コロナ禍で学力が更に分断されてしまう!(コロナ、不安と焦りの中3生 朝日新聞9月23日)

コロナ禍によって、学校が休校になった。3月の約3週間、4月の約3週間、5月の約3週間、学年をまたいで約9週間、公立中学校では授業が行われなかった。この異常事態を私たちは、大きな問題だと考えているが、はたしてそうだろうか。

学校は、色々なことで授業がつぶれる。平時であっても、教師によっては、授業のペースが遅すぎて最後まで教科書が終わらないこともある。テスト前にプリントを配って、「勉強してこい!」と言って、授業をやったことにする教師も多数いる。3月の3週分の授業は、通常でもそれほど大切な単元をやらないし、4月は、元来ほとんど授業が進まないものだ。影響があったのは、多分、5月の3週分ではないか。そう考えると、それほど大したことでないのだ。

しかし、それを大したことにしてしまうのが、学校制度の世界の中にいる子どもと保護者なのだ。特に保護者は、自分の子どもが学校制度を上昇していくことを望んでいるので、もし、この休校が自分の子どもに悪影響を与えるのなら大変だ!と不安になり、その対策を取ろうと必死になる。その結果が、この記事なのだ。

学習塾は、学校制度にまつわる不安を解消するための存在だ。不安があるところに、学習塾を求める心性が保護者にあると言って良い。だからこそ、学習塾は、その不安を解消しようと商品設計をしていく。そして、保護者は不安の解消に学習塾を使うのだ。

ここに、子どもたちの学力分断の要因の一端がある。学力格差は経済格差から生じるというのは、このことだ。学校は、親の経済階層の再生産装置だ。親の経済階層を子どもが引き継ぐための学校制度なのだ。ただし、学力を獲得して、子どもが親の経済階層を超えていく場合も可能性として十分あるのだが。

コロナ禍で、益々子どもたちの学力格差が広がってしまった。そして、この先の日本の教育改革は、子どもたちの学力格差を学力分断にしていくものになっている。学力分断が激しい社会は、良い社会にはなり得ない。そのことをぜひ、皆に知ってもらたい。何とかしなければ、日本という社会は、今以上に悪い社会になってしまう。

【教育記事から教育を考える】
2020年9月25日(金) VOL.688
作者:中土井鉄信
(教育コンサルタント・合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)

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