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(33) 通勤時間が爆長くなったので毎日本を一冊ずつ読むことにした

 通勤時間を利用した読書記録です。図書館で借りてきた本といまいちテンションが合わなくて、買う本が多かった。ステイホームを楽しむためにボードゲームをたくさん買い込んだりして、楽しく生きています。

186. A3(下)

 Kindleで買った。不思議なことに、読んでいくうちに筆者の情緒的な部分がどんどん好きになってくる。小菅駅(拘置所の最寄駅)で怒るエピソードとか、たぶん実際に見ていたら「怖っ」と思うだろうけど、ずっと読んでいるからか心理的に近い気分になってきて、「そうだそうだ、理不尽だ」と言いたくなるような気持ちになる。
 最後のほうに書かれる筆者の推測パートは、面白すぎてページを捲る手が止まらなかった。過剰な忖度を生み出す、レセプターとニューロン。「おかしい奴ら」「気が変な奴ら」と境界線を引くのは簡単で安心できるけれど、そうではない、自分たちも容易に落ちる可能性のある、というかすでに行なっていておかしくないであろうシステム。そういう自分ごとに引きつける書き方が好みだというのもあるけど、それにしてもゾッとするようないい本だった。たくさんの人に読まれたいと筆者が書いていたので、大宣伝しておく。面白いですよ!!!

187. 被差別のグルメ

 『A3』の関連図書に出てきて、気になってKindleで購入。大阪の被差別部落出身の著者が、日本の「ソウルフード」を俯瞰する本。次に読むことになる『被差別の食卓』の続編で、「ソウルフード」などの説明もそちらを読んだほうが腹に落ちやすい。グルメだけに。(は?)
 言い訳を書くが、日本の東側に住んでいると西側の同和問題のテンションというのは本当に分からないものだと思う。わたしの母は関西出身で、よく被差別部落の話をわたしにしていたので、わたしも何となく幼い頃から存在を知っていたが、大学のときにゼミでこれを取り上げたら「実際にはよくわからない」と東京出身の同級生に言われて、そうなんだ!と衝撃を受けた記憶がある。(同じことを他の本の感想で書いた気がする。)と言いつつ、わたしも母から伝え聞いたものしか知識にないので、「アブラカス」とか「さいぼし」とか、読み進めながら唸りっぱなしだった。読んでいるとお腹が空くけど、味は想像できないのがまた悔しい。

188. 被差別の食卓

 『被差別のグルメ』が面白かったので、その前編とも言える『食卓』を購入。こちらは世界の「ソウルフード」を見る本。ネパールの章が特に印象的だった、牛肉を禁止されている国で牛肉を食べる不可触民たちの話。これを読んだ後に街にある吉野家を見て、文化って面白いなと思った。あと、おでんに中華麺を入れる「おでんそば」が取り上げられていてびっくりした。これ、わたし一度やったことがあって(おでんに米を合わせたくない気分で、何だったらうまいかクックパッドで探して食べた)、うま!!これ考えた人天才!!と思ってたんだけど、名前があったのか!!と。食べたくなってきたな。
 そうそう、『グルメ』も『食卓』も中上健次にならって被差別部落のことを「路地」と書いているのが特徴的。中上健次をリスペクトしている筆者のようなので、この2冊が読めたら中上健次もいけるだろうと思って、この後『十九歳の地図』にチャレンジしたんだけど、ダメだった。射精してろとか、避妊しろとか、そういう感想ばかり抱いてしまう。

189. 深い河(ディープ・リバー)

 図書館で借りた。遠藤周作の長編。さまざまな想いを抱く日本人がインドへ向かい、それぞれの目的を達そうとするという話。あらすじはシンプルだが一つ一つのストーリーが読ませる書き方で、さすが遠藤周作様…… という感じ。『海と毒薬』『沈黙』と読んできて、ハズレがなく、好きな作家なのかもしれないと思うようになってきた。そういえば今思い出したけど、実家にこの本あった。読んだことはなかったけど。
 たぶんこの話の中で一番重きが置かれているのは美津子と大津の物語なんじゃないかと思う。大津の「玉ねぎ」のくだり、遠藤周作が描きたかったのはここなんだろうなと思った。神の話を書かせると1位だと思う。大津のキリスト教の理解の仕方はすごく日本人に肌馴染みのいいものだと思うけど、異端なんだなあ。自分たちを中心に世界を捉えてしまうけど、宗教や世界を軸にすれば全然違った解釈があるんだなあと、書いたら「そりゃそうや」みたいなことを考えた本。わたしが感想を書くまでもなく、名作。ていうかこれを70歳の時に発表しているの、すごすぎる。

190. 脳が壊れた

 書くのを忘れてた。実際はA3(下)の前に読んでる。図書館で借りた。高次脳の体験談。『最貧困女子』の筆者で、あの本自体は貧困ポルノやなぁ……と思ったけれど、その目線を自分に向ければ内省となるのだな。妻のエピソードが面白かった。妻の仕事を奪ってしまう自分の内面に問題があったのだと気づくのだけど、わたしも多分にそういうところがあることに気がつく。イライラしないでゆっくり生きて、健康で長生きしたい。ウォーキングの仕方とか、思いもよらないところで参考になった。

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