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子どもが算数に飛びつく!効果的なご褒美の活用法を教えます

子どもに勉強をさせたいとき、「ご褒美」を用意するおうちの方は多いと思います。今回は効率の良いご褒美の出し方について書いてみましょう。

間違ったご褒美のあげ方

私の経験談から始めましょう。
あるお母さんが「このドリルを終わらせて、マルを付け終わったらマンガを買ってあげる」と子どもと約束しました。すると子どもは猛烈な勢いでドリルを終わらせます。マンガのパワーはものすごい(笑)ご褒美作戦は成功したように見えますね。

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(画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/701167?title=宿題)

しかし後日、ある問題が判明。

お母さんが問題集をチェックしてみると、不正解の問題までマルが付けられていたのです。子どもはご褒美をもらいたいがために、ドリルをやったように見せていただけ。どうしてこんなことが起こったのでしょう。

理由は明確。

ご褒美の出し方がよくなかったのです。どこに問題があったのか。それはズバリ、「終わらせること」にご褒美をあげってしまったことです。「ドリルを終わらせる」とか「宿題を終わらせる」ことにご褒美を出してしまうと、それにばかり気をとられ、課題を進める本当の意味を子どもは見失ってしまいます。課題を進める本当の意味、それはたしかな学力を付けること。終わらせることは目的ではありません。

子どもは良くも悪くも正直なもの。ご褒美が出た場合はそれに向かって一直線に進みますが、ゴール地点を誤ると、間違った方向にどんどん進んでしまいます。子どもにとって意味のある学力を付けさせることができないのです。そればかりか、間違ったご褒美は子どもがズルをしたり、はしょったりする原因にもなってしまう。プラス面とマイナス面の両方があるのです。

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(画像出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1308854&word=スタート地点とゴール地点のフラッグ)

では、どうすれば正しくご褒美を活用できるのでしょう。

ご褒美は実力に対してあげるようにしよう

先ほどの例で考えましょう。お母さんは子どもにどうやってご褒美を出せば良かったのでしょうか。コツは簡単。
「終わらせること」ではなく、「実力」に対してご褒美をあげるのです。
例えばこう。

「〇〇のドリルが全部マルになったらマンガを買ってあげる」

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(画像出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/1132565?title=100点のテスト)

100点満点という「実力」にご褒美を与えるわけです。そうすれば子どもはドリルを早く終わらせることだけに集中しません。満点を取りきるため、課題にしっかりと取り組み、間違えた問題の復習もしっかりと行うでしょう。

漢字の書き取りや記述の問題といったマルバツが付かない課題についてはどうすればいいでしょうか。そんなときは、おうちの方が「これぐらい丁寧に書ければいいよ」とか「こういう風に書けるようになればいいよ」と分かりやすく基準を示すのがいいでしょう。何も考えずに同じ漢字を100回書くよりも、正しい書き順やバランスで丁寧に10回書くほうが、よほど力になりますよね。

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(画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/495599?title=教育イメージ―花丸)

以上のように、実力に向かってご褒美を出せば効率よくご褒美を活用できるのです。

子どもをほめて、モチベーションをアップさせよう

ご褒美を活用した子どものモチベーションアップに疑問を持たれるおうちの方もいらっしゃるでしょう。「ご褒美が目標になってしまうと、本当の意味で勉強へのモチベーションが生まれないんじゃないの?」と。

今まで書いてきたようなご褒美のあげ方を、教育心理学の用語で「外発的動機付け」と呼びます。「動機」とは「モチベーション」のことと理解しておいてください。分かりやすく言えば、勉強のモチベーションをゲームやマンガといったご褒美に頼るモチベーションアップ方法です。この動機付けでは、一度目標を達成してしまうと、勉強へのやる気を失うことが多くあります。

目標の大学に入学できたとたんに勉強へのやる気を失ってしまうーーいわゆる「燃え尽き症候群」を耳にする方も多いと思いますが、まさにそれ。「大学に入ること」だけが目標だったので、大学に入った途端に勉強のやる気を失ってしまうわけですよね。本当の意味で勉強をするモチベーションは生まれていなかったのです。

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では、真に勉強へのモチベーションをアップさせるためにはどうしたらいいでしょうか?

そのためには「外発的動機付け」と対になる「内発的動機付け」が必要です。「内発的動機付け」とは学習そのものが面白くなり、勉強そのものが勉強のモチベーションになる状態。「算数って面白い、だからもっと勉強したい!」。子どもがそう考える状態のことです。理想の状態ですよね。

では、「ご褒美がほしい!」という状態から子どもをそのように変えるにはどうしたらいいでしょうか。

教育心理学的に言うと、そのポイントの一つは「小さな成功体験を積ませること」。「できた!」という経験をたくさん積んでもらうのです。子どもが少しでも出来た問題を十分にほめるのが重要なんですね。
私の元へ相談に来る方は「うちの子は算数が苦手だ」と嘆いている方が多い。でも、おうちの方から苦手、苦手と言われると、それだけで子どもは勉強へのモチベーションを失ってしまいます。

出来るところを十分にほめ、少しずつ子どもに成功体験を与える。それによって徐々にお子さんの算数へのモチベーションが上がり、ご褒美に頼らず、自分だけで算数に取り組むことができるようになるのではないでしょうか。

~今回のまとめ~
・ご褒美は出し方によってはマイナス
・ご褒美は実力に対して出す
・本当のモチベーションアップには、子どものできる部分をすかさずほめてあげることも重要


今木 智隆(いまき ともたか)
「学びのベーション」編集長。RISU Japan株式会社 代表取締役。
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、デジタルマーケティング専門コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売流通領域のサービスに従事し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材で、のべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいとオファーが殺到している。

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