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「どうして勉強をしないといけないの?」と子どもに聞かれたら・・・

新学期が始まってから、早いもので2ヶ月が経ちましたね。
先日までは新芽だなと思っていたのが、気付かない内に立派な青々とした葉に育っていたり、花が咲いていたなぁと思ったら、いつの間にか花が散って実になっていたり・・・。
5、6月は、植物がぐんと成長する時期ですね。
大人ががバタバタとしていて気づかないうちに、子どもたちも新しい環境に慣れ、新たな仲間と共に、たくさんのことを吸収して成長している、そんなものなのかもしれませんね。

「どうして勉強をしなければいけないの?」と聞かれたら

さて、本格的に学校がスタートし、どの学年も、授業が進み、学習がスタートしています。
そんな時、必ずと言っていいほど、子どもたちに聞かれるのが「どうして勉強をしなければいけないの?」です。そう聞かれると「それは、将来の役に立つからだよ」と答える人が多いかと思いますが、実は、学ぶことの意味を大人が説いても、子どもの学習意欲は高まらないと言われています。むしろ低下するとも言われていたり!?
それは、自分で獲得した意味や価値ではないと、意味をもたないからです。
勉強に限らず「これいいよ!使ってみなよ!」と、どれだけ商品を勧められたとしても、結局、自分自身がいいと思わないと、買ったり使う気ににならないのと同じですね。

学ぶことに関して3つの「価値」がある!?

さて、学習に関しては、3つの「価値」があると言われています。(Eccles et al.,1983)
1つ目は「内発的価値」。これは、内発的な動機づけとも言われるものです。ただ純粋に、その内容が知りたい、取り組むことが楽しいと思えるから、価値を感じるものです。
2つ目は「獲得価値」というもの。これは、課題に取り組むことで「望ましい自分になれる」と思って取り組むことです。学んだその先に「これを知っていたら、自慢できる」「人から物知りだと認められる」といった学んだ先にある「自分の姿」を見据えて学ぶことに価値を感じています。
そして3つ目は、「利用価値」です。学んだことが生活に生かされたという経験、これが1度でもあると、また学んで役立てたいと思うそうです。「大人になったら役に立つ」は、この「利用価値」に入るかもしれません。
このように、やりたいことをただひたすら楽しむだけでなく、やったことが周りに認められたり、実際に自分の学んだことが、他の場面で生かされるという経験をすることで、学習することの価値を感じることができます。

経験そのものが「価値」や「意味」となり、その後の経験につながっていく

例えば「マナビノキのマイプロで取り組んだものを、一生懸命にまとめ、学校へ提出したら先生に褒められて、みんなの前で紹介された」という経験があると、「マイプロでの取り組みを一生懸命にまとめることは大事」という記憶となり、「またマイプロをやって、まとめたら、学校にもってきたい」という行動に繋がります。
「毎朝早起きしてランニングしたら、リレー選手に選ばれた」「漢字ドリルの練習をサボらずやったら、漢字テストで満点だった」など、経験と経験がつながる経験、それが賞賛されたり、周りに認められるという経験が「価値」や「意味」となり、その後の行動に直接的につながっていくということは、容易く想像できますよね。

人は、いい思いをした時には、また、そのいい思いをしたいと思って、同じことをします。仮に、そこに至るまでに、自分にとって辛いことや嫌なことがあったとしても、それを乗り越えればいいことが待っていると分かれば、辛いことや嫌なことも乗り越えられます。
山登りもそうです。登っている時は、「辛い、しんどい、2度とこんな思いはしたくない」なんて思いますが、一度でも、それを乗り越えた先にある達成感と絶景を目にしたら、そんな気持ちは吹っ飛んでしまい、もはや「辛いやしんどい」は、それを得るための必須条件なのかもしれない、それがあるからこそ、達成感や絶景が見られるんだ、と思ったりするわけです。

3つの「価値」を意識して、声かけをしてみましょう。

子どもたちにどうすれば、学ぶ価値や意味を感じさせることができるのか、ということを考えていく必要があります。ある1つの「経験」がそこにあるときに、その価値を高める、意味づける、つまり周りの行動や声掛けが大きく影響します。
「どうして勉強をしなければいけないの?」と尋ねる子どもに対して、直接的にそれに返事をするより、その子が今、頑張っていることに対して、もっと興味関心を引き出すような題材を与えたり、「それが全部できたら、もう〇〇博士だね!」など、「なりたい姿」をイメージさせたり、「これ、この前練習していたことじゃない?やっててよかったねー」と、役に立ったという実感をもたせたり・・・そのような行動を導くことが、この問いに対する答えを導くことにつながるのかもしれませんね。

経験が経験を呼ぶ。どんな経験をさせて、それがどのように定着し、その先にある行動にどう繋がっていくのか、子どもたちの言動を1つ1つの点で見るのではなく、長い目で捉え、「人生」という軸の上で考えていくことが大切です。

梅雨に入ればたくさんの恵の雨を受け、夏になれば太陽の光をたくさん浴びて、植物はさらに根を張り、太くたくましく育っていきます。
私たちも、子どもたちにとって雨や太陽のような存在になれたらいいですね。
6月も引き続き、よろしくお願いします。


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