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小さな世界

先日、伊香保で温泉旅館の若旦那をやってるイトコに、今度公開する映画のチラシを渡したら、「脚本家って何やるの?」と真顔で聞かれた。
こういう時私は、自分が生きている場所が、世界のほんの小さな片隅でしかでしかないことを思い出して、なんだかホッとしてしまう。

「脚本家はお話を考えたり、セリフを書いたりするんだよ」とかなり端折って説明すると、彼は「それはすごいね」と率直に感動してくれた。
私も旅館の若旦那ならでは苦労話などを聞きいたりして、楽しいひと時を過ごしたのだが、ふと、小さな疑問が頭をよぎった。

「ねぇねぇ、今までも作品のチラシとか渡してたけど、私のこと、何してる人だと思ってた?」

そう質問すると、彼は

「あはは、」

と笑った。

まあいいか。

きっと彼にとって私は、〝イトコ〟なんだ。
私にとっても、そうであるように。

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