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「誰も傷つけない」は無理でも、「誰も傷つかない」ならできる?

ここ数年、M-1ってほとんど見てなかったのですが、
今年はオズワルドやストレッチーズなど、見ておきたいコンビがいくつかあったので、なんだかんだで敗者復活から本戦最後まで全部通しでリアタイしていました。
どの芸人さんもめっちゃおもしろかったし、ウエストランド優勝も個人的には納得だった…!

まあ、この対立構造は多くの人が感じたことでしょうね(笑)

個人的に、誰かをディスって笑いをとるというお笑いは、
(たとえ自分に関連するトピックが矛先に向けられていなかったとしても)あまり好きではありません。
そのネタで笑ってしまうことで、自分自身もそのディスりに加担してしまうような気がしているから。

でも、ウエストランドのネタには不覚にも笑ってしまったし、
そんなに不快に感じるということもなくて。
けっこう多方面に刺しにいったネタだっただけに、自分でもそこまで不快感を覚えなかったことが不思議だったのですが、
それだけ言葉の選び方やネタの運び方がちょうどよかったのなあ、と。

明確に特定の誰かを否定してるわけじゃないけど、
どういう人のことを言ってるのか、なんとなくみんなの共通認識として頭に浮かぶものがある、
そんな絶妙なラインを突いてきたから、ああやって心置きなく笑えたのかなあ、と思ったりもしたのでした。

あと、かまいたちの山内さんが、井口さんの「小物感」という指摘をしていましたが、これもなんとなくわかるなあ、と。
この人にだったら、ディスられてもあんまり悪い気はしない、みたいな、
そういうムーブというか、キャラみたいなもの、確かにあるなあ…。

最初から「誰も傷つけない」ようにしようと思うと、
毒舌なんてもってのほかだし、それ以外にもいろんなツッコミがきっとできなくなって、そもそもお笑いなんて成立しなくなるかもしれない。
でも、「誰も傷つけない」ようにすることは難しくても、
結果的に「誰も傷つかない」ようにすることはできるかもしれなくて、
そういう見せ方ができるワードチョイスとかキャラ付けとか、
ギリギリの、絶妙なところを突けるのが、「おもしろい漫才師」の腕の見せ所なのかもしれません。

あんまりコンプラだなんだと囚われてしまうと、トガッた笑いが生み出せなくなってしまうし、
かといって、トガりを求めて一線を越えてしまっては元も子もない。
この塩梅って、実はすごく難しいのだろうし、
そのギリギリのラインを追究するお笑い芸人って、やっぱりすごい職業なんだなあ…。

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