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評価ってなんだろう2 

 学習の評価は、多くの人がテストの結果のようにとらえています。先日、南アフリカで教師の支援している方と会議をしたのですが、南アフリカでは生徒の評価は基本的にはペーパーテストの結果だそうです。

 テストによる評価の最たるものは、「入試」です。これは評価を「選抜」として使うことです。そのイメージが強いために、普段のテストも「選抜」であったり「ランク付け」のように捉えられてしまっているのではないかと感じています。そう考えている人は教師の中にも多くいます。

 こうしたテストは基本的には「総括的な評価」になります。学習を終えた後に、その到達度などを見るものです。これを「選抜」に使うか、「ランク付け」に使うかは別の問題になりますが、そのように使われていることが結構ありそうです。

 学習の評価は、主に「診断的評価」「形成的評価」「総括的評価」の役割があります。
 「診断的評価」は学習の前に、その学習者の理解を把握するためのものです。
 「形成的評価」は学習の過程で、学習の改善に資するためのものです。
 「総括的評価」は学習後に、その学習者がどれくらい到達したかを見るものです。

 私は、学習においては「形成的評価」が非常に重要だと考えますが(前記事で、健康診断のようなものと書きました)、それを軽視しているというか、まったくしない教師も多くいます。

 何度か紹介しておりますOECD「イノベーティブな学習環境プロジェクト」が出した七つの学習の原理でも、その一つに「学習のアセスメントを活用する」ことが挙げられています。これは形成的評価の重要性を指摘したものです。

 そこではベンジャミン・ブルームを引用して

ベンジャミン・ブルームは、(中略)アセスメントが「教授と学習プロセスの各ステージでフィードバックと強制手段を提供するために」用いられることを示した。彼も、そのようなアセスメントが、「審判や分類の機能を持って等級分けのために使われるかもしれない」一方、「それが等級づけのプロセスから切り離されて、主に授業の助けとして使われるならば」、よりいっそう効果的である点に注目した。

『学習の本質』OECD教育研究革新センター、2013年、明石書店

と述べられています。形成的評価は世界の潮流とも言えるのではないでしょうか。

形成的評価をさらに拡張して考えると

 この「総括的評価」「形成的評価」は「学習の評価(assessment of learning)」「学習のための評価(assessment for learning)」とも表現されます。
 今は、さらにこれを「学習としての評価(assessment as learning)」へと考え方を拡張されています。これからの評価を考える重要な視点です。
 「学習としての評価(assessment as learning)」は、学習者自身が、自分の学習を振り返り、把握し、改善していけるようにするものです。
 私自身、「学習としての評価(assessment as learning)」は理屈ではわかったつもりですが、授業でどう実現していくのかイメージができていません。これからいろいろと考えたいと思ってますが、「見通しをもつこと」と「ふりかえり」が重要になるのだろうと考えています。

 そして今は、教育課程もふくめて、学習の目標が単なる知識量から、様々な資質・能力の獲得へと変わってきています。コンテンツからコンピテンシーですね。
 それは、「真正の学び」「真正の評価」へと広がりますが、そこはまだ勉強中ですので、またの機会にします。

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