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総復習は意味がない? 3学期に効果的な勉強法とは?

こんにちは、「学びのベーション」編集長の今木です。
1月も後半に差し掛かり、子どもの新年気分も抜け始めた頃でしょうか。3学期に入り、学校では1年の復習が始まる時期かもしれません。今回は3学期によく言われる「総復習」の実情と、3学期に進めたい本当に効果的な勉強法について書いていきます。

「総復習は意味がない」ってホント?

3学期、子どもの算数に不安を感じるおうちの方からよく、「総復習をさせてください」と言われます。こう言われたとき、いつも私が返すのはこんなセリフ。

「総復習は意味がない」

驚くかもしれません。事実、多くの予備校や中学受験塾で「3学期は総復習の時期」なんて言われています。でも「総復習」ってかかる時間の割に意味がないのです。

例えば、子どもが1年の総復習をやると考えてみてください。総復習には、市販の「総復習ドリル」のようなものを使用するかと思います。でも、そこで分かるのは、1年の学習で子どもがどこにつまずいたのか、ということだけ。そのテストの見直しをすれば、つまずいている単元の復習は出来るでしょう。でも裏返して言えば、総復習テストで見直せるのは、つまずいている単元の問題だけなのです。

本来復習とは、テストで間違えた問題だけでなく、つまずいている単元の土台となる単元を見直して、はじめて効果があります。もちろん、理解出来ていない単元をイチから復習するのも手ではありますが、それだと時間がかかりすぎてしまい、3学期の数か月では到底出来ません。

つまり、総復習テストを用いる方法は、結局中途半端な学習で終わってしまいがちなのです。結果として、総復習テストをやった時間は無駄になってしまうわけです。

総復習と公立小学校算数の悲しい関係

「総復習」の実情が見えてきたところで、もう少しだけ、「総復習」があまり実を結ばない理由を考えてみましょう。実はこの理由、RISU算数の特徴にも大きく関係しています。

まずはこの表を見て下さい。

図1

(今木智隆『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』文響社 2019、p.180〜181)

小学校6年間で学ぶ単元の一覧表です。

見ると分かるように、例えば「たし算」の単元は、その学習が1年生から3年生にまで及んでいます。その他、「図形」や「単位」など大きな単元のほとんどが複数の学年にまたがって、細切れに学習されるのです。

さきほど、復習とは「つまずいている単元の土台となる単元を見直してはじめて効果がある」と書きました。しかしこの表のように、小学校の学習では1年に複数の単元を学習するために、1年ごとの総復習ではどうしても単元の土台まで復習するのが難しいわけです。
つまり、学年ごとで複数の単元を学ぶという学校のカリキュラムは、真の意味での復習を行うのに必ずしも適当ではありません。

ちなみに、前回の記事でも少し触れましたが、私が提供している「RISU算数」では、学校での単元分けとは異なる単元の分け方を採用しています。

図2

(今木智隆『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』文響社 2019、p.180〜181)

この単元分けは、子どもが単元ごとのつながりを意識しやすいように小学校で学習する全単元を4つの柱に分けています。学校のカリキュラムでは、単元ごとのつながりが分かりにくいため、子どもたちが戸惑ってしまうケースが散見されます。
単元ごとのつながりを意識させるのは復習にとって、そして学習そのものにとって非常に大事なことなのです。そしてこれが、次に書く本当に効果のある学習法ともつながるテーマになります。

本当に効果的な勉強法って?

では「総復習」にあまり効果が望めないなら、3学期にはどんな勉強をすればいいのでしょうか。

もし、子どもが学校の算数についていけているのか気になったら「総復習」ではなく、次の4つの大きな単元を見直すことをオススメします。

1:2~3桁の位の理解(小学1~2年生)
2:図形の組み立て 立体の基礎(小学2年生)
3:目盛りの読み方(小学2年生)
4:円と直径・半径の理解(小学3年生)

この単元は、他の単元と多く関連しており、算数で単元の土台になる単元。さらに、統計データを調べると、この範囲で多くの子どもがつまずいていると分かりました。つまり、この4つの単元の理解が不十分なために、他の範囲でつまずいている子どもが多い、ということなのです。

ですから、今までの学習を見直したいなら、この4つの大きな単元を子どもに復習させてみるのが効果的だといえるでしょう。

~今回のまとめ~
・「総復習」は時間の割には意味がない
・1年に複数の単元を学ぶ学校のカリキュラムでは、真の意味での復習が難しい
・つまずきやすい4つの大きな単元(=単元の土台)の復習が重要

本格的に始まった3学期。分からない単元を来年度以降に持ち越さず、すっきりした気持ちで新しい学年を迎えたいですね!

次回は、もう少しだけ復習の話をします。
今回は「総復習」という言葉をキーワードに書いてみましたが、3学期の学習にとどまらず、毎回の復習で重要になることについて、私の経験なども踏まえながら書いていければな、と思っています。

それでは、またお会いしましょう!


今木 智隆(いまき ともたか)
「学びのベーション」編集長。RISU Japan株式会社 代表取締役。
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、デジタルマーケティング専門コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売流通領域のサービスに従事し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材で、のべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいとオファーが殺到している。

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