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【ソニックブランディング】音量と色彩との関係

なぜ、赤のフェラーリは街で目に止まるのだろうか?


色彩と音量の関係による心理的事象

私たちは、色彩によって、聞いてる音の音量感が変わることがわかっている。

一般的に言われているのが、「緑」や「青」を見ていると音の大きさが低減され、「赤」を見ていると増大される効果がある。

音量は同じなのに、見ている色によって騒音に感じられ、逆に良音に感じられることもある。
特に、騒音コントロールが難しい場合、色を使い、騒音に対して心理的低減を試みるアプローチをしているところもある。

色彩音量感実験

音のチカラの著書で書かれている面白い実験結果を、可視化してみた。

プロジェクターに投影した色彩を見ながら、音量が一定のピンクノイズを聞いてもらい、音の大きさの評価をしてもらう実験を行った。

結果は以下である。

「赤」を見ながらピンクノイズを聞いた時が、音が最も大きく感じられ、「青」が最も小さく感じられた。

本当のソニックブランディング

私が考えるソニックブランディングの最も重要な側面は、他の異なるジャンルとのコラボレーションである。

従来のソニックブランディングは、サウンドチームだけで完結することばかりである。

現在、世界中で多くのブランディングプロジェクトが進行中でありながら、サウンドチームが”同じ”プロジェクトに”同じ”立場で参加することは稀です。

本物のブランディングは総合的なアプローチが求められ、サウンドチームがデザインプロセスに参加し、例えばロゴデザインに対しても貴重なアドバイスを提供できると信じている。

しかし、そのためには音楽、サウンドデザイン、音響心理学などの知識が必要です。

デザインブランディングとの融合

音量と色彩の相互関係を考えると、デザインブランディングとの融合が実現できる。

デザインブランディングの中核に「カラーパレット」が存在する。
例えば、Facebookは青を基調とし、Amazonはオレンジを象徴としている。

これらのサービスはすべて、UI/UXデザインに欠かせず、その過程でサウンドデザインが不可欠である。音量と色彩の関係を考慮しながらサウンドデザインを行えば、よりユーザーフレンドリーなサービスを提供できるだろう。

特にプロダクトデザインにおいて、これは明らかに発揮される。
最初に挙げた赤いフェラーリの例もその一つである。

赤いカラーとエンジン音の組み合わせが、他のスポーツカーよりも派手で魅力的な車を生み出す可能性があるのだ。

建築との融合

一方、ソニックブランディングは建築との融合も面白い。

サウンドスケープという概念は古くから存在しているが、音楽家やサウンドデザイナーが実際に建築プロジェクトに関与することは稀である。

音量と色彩の関係を考慮して街デザインをすれば、騒音の軽減が期待できる。

音響心理学に精通したサウンドデザイナーがいれば、その知識を共有し、都市のサウンドデザインに貢献できるはず。

例えば、風の音と建築について考えてみる。

緑は音量を軽減する効果があることが知られているため、街に緑地や木を導入することは、騒音対策の観点からも意義がある。
そして、複数の意味での騒音対策になる。

  1. 緑は心理的に騒音を低減する

  2. 木自体が吸音材になり、騒音を吸収する

  3. 木の音はピンクノイズに似ているため、マスキング効果がある(マスキング効果の説明はまた次回)

これらの要素を活用することで、都市の音環境を改善し、居住者の生活の質を向上させることができる。

僕は、風の音とノイズの音は何年も研究しているので、特定の場所を踏まえて、どのような木の音が好ましいかは自分の回答を持っている。

例えば、ススキの音はどうだろう?どの場所で聞くと最適なのか?

これが、私の考えるソニックブランディングである。

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