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「続く」ことの理由、「続いている」ことの意味。

ちょっと前に読んだこんな記事。

ほっこりするような雰囲気があるクリスマスマーケットだが、その理由に開催場所とドイツの都市構造も関係がある。
まず開催される場所は広場などが多いが、こうした広場は「市街中心地」にある。これが重要なポイントだ。ドイツを訪ねたことがある方なら想像しやすいと思うが、観光地はだいたい中心市街地にある。それはその土地の「発祥の地」であることが多い。
(中略)
古い建物の中身は小売店やレストランになっているが、外観は美しく保存されている。つまり、自治体の「へそ」のような場所が、普段からショッピング、飲食などに訪れる人で賑わっているというわけだ。

ドイツの若者が日本のクリスマスマーケットを訪れた際、「古いカルーセルも置かれていたが、何かが違う。それはドイツの古い街並みの中で行われていないからだ」と感じたことを聞かせてくれたことがあるが、それは街と市場がセットになっていないからだろう。クリスマス市場の「ほっこりした感じ」は、都市と一体のものなのだ。

この記事を読んだときにふと思い出したのが、
ちょっと切り口は変わりますが、
各地にある「名産」というものの捉え方のことで。

本来、何かがその土地の「名物」「名産」になったのって、
そうであるべき理由、然るべくしてそうなった、という何かがあったんだな、というのがあって、
それは土地や地形の特徴であったり、
気候的にこの作物をつくるのに条件がちょうどいいとか、
どちらかというとあまりポジティブではないものも含まれている。

たとえば山間地で蕎麦が有名なところが多いのは、
「土地が狭いし寒いからお米の多収には向かなかった」けれど
「寒暖差があるし、きれいな水が多いから蕎麦づくりには向いている」みたいな。
誰もが羨む、とか、王道で稼げる、みたいな、
そういうのを外していった先にも、
今「名産」として、地域の稼ぎ頭になっているものがあって、
それはそういう「不利」を飲み込んで、今その土地でできるものを積み重ねていった結果なのだろうと思います。

ドイツの「本場」クリスマスマーケットだって、
きっともともとはそんな商売っ気もない、観光の目玉とかでもない、
小さなコミュニティの中でのイベントだったはずで、
だからこそ、今そこにある都市構造の中で、一番楽しめる形が生まれて、
それが無理なく、伝統として続いてきた。
それが、今でも多くの人を惹きつけるような「ほっこり」する暖かさとして
外の人から「再発見」されて、今では多くの人に親しまれている。

今はいろいろな技術が発達しているから、
新しい「名産」「名物」を、何の文脈もないところからつくることだって、
やろうと思えばできてしまうけれど、
もともとその土地にあったもの、
何かの理由があって歴史がつながってきたものには、
その土地を無理なく「活かす」エッセンスが詰まっているはずで、
それはきっとSDGsみたいなことにもつながっていくのだと思う。

地域活性化、みたいな文脈だと、
どうしても新しい「流行り」をつくる、みたいな方向性にいってしまいがちだし、もちろんそれも大事なのだけれど、
それ以前に、その土地に元々あるもの、受け継がれてきたものを、
ちゃんと見つめ直して、再発見する。
そのプロセスも、改めて大切にしていかないといけないのだなあ、ということを思い直させられます。

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