとかってちゃんと現代ナイズされてるんだなと思った。主人公は女の子のおっぱいによく触れるんだけど、女の胸から「フニ❤️」なんて音はしない。本当にすれ違いざまに胸に当たったとしたら、モ゛ッ って感じだ。 

177. 生きるとは、自分の物語をつくること

 河合隼雄と小川洋子の対談集。河合隼雄の本は『カウンセリングを語る(上)』ぶりだけど、対談集なのでこちらの方がだいぶ軽い内容。『博士の愛した数式』の話が結構出てきて、懐かしい〜〜!と思った。わたしが高校1年くらいのときに読んだんだよな。あの頃読む本としてふさわしいセレクトな気がする。
 『カウンセリングを語る(上)』だけだと著者の表情までは窺えないけれど、この対談集を読んで、とても笑顔が多い人だったんだということが分かった。そしてあの本に書かれていたように、文学や哲学など、広い世界のことを本当によく知っていらっしゃる人。すごいなあと改めて思った。小川洋子の小説もわりとよく読んでいた(というか、『妊娠カレンダー』はわたしの思春期の根幹になっているほど影響を受けている)ので、彼女が苦しんで小説を書いているということや、物語に対する姿勢などが分かって面白かった。金光教について話が出てきてとてもびっくりした。そうなんだ! 10年以上読んでいても分からないんだなって、そりゃそうなんだけど。それについて書かれたものを全く読んでこなかったから。
 そういえば、小説家のエッセイはわたしはわりと抵抗なく読むほうだけど、小川洋子のそれは読んだことがなかったな。でもそんなに私生活に興味があるわけでもないんだ。「こんな文章を書く人は、どんな生活をしているんだろう?」って気になる人もいるのにな。いろんなことを考える機会になる本だった。

178. 消えたい ──虐待された人の生き方から知る心の幸せ

 困った時の虐待・自殺・殺人カテゴリ。あれ? なんか「わかるー」だけじゃないことが書いてあるな? と思ったんだけど、よく読んだら母親が軽度の知的障害を持っていて、かつ虐待を受けたことのある子どもたちについての本だった。当事者たちを「異邦人」とあえて別のカテゴリに分けて書いているのも特徴的。
 精神科の医師が書いている本で、臨床の現場での発言を再現して書かれているところもたくさんあるんだけど、「え、こんなに精神科の医者ってよく喋るの?」と正直思った。わたしが通ったことのある精神科の医者が喋らなすぎるだけかもしれないけど。この人がよく言う「あなたは人の何倍も頑張ってきたんですよ」ってわたしもカウンセリングかなんかで言われたことがある言葉なんだけど、こうして読むと、常套句なんだな…… と白けた気持ちになった。

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