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日本の教育を考える

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他のクリエイターの皆さんの記事も含めて、教育に関する内容をまとめています。具体的な教育方法の提案、オンライン講義について、教育とは何かといったさまざまな議題について議論します。教… もっと読む
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#研究

教養系コンテンツの正確性はどこまで担保されるべきか

 種々の学術系コンテンツ(動画や記事)をネット検索し、容易に学べるようなったこの時代。その情報の正確性はどのレベルまで求められるのかを考察したい。(小野堅太郎)  オンライン学習を余儀なくされるこの時期。多くの教養系動画コンテンツが上がってきている。中田敦彦さんなど芸能人の動画を見させていただくとレベルの高さに驚かされるが、用語の使い方に間違いもあり、訂正したい衝動に駆られる。ネット記事を見ていたら、こういった間違いが訂正されずに拡散放置されている状況はよろしくないというも

うちの研究室にICT導入してみた④:OneNote編(実験ノートのデジタル化)

 研究室にDropboxを導入してファイルを共有化し、Outlookカレンダーで各人の予定を公開、Slackで迅速で有機的な情報交換が達成できた。次なるICT導入は実験ノートの電子化。ようやく光が見えてきたので書き残してみる。(小野堅太郎)  iPadを電子ラボノートにできないかと四苦八苦してきたが、論文読むのにある程度使えるけどラボノートとしては不適!と最終的に判断した。実験するのに重くて邪魔。院生も含めて、スタッフ全員がiPadなどを揃えるのは不可能。「あー、実験ノート

バイオ研究のススメ:第三部

 さて、第二部を参考に実験データが得られましたか?そのデータを解析して学会などで発表し、最終的に論文にまとめてみましょう!おまけで研究留学についてもまとめています。九歯大の大学院生は生理学分野の講義を受講してくれれば、Moodleでより詳細な解説が見れます。 第一部:研究を始める前に知っておこう! 第二部:さあ、実験をやってみよう! 第三部:研究をまとめよう! ★マークのコンテンツは「必見!」です。 *マナビ研究室に関してはコチラを参照。 ① データ解析  エクセルへのデ

バイオ研究のススメ:第二部

 第一部で基本を学んだら、この第二部から実際に実験をやってみましょう!研究の内容によって使用する実験法が異なるはずです。自分がこれから行う実験法から覗いていってください。九歯大の大学院生は生理学分野の講義を受講してくれれば、Moodleでより詳細な解説が見れます。 第一部:研究を始める前に知っておこう! 第二部:さあ、実験をやってみよう! 第三部:研究をまとめよう! ★マークのコンテンツは「必見!」です。 *マナビ研究室に関してはコチラを参照。 ① 顕微鏡の使い方  位相

バイオ研究のススメ:第一部

 大学院で研究を志す人たちに、是非読んでもらいたい、観てもらいたい、学んでもらいたい内容のリンク集です。マナビ研究室のコンテンツ以外もリンクとしてまとめています。リンクのない項目は今後作成予定です。追加してもらいたい項目があれば、コメント欄にどうぞ! 第一部:研究を始める前に知っておこう! 第二部:さあ、実験をやってみよう! 第三部:研究をまとめよう! ★マークのコンテンツは「必見!」です。 *マナビ研究室に関してはコチラを参照。 ① 実験器具の管理  実験器具の洗浄  

皆が繋がって「個」の時代となる:バーチャル新時代の生き方を考える②

 インターネットの普及、コンピューター技術の発展により、人間は皆、地理的な距離を超えて言葉や映像で心をつなぐことができるようになった。今後、バーチャルとリアルの二重世界がやって来る。もうバーチャル新時代は始まってしまった。「今」を考えてみる。(小野堅太郎) 「デジタルディバイド」シリーズ②でも書いたが、この早い時代変化に年齢が上の世代の多くはついてこれていない。ICT技術の習得という点だけでなく、新しい社会の常識にもついていけない感がある。これは非難しているのではなく、これ

大学法人化を検証する③/教育の変化【動画解説】#00017

動画解説 吉野先生と中富先生からの質問が相次ぎ、予定より長い動画になってしまいました。ただ、内容をより深掘りできたのではないかと思います。  法人化が直接影響しているかどうかは難しいところですが、大学の世界ランキングは低下傾向にあります。しかし、明らかに大学教員の教育および社会貢献活動時間は法人化前より延長しています。つまり、大学教員は頑張っているものの世界的な評価には繋がっていない、ということになります。  OECDのグラフでも示しているように、大学進学は世界共通で就職

医療系学部と他学部の大学院は何が違うのか:歯科医療の歴史から学ぶ③

 Twitterで医療系学部と他学部(理学・工学・農学部など)における大学院での慣習の違いがよく取り上げられている。恩師の稲永名誉教授は九大理学部出身で、医学部、歯学部の研究室へと移ってこられたので「いやー、僕は習慣になれるのに苦労したよ!」と、いつも言っておられた。ちょっと思うところを書いてみる。(小野堅太郎、中富千尋)  歯科医療の歴史シリーズ(マガジン参照)で現在8つの記事を書いている。共通するのは、皆、医学だけでなく科学全般を修めていること。より現在の臨床医に近いラ

フッ素は毒か薬か:Twitterから学ぶ③

 つい最近、Twitterで「歯科で使われるフッ素は猛毒だ」とのコメントに数千の「いいね」がついたものが流れてきた。マナビ研究室でフォローしている人の半分は歯科関係者なので、反論リツイートしたものが表示されたのだ。面白い。考察してみる。(小野堅太郎)  毒と薬は表裏一体である。健康に被害があれば「毒」で、健康に良ければ「薬」となる。薬は身体の機能に影響を与える物質なので、すべての薬はたくさん摂取すれば毒になる。生存に必要な塩だって過剰に摂りすぎれば死に至る。そのため、医歯薬

科学論文と研究者の信頼性:Twitterから学ぶ①

 Twitterをやり始めて、びっくりしたのは科学論文情報を容易に入手できたことだ。一方で、こういった科学論文を自説の根拠として発言している人が多いのにもびっくりした。それまで、科学論文とは研究者間で議論される成果報告書ぐらいにしか思っていなかったからだ。ちょいと思うところを書き綴ってみる。(小野堅太郎)  マナビ研究室YouTubeは初めて4ヶ月目となる。大学でのオンライン講義開始により講義動画をとることになり、忙しくてとても活動できないなと思っていた。ふと、Twitte

研究者が謎科学に口をつぐむ訳:Twitterから学ぶ②

 前回の記事で、科学論文は何かの根拠にならないという話をした。研究の世界では、数年間の追試により支持する論文が蓄積して、数々の修正が行われながら一つの結論に達する。しかし、社会不安の中では、1つの論文に一喜一憂してしまうのも仕方がない。加えて、蓄積した謎論文が出てきて科学的根拠として紹介される。研究者がなかなか発言しないのには理由があるので、紹介したい。(小野堅太郎)  まず、忖度というか、その研究世界の大御所と言われる人が発言している謎科学には反論できない。お怒りをかった