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【DTM】ミックスの際に気をつけること

普段manateが「ミックスの際に気をつけていること」をまとめました。
即効性のある/直接的なテクニックは少なく、考え方というか意識の部分が多いです。
ミックスの観点から、編曲と音作りにも部分的に軽く触れます。
「よく分からないけど、本/Webにこう書いてあったからこうする」だけでは勿体ないので、しっかりと目的を持ったミックスの考え方のお手伝いになればと思います。

前提

・完成形のテーマや具体的なイメージを持っている
・目的・理由を持ってエフェクトを使う事ができる
・「足すこと」だけでなく「引くこと」もできる

手元にある素材でどんな曲が完成するでしょうか?
テーマを決めたりイメージを持っていない方は考えてみましょう。

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一つ一つ挿すエフェクトに対して「何のために挿すか」、目的・理由を説明できるようにしましょう。それを行うだけでも音質調整に対する意識が変わってきます。

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結果的に必要なのであれば、目的・理由は後付けでも問題ないと思いますが、目的・理由を説明できないエフェクトは、不要なものの可能性が高いです。オン・オフしてブラインドテストをするのも手です。

本来はエフェクトを挿していない状態が「音質が良い」はずです。
細かな説明はしませんが、「64-bit Float(DAWの機能)」や「リニアフェイズ」「オーバーサンプリング」等の機能がありますが、これらの目的は「音質劣化をさせにくくする」ことです。
「音質調整」とは、何かしらの音質劣化と引き換えに、理想の音質に近づける行為です。

とはいえ、サラダで例えるとドレッシング無しで野菜の味そのまま食べる事に等しく、個人的にそれはまあまあ辛いことなので、やっぱりドレッシングをかけて食べたいです。

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だって青臭いもん。
ただ、ものによっては素材の味そのままでも/そのままの方が美味しい場合もあります(果物とかホットケーキミックスの粉とか)
デザインする際によく意識することですが、「足すこと」だけでなく「引くこと」ができると表現の幅が広がります。
行き詰まったら、挿していたエフェクトを思い切って削除してみましょう。

大まかな作業工程

1.[編曲] 各パートの役割を決める
2.[音作り] パートを個別あるいはバス毎の状態で理想の音質にする
3.[ミックス] 優先度を元に各パートを相互調整する

1→3の一方通行ではなく作業工程を行ったり来たりして、理想に近づけるべく進めていきます。

1.[編曲] 各パートの役割を決める

・音楽的な役割
  ・目標とするジャンルで必要な要素
・周波数帯域を基準とした時の役割
  ・例:サブベース

各パートの役割を決め、何のためにそのパートが必要かを考えましょう。

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2.[音作り] パートを個別あるいはバス毎の状態で理想の音質にする

1.理想の音質に近づける
2.各パートの最大音量を0dBを超えないようにする
3.各パートのフェーダーを-6dB程度下げる

理想の音質に近づけるために、現状と理想を比べ差分を適用してあげると良いです。
また次の工程の準備として、各パートそれぞれソロの状態でクリップしないように調整した上で、各パートのフェーダーを-6dB程度下げておきます(理由は後述)
とても難しいですが、頑張って下さい。

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・・・理想の音質の実現方法がわからない場合、下記を試すと良いかもしれません。

・エフェクトのプリセットを試す
・教則ビデオや参考書から情報を得る
・理想に近い音質や曲を作っている人が使用している機材・セッティングを参考にする
・詳しそうな知り合いや講師の方に相談する

manateはギターを弾けませんし、ギターに関する機材とセッティングの事が分からなかったので、

> 理想に近い音質や曲を作っている人が使用している機材・セッティングを参考にする

でギターの音作りを勉強しました。

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ギターを弾いている方からすると、適切な機材を使いセッティングができているかは分かりませんが、理想の音質に近づける方法が分かったため、manate的に良しとしています。
なぜその処置をすると理想の音質になったかを探り、自分の「技」として取り込んでいくことが大切です。

3.[ミックス] 各パートを相互調整する

3-1.[ミックス] 各パート/バスの優先度を考える
3-2.[ミックス] 優先度を意識して調整する
3-3.[ミックス] 調整結果(2mix)を確認する
  ・周波数特性:フラット
    ・ピンクノイズをリファレンスにする
  ・最大音量:-3dB
> 3-3.[ミックス] 調整結果(2mix)を確認する

上記に関係するため前もって説明しますが、各パートを相互調整してフラットな2mixを目指します。
特別な意図がある場合や目指すジャンルが許さない場合は、その限りではありません。
2mixでの最大音量は-3dB程度を目安にしておくと、マスタリング時の編集の余地(ヘッドルーム)が生まれます。
前工程で-6dB程度下げた理由はこのためです。
ここでのフラットとは、「オクターブ当たりのエネルギー量が等しい状態」とし、その特性持つピンクノイズをリファレンスにします。
要は低音から高音までバランス良くまんべんなく音が出ているノイズです。
「各周波数毎に等しいと感じる音量」を持つ等ラウドネス曲線は音量に依存するため、等ラウドネス曲線の近似とされているピンクノイズを選んでいます(グレイノイズというものもあります)
ピンクノイズの最大音量は-3dBになるように調整します。

3-1.[ミックス] 各パート/バスの優先度を考える

優先度とは、聴かせたい順番です。
甲乙つけるのが難しい場合は、同列で扱ってしまっていいと思います。

優先度を同列に扱っても問題がない条件
・以下要素がかぶっていない
  ・周波数帯域
  ・発音タイミング
  ・パン
・同じ役割=同じバスにまとめる

優先度低めでも部分的には高い、というのもありです(ベースの玄を弾く高い音とか)
何となくでも良いので、まずは優先度の順番を書き出してみましょう
しっくりこない、おかしいなと思ったら、他の曲を参考にしてみましょう。

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個人的には下記順番であることが多いので、これをベースに話を進めていきます。

ボーカル > キック+スネア+タム > リードの何か > バッキングの何か、ベース、ドラム金物+ルーム > 空間エフェクト

3-2.[ミックス] 優先度を意識して調整する

1.インストを完成させる
  1-1.音量、パン調整
  1-2.必要に応じて優先度が同列のパートをバスにまとめる
  1-3.必要に応じてエフェクト挿入
2.ボーカルをミックスする
  2-1.音量、パン調整
  2-2.必要に応じてエフェクト挿入

キック+スネア+タム>ベースを基準に調整を始めると、スムーズに作業が進みます。
優先度が低いパート/バスのフェーダーをどんどん下げていきましょう。
上記方法が載っている、下記の超訳「ピンク・ノイズをリファレンスにしてミックスする方法」はすごく分かりやすいワークフローです。

個人的にボーカルは後乗せの方がやりやすいので、まずはボーカルの調整を横に置いておき、インストの完成を目指す方法で説明します。
ちなみにボーカルミックスは、【DTM】ミックスでボーカルを目立たせる方法をご覧下さい。

優先度に応じて調整する作業については、各パートに下記方法をいくつか施せば完了します。
あとは試行錯誤するのみなので、頑張りましょう。
ただし、やりすぎるとせっかくの音作りが台無しになるので、目的・理由を持って最小の手順を心がけるようにしましょう。
また、下記作業工程を行ったり来たり、確認しながら進めることが大事です。

> 3-2.[ミックス] 優先度を意識して調整する
> 3-3.[ミックス] 調整結果(2mix)を確認する
優先度が高いパート/バスへのアプローチ=目立たせる方法
・音量について
  ・音量を上げる:フェーダー(他パートを下げた方が良いです)
・周波数帯域について
  ・特定帯域の音量を上げる:EQ
  ・密度を高める
    ・倍音を増す:エンハンサー・エキサイター
    ・歪ませる:ディストーション
・時間軸について
  ・アタック感を増す:コンプレッサー・トランジェントシェイパー
・位相について
  ・反転する:位相反転
・左右の音量バランスについて
  ・対象と被らないように調整する:パン
優先度が低いパート/バスへのアプローチ=目立たせない方法
・音量について
  ・音量を下げる:フェーダー
・周波数帯域について
  ・特定帯域の音量を下げる:EQ
・時間軸について
  ・アタック感を減らす:コンプレッサー・トランジェントシェイパー
  ・対象の発音タイミングに合わせて音量を下げる:サイドチェイン入力に対応したコンプレッサー
・左右の音量バランスについて
  ・対象と被らないように調整する:パン

3-3.[ミックス] 調整結果(2mix)を確認する

・周波数特性:フラット
  ・ピンクノイズをリファレンスにする
・最大音量:-3dB

クリップしていないか、各パートで干渉しあって耳障りになっていないか、トータルで周波数特性と音量がピンクノイズから大きくはずれていないか確認しましょう。

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まとめ

・現状と理想の差分について過不足・適量を判断する能力
  ・モニター環境
  ・聴力
  ・客観的な判断力
・理想に近づけるための知識と技

これまでの説明を踏まえ、ミックスについて大切なことは上記のような感じでしょうか。
人によってはごく当たり前のことかもしれませんが、自分のミックスについての考え方を整理するとてもいい機会になりました。
各人の好みによるところが大きく、ミックスに完璧な正解はないと考えていますが、こういう考え方もあるんだな~と記憶の片隅のタンスの肥やしにしていただけると幸いです。

具体的な説明は省いていますが、大事な工程が丸ごと抜けていたり、より詳細な内容やケース別の手順で希望がありましたら、僕の知識で書ける範囲で加筆なり別途noteで公開しようと思います。
長いので別で公開する方が良さそうかな。

お気に召しましたら、「スキ」や「サポート」をお願いします。


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同人音楽サークル「anagram」で楽曲制作をしているmanateです。主に東方projectのアレンジや、歌ってみたのミックスをしたりしています。本職はフロントエンド/マークアップエンジニアをしています。PugとStylusでコーディングするのが大好き。

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