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PMBOK 7th:標準⑤システム思考と⑥リーダーシップ:⑥はぜひすべての人に読んでほしい!

前回から少し時間が経ってしまいました。ちょっと本業が立て込んでおりまして(汗)先日も久々に、電車に乗り出勤してきました。疲れました(笑

さて、マネジメント標準もやっと半分まできました。システム思考と聞いて、ワインバーグ氏の本を思い出したのですけど、そういう話ではなく(いや全く別物というわけでもないか)、プロジェクトやタスクを全体システムとして考えようね、という話でした。

リーダーシップは、これまた読んでてワインバーグ氏の本を思い出したのですが、リーダーシップは役割や肩書に関係なく、誰しもが自分のやり方で示せるものである、という話でした。

6th以前はリーダーシップとはPMに必要なものという位置づけだったので、扱いが全く異なってますね。7thはリーダーシップについて、とても丁寧に書かれいます。必読です!

3.5 システム思考

システムの相互作用を認識、評価し、対応する

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「システム」とは、相互で作用し依存し、統一された全体として機能するコンポーネントです。総合的な見方をすれば、プロジェクトは動的な状況にある多面的な要素です。プロジェクトチームは、このプロジェクトの総合的な見方、プロジェクトをシステムとして見ることを認めるべきです。

あるプロジェクトは更に大きなシステムの内部で動き、プロジェクトの成果物は、利益を実現するために、更に大きなシステムの一部の一部となります。
例えば、プロジェクトはプログラムの一部かもしれません。またプログラムは、ポートフォリオの一部となり得ます。これらの相互接続された構造は、「システムのシステム[system of systems]」として知られています。プロジェクトチームは「システムのシステム」の中の連帯をサポートするために、中から外・外から中という視点のバランスを取ります。

プロジェクトはまた、意図した成果を作成するために効果的に統合されたサブシステムを有します。例えば、各チームが成果物の別々のコンポーネントを作るとき、すべてのコンポーネントは効果的に統合されなければなりません。このことはプロジェクトチームに、定期的に相互で作業を調整することを要求します。

システム思考ではまた、いつプロジェクトの成果物を有効化するか?などシステムのタイミングという要素も考慮します。例えばプロジェクトの成果物をインクリメンタルにリリースする場合、各インクリメントは前のバージョンの性能や成果を累積することで拡張します。プロジェクトチームはプロジェクトの終わりを超えてプロジェクト成果物の運用状態まで考えなければいけません、そうすることで、意図した成果は実現するのです。

プロジェクトが展開するにつれ、内外の状態は継続的に変化します。一つの変化が複数のインパクトをもたらすことがあります。例えば、ある大型の建設プロジェクトでは、ある要求の変更により、元請・サブコン・サプライヤなどの契約に変更が発生するかもしれません。またそれらの変更は、プロジェクトのコストやスケジュール、スコープ、パフォーマンスなどにインパクトを与えるかもしれません。それに続いてこれら変更は、各所から承認を取るための変更管理プロトコルを発動します。

幾つかの変化は前もって予防することが可能ではありますが、プロジェクトのライフサイクルでインパクトを与える多くの変化は避けられません。内外の状態に対する継続的な配慮を含むシステム思考によって、関連するステークホルダーと合意したプロジェクトを維持するため、プロジェクトチームは広い範囲の変化とインパクトをナビゲートすることができます。

システム思考はまた、プロジェクトチームがどのように自分自身やプロジェクトの中の相互作用を見るかにも適用されます。プロジェクトシステムはしばしば、共通の目的のために働く多様なプロジェクトチームをまとめます。多様性はプロジェクトチームに価値をもたらしますが、どのように違いを効果的に増幅させるか熟慮しなくてはなりません。そうすることで、プロジェクトチームは纏まって働くことができます。

例えば政府機関が新技術の開発についてプライベート企業と契約する場合、開発チームは両方の組織から構成されることになります。このチームメンバーはそれぞれ思い込みや働き方や、所属元組織で彼らがどのように働いていたかに基づくメンタルモデルなどを持っています。この新しいプロジェクトシステムの中で、双方の文化を結合し、チームメンバーは共通の目的や、言語や、ツールセットを作る新たな文化を設立しなくてはなりません。この過程はプロジェクトメンバーが効果的に貢献し、プロジェクトシステムが機能する確率を上げる助けになります。

プロジェクトの相互作用のため、プロジェクトチームはシステムダイナミクスの変化に対し、注意し警戒しなければなりません。これらのスキルは、プロジェクトのシステム視点で役に立ちます;

・ビジネス面での共感
・大きな視点でのクリティカルシンキング
・メンタルモデルや思い込みの変更
・外部のレビューやアドバイスを求める
・(などなど。略)

システムの相互作用を認識、評価し、対応することは、以下のようなポジティブな成果を引き出すことができます;

・不足な事態やリスクを早期に考慮し、代替案を検討し、意図しない結果を考慮する
・プロジェクトのライフサイクルに渡り、予測と計画へ適応する能力
・(などなど。略)

3.6 リーダーシップ

リーダーシップ行動を示す

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プロジェクトには、効果的なリーダーシップに対する独特の要求があります。一般的な事業運営とは異なり、プロジェクトはしばしば複数の組織や部署や機能や、普段は相互交流のないベンダーで構成されます。その上、プロジェクトには、通常の運用組織より高額な掛け金[stakes:プロジェクト費用のことと思われる]と期待がかけられます。結果として、あらゆるマネージャーや偉い人やステークホルダーたちが、プロジェクトに影響を与えようと関与してきます。これはしばしば、高レベルの混乱と衝突を生みます。結果として、高いパフォーマンスのプロジェクトでは効果的なリーダーシップ行動をより頻繁に、より多くの人々が示します。

ビジョンや創造性やモチベーション、熱意、激励、共感などを優先させたプロジェクトの環境は、よりよい成果をサポートすることができます。これらの特色は、しばしばリーダーシップに関係しています。リーダーシップは、プロジェクトの内外にいる人に影響を与える際の、態度や手腕や性格やふるまいで構成されます。

リーダーシップは、特定の役割に紐づくものではありません。高パフォーマンスのプロジェクトでは、複数の人(例えば、PMやスポンサーや、ラインマネージャーやステークホルダー、チームメンバーさえも)が効果的なリーダーシップのスキルを実践してみせることがあります。プロジェクトで働く人は誰もが、効果的なリーダーシップの特性やスタイルやスキルを、プロジェクトチームが要求された結果を出すために発揮することができるのです。

(前述の)衝突と混乱は、たくさんの関係者がマルチに間違った方法で影響を与えようとするときに発生することに、注意する必要があります。しかしながら、高パフォーマンスのプロジェクトでは、より影響を与える逆説的な組み合わせで、互いがより補完的にリーダーシップのスキルに貢献することがあります。

例えば;スポンサーが優先度を明確に表現し、技術リーダがデリバリのオプションに関する議論を開始し、各貢献者はPMにより戦略の合意に対する改変がもたらされるまで、長所と短所を主張します。成功するリーダーシップは、人々に影響やモチベーションや方向性を与え、どんな状態でも人々をコーチします。それはまた、組織の文化と経験からくる特性を融合させます。

リーダーシップは権威[authority:職権の方が合ってるのか?]、=全体的に効果的かつ効率的な機能を育成する組織に与えられた管理のポジション、によって混乱させられるべきではありません。権威は権力を行使する権利です。権威は通常、憲章文書や指定された肩書など、フォーマルな形で人に与えられます。この人は、権威を示す役割のポジションにあるかもしれません。権威は、特定のアクティビティやアクションや、特定の状況での意思決定に対する説明責任を表します。

人々が自分の権威を、影響やモチベーションや指示の行使に使っても、他者が指示・要求した通りに動かない・振舞わないとすれば、これはリーダーシップとは違います。例えば、組織の偉い人が誰かに、プロジェクトの成果を出すためのプロジェクトチームを作るよう権威を与えたとします。しかしながら、権威それだけでは不十分です。チームのゴールに対するモチベーションを共有し、彼らの個別の興味を揃え集合的な努力にまとめて、個人では到達しえないチームとしての成功に到達するには、リーダーシップが必要です。

効果的なリーダーシップには、様々なスタイル要素があります。独裁的、民主的、laissez-faire[レッセフェール:仏語、なすに任せよ、自由奔放]、指示的、全員参加型、自己主張型、サポート型など。これらすべてにおいて、どのリーダーシップのスタイルがベストだとか推奨されているわけではありません。その代わり、効果的なリーダーシップは、与えられたシチュエーションに最も適合したリーダーシップに現れます。

例えば;
・カオスな状態では、協調的な問題解決手法より指示的な行動の方が、より明確で推進力があります。
・非常に有能で熱心なスタッフの間では、中央集権より権限を委任したほうが、より高い生産性を引き出します。

シニアマネージャーが優先度についての衝突に苦しむときは、詳細な推奨事項より中立的なファシリテーションの方が助けになります(何のことだ?)。効果的なリーダーシップのスキルは向上させることができます。リーダーシップのスキルは習ったり開発することが可能なので、プロジェクトやステークホルダーの利益となると同時に、個人の専門的な資産になります。
高パフォーマンスのプロジェクトでは、個人レベルに至るまでの継続的な改善の浸透パターンが見られます。チームメンバーは、以下のような様々なスキルや技術の組み合わせを加えたり学んだりすることにより、リーダーシップへの洞察を深めます。

・合意された目的にプロジェクトチームを集中させる
・プロジェクトの成果に対する、動機づけのビジョンを明確にする
・プロジェクトへリソースとサポートを探す
(その他、例は省略)

リーダーにとって、個人的な性格は重要です。ある人はリーダーシップのスキルについて高い能力を持っているのに、自己奉仕的または信頼できないと認識されれば、彼らの影響力は損なわれてしまいます。

効果的なリーダーには、誠実さや高潔さや倫理的な行動の領域でのロールモデルであることが求められます。効果的なリーダーは、透明性と利他的な態度にフォーカスし、助けを求めることを可能にします。効果的なリーダーはチームメンバーが、リーダーが示す価値や倫理観や態度をじっと見てまねると理解しています。それ故にリーダーは、自らの行動を通して期待される態度を示すことに責任を持っています。

プロジェクトは、リーダーが人々のモチベーションを理解するときに最もうまくいきます。プロジェクトチームは、チームメンバーがステークホルダーの要求や期待に添うように、適切なリーダーシップの特性やスキルを使う時に、成長することができます。
人々とコミュニケーションを取ったり動機づける最良の方法を知っていることは、チームのパフォーマンスを改善したりプロジェクトの成功への障害を何とかする[manage]のを助けます。プロジェクトの一人以上の人で実践すれば、リーダーシップはプロジェクトゴールに対する共有の責任を育て、さらに健康で活気のある環境を育てることができます。動機づけ要因には、財力や承認や自主性や説得力のある目的や、成長の機会や個人的な貢献などがあります。

効果的なリーダーシップは、プロジェクトの成功を促進し、プロジェクトのポジティブな成果に貢献します。プロジェクトチームと、各チームメンバーと、ステークホルダーは、よく導かれたプロジェクトを通して関与[engage]します。各チームメンバーは、共通のビジョンから導かれるプロジェクトの結果と、共有された成果に向けて取り組むことに焦点を当てます。効果的なリーダーシップは、チームが倫理的で適応可能な環境を維持することを助けるためにとても重要です。

加えて、ビジネス上の義務は、委任された責任と権限の上で果たされます。共有されたリーダーシップは、組織に指示された役割や権威を減らしたり損なったりしませんし、正しいリーダーシップのスタイルやスキルを正しい時に使うというリーダーへの要求を減らしたりもしません。

スタイルをブレンドし、スキルを鍛え、動機づけ要因の効果を高めることで、すべてのプロジェクトのメンバーやステークホルダーは、役割やポジションに関わらず、動機づけ影響を与えコーチし、プロジェクトチームを成長させることができるのです。

最後に

リーダーシップの章が無茶苦茶長かったです。。。前にも書いたと思いますが、これまでのウォーターフォールは組織=ヒエラルキー型であり、その中で「リーダー」がどうリーダーシップを発揮するか?という観点で書かれていました。

そういえばPMBOKには外付けでコンピテンシー開発読本があって、そこにリーダーシップのことが書かれていますね。これって、「デキるPMって、どんな人?」「PMってどう育成すればいいの?」から来てるものです。
→PMになるために必要な素質とか、ふるまいが要求されました。

今回の7thはそこから出て、誰しもがリーダーシップを上手く発揮して、チームとして効果を上げるのである、と言っています。かつ、とても丁寧に書かれている。ちょっとびっくりしました。アジャイルの影響もあるのでしょうが、トップダウンのリーダーシップが結局のところ上手く行っていないという証かなー、と思いました。

さて次回は次の二つ、3.7章「TAILORING」と3.8章「QUALITY」に行きます!品質はどんなふうに書かれたんでしょうか。気になりますねー。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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