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「社会人基礎力」より大切なもの。

静岡のコミュニティFM「FMしみずマリンパル」でやっている、清水エスパルスのホーム戦実況中継を聴いていると、
解説者で懐かしい元オレンジ戦士の名前を耳にすることがあります。

年代別代表も経験し、ユースからトップチームに昇格した鍋田亜人夢さんもその一人。
残念ながらレギュラー定着はならず、数年でエスパルスを去ることになったのですが、中学校の教員になったことはマリンパルの中継で初めて知りました。

余談ですが、元プロスポーツ選手とはいえ、
公立校の教員で具体的な学校名まで報道されたり、
あるいは学校の先生ながら解説者としてメディア出演もするというのは、
さすが「サッカー王国」だなあ、と思います。

プロスポーツ選手のセカンドキャリアというのは、
かねがねから問題になっていましたが、
年を追うごとに話題になる回数も増えているように感じます。
Jリーグもクラブ数が増えたり、バスケやラグビーがプロ化されたり、
プロスポーツの裾野が広がっていることで、
「引退後のキャリア」という問題に直面する人の絶対数はますます増えているからなのでしょう。

プロスポーツ選手のセカンドキャリアにおいて問題になる典型は
『普通の社会人経験がない』ということ。
「サッカーしかやってこなかったから、世間一般の仕事の作法や常識に触れる機会がなかった」
「学生時代からサッカー漬けだったから、授業とかも正直ちゃんと受けていなかった」

そんな話は、いろんな記事でもよく見るし、
実際、一般的な大卒をとうに超えた年齢で引退して、パソコンの操作をイチから勉強する、みたいな話も、さして珍しくない印象です。

でも、私がちょっと不思議に思うのは、
「元プロスポーツ選手」というのは、そんなにハンディキャップになるものなんだろうか?ということで。
むしろ、ものすごい強みなんじゃないかと思うんです。

確かに、20代後半や30代前半で突然「新入社員」として入ってくる人に対して、ある程度の「困惑」が起こるのは、わからないでもない。
でも、決まった年齢である程度の人数が一斉に入ってきて、
段々と人数が絞られながら昇進レースが繰り広げられる、という、
ある程度規模の大きな企業ならばともかく、
中小企業であれば、正直さほど気にすることでもないだろうし、
サッカー選手から会社員への転身も、一種の「異業種転職」だと考えれば、決して珍しいことではない。

かえって、
ビジネスマナーなんて仕事してるうちにすぐ身につくものだけど、
プロ選手として熾烈な競争の中に身を置いた経験や、
大勢の人の衆目の中でプレーする経験というのは、
我々一般人は経験したくたってそうそうできない「スペシャル」なこと。
そんな経験の中で感じたこと、得た経験って、
多くの人が持っていない、貴重な視座やものの捉え方を生み出しうる源泉になるだろうし、
どこぞでよく聞く「社会人基礎力」なんてものなんかより、よっぽど大切なものだと思うんですよね。

もし「元プロスポーツ選手」というのがハンディキャップになってしまうのだとしたら、
それはその選手その人よりも、
その選手を雇う側の力量が、そのスペシャルな個性を活かしきる度量が足りないんじゃないかとも思うし、
逆にいうと、こういった「一見変わった経歴」の人がのびのび働ける場所ならば、
どんな人にも働きやすい、「やさしい」職場なんじゃないかなあ、とも思います。

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