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新型コロナ対策とオードリー・タンを通して見える台湾の今

郭 麗蘭さんプロフィール:
日本へ5年間の留学経験があり、現在は台湾のロケーションコーディネーターとして日本メディアと多く仕事をしている。リサーチのプロであり、多彩な取材経験も持ち、近年は日本人アーティストのアジアツアーを手掛けたり、日本で台湾観光のPR活動なども行っている。

ロケーションコーディネーターって?

諸岡:今回は、台湾でコーディネーターとしてお世話になった郭さんにお話を伺いたいと思います。

郭:お久しぶりです。よろしくお願いします。 (ロケーションコーディネーターとは)まあ、簡単に言えば、ツアーガイドさん、プラス通訳、プラス全ての用を終わらせる様な仕事が、メディアのコーディネーターですかね。

諸岡:郭さんみたいなコーディネーターの方がいないと、海外に行くテレビのロケ隊は仕事ができない!  

コロナで士林夜市(シリンヨイチ)が消える!?

諸岡:今回のコロナで、台湾の観光業界にも影響はありました・・よね? 

郭さん:ありますねえ。水着はがほぼフローズン(凍結)になってますので、観光は一切、国内以外はできないから、旅行会社とかツアーガイドやってる人とか、みんなもう仕事がゼロになっていて必死ですよ。で、私の家は士林夜市に近い。士林夜市も大半の観光客が行くところだったので、今行くとすごいガラガラで、店もたくさんクローズになってて、もう本当に士林夜市なくなるんじゃないかっていう心配があります。 

諸岡:そうなんですねえ。 

復讐的な旅行!?

郭さん:ただね、今まで台湾人は割と海外行くのが多くて、国内の旅行が少なかったイメージがあって。この1年間、もう夏休みから最近まで、復讐的な旅行・・・

諸岡:復讐的な旅行!? 

郭さん:ずっと、閉じ込められててリベンジしたいと思って、復讐的な旅行とか、復讐的な買い物とか、結構国内の旅行は賑わってます。 

諸岡:そうなんですね。なんかもうみんなが「これまで我慢してたから、やるぞー!」って感じですか? 

郭さん:そうですね。 

諸岡:そうなんですね。日本だと、国がGoToトラベルとか、国が援助してお買い物いきましょう、旅行いきましょうっていうのをやってるんですけど。 

郭さん:同じくやってます。例えば国から経済振興チケット「振興三倍券」。補助金が出て、1人1000元で買って3000元が(チケットとして)戻ってくる。あと、宿泊するときに一部屋1000元の補助券が出たりとか、日本と似た様な補助制度は出てて。 

台湾のすばやいコロナ対策

諸岡:台湾はやっぱり、コロナを水際で止めるのに成功されましたよね。 

郭さん:まあ、中国と近いですし、あと、台湾は以前SARSの経験があったから、だから、怖さを知っていたので、旧正月、2月の頭くらいに外に出る人も入る人も厳しく制限して。例えば、うちの家族もいつも旧正月の大晦日に海外旅行行くんで、家族13人の旅行で急遽旅行会社から連絡がきて、政府からストップかけられたから全部キャンセルだと連絡ががありまして、全ていけないんですよ。 

諸岡:もう、2月の時点でそうだったんですね。 

郭さん:そうです。あの、旧正月の時は本当は毎年100万くらいの台湾人が海外に遊びに行くんですけど。特に日本が行くのが多くて。でも、政府がいち早く、例えば中国行って帰ってきたら大変だということを先読みしてて、全てクローズしました。今日(11/13)までの215日間、国内の感染者はいないんですよ。で、今年に入って今日(11/13)まで、死者7人しかいない。海外から帰ってくる、入ってくる感染者は多いんですけど、多くてもまだ500人台にとどまってるから、すごくいい方だと思います。 

諸岡:やっぱり注目されてる、オードリー・タンさんがマスクのアプリとかもささっとお作りになったんですよね? 

郭さん:そうですね。台湾にはもともと1人に1つずつID番号があって、身分証みたいなものがあります。あと保険カードもありまして、保険カードとIDカードを連結してみんながマスクをもらえたり。実は民間でもその情報をもらって、各薬屋さんに配達されたマスクの数と残り(在庫)がわかるようなマップを作られたりして。取材の時にオードリーが謙虚に、「私がやったのではなく、みんなの力でそれが成り立った」って仰ったんです。すごくいい人ですよ。 

天才デジタル担当大臣 オードリー・タン

諸岡:日本でもオードリー・タンさんのことは注目していて。トランスジェンダーってこともあったり、最年少(大臣)だったり。日本では同じタイミングで、私の父くらいの世代の方がITの担当大臣になられたんですね。だから、その差っていうのも尚更注目を集めたところはあるんですけれども、やっぱりオードリータンさんは台湾の中でもすご人気がありますか? 

郭さん:とっても人気があると思います。ただし、最初に大事になられた時は、政治に無関心な人はあまり記憶になかったと思うんですけど、でもコロナになって、日本の報道が「台湾の天才大臣」という表現をしてて、たくさん報道もあって、逆に台湾の各メディアが日本で報道されてるオードリーさんのことを逆輸入して報道して、「うちの大臣はこんなに好かれてる!」「すごく受け入れられている」という感じで。 

諸岡:ああ、そういう感じだったんですね! 

郭さん:すごくかっこいいと思うのは、本人が仰ったんですけど、お金のために働いてるのではなく、自分のできることを国のためとか、人間のためとか、地球のため、特に地球のためにイノベーションして連結していきたい、そういう仕事が面白くてやりがいがあるからずっとできたらいいなって言ってました。本当に、お金のためだったら、今まで彼は15歳で会社を作ったこともあるし、Googleとか世界一有名な大手企業のコンサルティングをしたりして、十分いい生活できるんですけど。 

諸岡:いや、本当に今の時代に一番かっこいいスタイルだなって思いますよね。 

郭さん:しかも、中学校しか行ってない。 

諸岡:そうなんですね。 

郭さん:自学でプログラマーをできていて、いろいろな仕事ができる様になって、だから、すごく稀な例で憧れの存在になっているんだと思います。大臣は、みんながやっぱり年配者のイメージがあるかもしれないんですけど、でも、デジタルで天才でしかもプロで、使うのが当たり前(当然のこと)じゃないですか。日本もいろんな政治の社会の事情とかはあるだろうと思いますが、でもやっぱり、できない人が大臣になってもな、というところがありまして。日本にもオードリーさんみたいな方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、でも大臣にはなっていないですよね。それも、国民の文化の差とか国民性の差があるのかもしれない。台湾では、アメリカの様に割とチャンスがある、ドリームのある国だと私は思います。 

諸岡:そうなんですね。 

郭さん:今まで当たり前だったことをよりいい方に変化していく勇気をすごく持っているんだと思います。 

編集後記

以前、某クイズ番組の「食って食って食いまくれ!台湾食べたら見えてきた」というサブタイトルで台湾の食について取材をさせていただいた時に、ロケーションコーディネーターとしてお世話になった、郭さん。台湾のことを聞いたらなんでも答えていただける!という確信を持って、今回の出演をお願いしました。今回は、台湾の今!を伺いましたが、次回からは教育のこと、共働き事情などを深掘りしていきますので、お楽しみに!(諸岡)
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