【ベース】 バークリーで学んだこと、聴いていた音楽は?【佐藤慎一先生対談#1】
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今回は、ベーシストの佐藤慎一先生と、サックスプレイヤーでプロデューサーの沢井原兒先生の対談の様子をお送りします。
対談では今回より5回にわたって、佐藤先生がプロになるまでの経緯や、これまでのお仕事、ご活動について、また音楽に対する考え方などをたっぷりと語っていただきます。
ぜひ最後までお楽しみください。
(以下、敬称略)
【対談者プロフィール】
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沢井:今回から、よろしくお願いいたします。
佐藤さんとは、15年くらい前からのお付き合いで、私も佐藤さんも音楽学校メーザー・ハウスという学校で教えていましたのである程度面識はあります。
一緒に演奏したこともありますよね?
佐藤:何回かご一緒したことがありますね!
沢井:ベテランのベーシストである佐藤さんさんですが、尚且つ博学でもいらっしゃって慶應大学を卒業されています。
何学部だったんですか?
佐藤:商学部でしたね。
沢井:じゃあ音楽とは関係がないですよね。
佐藤:もう全然関係ないですね(笑)
沢井:最初は音楽家になるつもりはなかったんですか?
佐藤:音楽はすごく好きだったのですが、そんなことを言い出せるような高校ではなかったんですよね。
「とりあえず受験して、そこそこの学校に入ってから考えようかな」という感じでした。
沢井:中学と高校は早稲田だったんですよね?
佐藤:そうなんですよ。
沢井:そこから、なんで慶應に入られたんですか?
佐藤;ちょっと裏の事情がありまして…推薦から漏れたんです。
「じゃあもう受験するから別にいいです」っていう感じのノリで慶應大学を受験して入りました。
沢井:それもすごいですよね。
それでそのあとバークリー音楽院に行くんですよね?
佐藤:はい。行きました。
沢井:なぜバークリーに進んだかというところなどについて、少し教えていただけませんか?
佐藤:最初は、バークリーという学校がある、ということすらも知らなかったんです。
実は慶應のジャズ研に入ってそのころベースを始めたんですが、4年生の1年間、ライトミュージックソサエティ(※1)っていう名門のビッグバンドに入ったんですよ。
それで、たまたま前の年の先輩方が山野ビッグバンド・ジャズ・コンテスト(※2)で優勝されて、そのご褒美的な感じでカリフォルニアにツアーに行けたんです。
モンタレー・ジャズ・フェスティバルとかに出ることができて。
沢井:すごいじゃないですか!
佐藤:すごいですよね!
「なんなんでしょうかこの人生は」っていう感じですけど(笑)
その時にモンタレー・ジャズ・フェスティバルだけじゃなくて、たとえばUCLAとか大学で演奏したりして、大学の音楽学課程っていうものがあるということを初めて知ったんですよ。
そこの先生たちと色々と話をして、「僕は音楽の仕事をやろうと思っているんです」っていう風に言ったら、「じゃあバークリーとかに行ったら良いんじゃないか?」って先生が言ってくれて、「なんですか、それ。」みたいな感じになったんです。
それからですね。
沢井:なるほど。それからバークリーに進んだんですか?
佐藤:そうですね。
それからアメリカから戻って色々調べて、奨学金をもらえるシステムがあるということがわかったので、それに受かったら行こうと思いました。
一応作曲家志望だったので、作品を中心にバークリーに提出したんです。
僕が作曲した曲をビッグバンドで演奏した録音とか、自分がアドリブをやっている時の録音とかです。
それでめでたく合格して奨学金を頂くことができたので、バークリーに通うことになりました。
沢井:その時はベースでなく作曲だったんですね。
佐藤:基本的にはそうですね。
学科もフィルム・スコアリングっていう映画音楽のコースに入りました。
沢井:ベーシストのプロになるつもりはなかったんですか?
佐藤:すでに大学生の頃から色々と活動はしていまして、仕事も時々やっていたりしたんですが、ベースでずっとやっていくのも無理だろうと思って、半分諦めていたっていうことはありますね。
沢井:それは、ベーシストとして自分はそんなに才能が無いなと思っていたんですか?
佐藤:思っていましたね。
でも曲を書くのはもしかしたら結構いけるんじゃないかという気がしていて、そっちにかけてみようと思ったんですよね。
勉強すれば絶対できるはずだと思って。
なのでバークリーの時はそういう感じで作曲を頑張っていました。
毎日書いて、写譜しまくって相当頑張っていましたね。
沢井:じゃあそこから映画音楽系に進むと思いきや、そうではなくなったわけですね?
佐藤:それがですね、その時のバークリーは基本ベーシストがあまりできる人がいなかったんですよ。少なかったんです。
沢井:そうなんですか。
佐藤:他の楽器に比べるとすごく層が薄かったんです。
僕は一応作曲メジャー(主専攻)だったんですけれど、入学して最初のテストで専攻に関わらず、楽器のスキル審査されるんですよ。
4項目あって、たまたまかなりいい点を取ってしまったんです。
そうしたらいきなり学校関係のプロジェクトだったり、イベントだったり、新入生のオーディションチームの活動だったり、そういったものに参加するようになって、そこから人脈が広がっていってライブとかをやるようになりましたね。
沢井;じゃあバークリーではベースを習ったわけではないんですね?
佐藤:ほとんど習ってないですね。
週に1回だけ20分間習っていたんですけど、20分なのでちょっとセッションして終わるという感じでしたね。
沢井:その時はまだプロのベーシストになるとは思っていなかったんですね。
佐藤:あまり思っていなかったんですけれど、でも「これも楽しいな」とだんだん思い始めていきました。
そもそもジャズを甘く見ていたというか、あまり関心がなかったんですけれど、仲良くなった友達が本当に素晴らしくて、「ジャズはこういう風に聴くんだ」「こういう風に演奏するんだ」というところを身をもって見せてくれたんですよ。
沢井:それってすごく大事なことですよね。
佐藤:そうですね。夜みんなで部屋に集まってレコード聴いたりとかして、「こういう風に楽しむんだな」と思いました。
沢井:若い時って音楽の聴き方を知らないから、何をどういう風に聴くかってなかなかわからないですよね。
私の若かった頃は、当時ジャズが1番最先端でかっこいい音楽みたいな認識だったんですよ。
ポップスやロックとは一段階違うという認識で、ジャズについては上っ面しか知らなかったわけです。
本当にちゃんとジャズを聴いていたかと言われるとあまりわかっていなかったと思います。
佐藤:僕も表面的にしか見ていなかったですね。
ウェザー・レポート(※)がすごい好きだったんですよ。
今でも1番好きなバンドでジョー・ザヴィヌルは神様だと思っているんです。
それがきっかけで、ザヴィヌルの昔参加していたバンドとか作品を聴くようになって、そこからジャズに興味を持ち始めて好きにはなっていたんですけれど、ただ「心の底からジャズ好きか」と言われればそこまでではなかったと思うんですよ。
でもアメリカに行って、一緒に演奏していたアメリカ人の友達とかと音楽を聴いたり一緒にライブをやったりすることで、どんどん深みにハマっていった感じだったんですよ。
沢井:その経験がなければ、ジャズの本質はわかっていなかったかもしれないということですか?
佐藤:心からは好きになっていなかったし、わかっていなかったですね。
沢井:それまでは、ジャズを聴くは聴くけれど、そこまで強い思い入れがあったわけではないんですね。
さっき好きな音楽というところでウェザー・レポートが出ましたけど、ウェザー・レポートの前とかはポップスとかロックとかを聴いていたんですか?
佐藤:そうですね。
たとえばスティングとかスティービー・ワンダーとかもものすごく好きでしたね。
沢井:やっぱり私の世代とは2世代くらい違いますね!
チャーリー・パーカーとか、いわゆるオーソドックスなジャズとかはあまり聴いてこなかったんですか?
佐藤:いや、聴いてはいたんですが、勉強として教養としてという感じですね。
「Charlie Parker Omnibook」(※)を練習していました。
沢井:じゃあ大学時代の経験って、今の自分にすごく影響していますよね?
佐藤:そうですね。ジャズを演奏する時はその時代の気持ちがフラッシュバックしますね。
沢井:じゃあジャズのルーツというのは、わりと新めのウェイン・ショーターとかマイルス・デイヴィスとかそのあたりですか?
佐藤:その時はそうですね。
その後になってから、もっと古い時代のジャズもすごく好きになりました。
デューク・エリントンとか。
最初は単に歴史の勉強として聴いている感じだったんですが、今はすごく好きですね。
レスター・ヤング(※)とかも。
沢井:レスター・ヤングとかも聴くんですか!
佐藤:大好きですね。コピーしたりしてます。
沢井:すごいなぁ。
いや、お話がいますごく盛り上がっているところなんですが、今回はとりあえずこのあたりでお時間となってしまいました。
ルーツの部分のお話を聞くことができて面白かったです。
ありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。
佐藤:よろしくお願いいたします。
今回はベーシスト佐藤慎一先生に、学生時代のエピソードやルーツについてのお話をお伺いしました。
次回は、注目している音楽や普段ベース演奏をする上で意識していることなどについてお話しして頂きます!
次回もお楽しみに😊
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