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オーストラリアの接客業歴1年。日本との違いを比較してみる【お客様は神様じゃない】

オーストラリアの小売店で販売員をして1年経った。仕事をゲットした時のあらすじはこちら。

日本でも販売員、受付嬢など接客の経験があるので、オーストラリアと日本の接客業について気づいことを書いてみる。

いいところ

① お客さんが優しい

オーストラリアは、サービスを受けることが当たり前、ではなく、労働者に感謝する文化がある。

店員さんから言うと「うちで買い物してくれてありがとう」だが、オーストラリアのお客さんは店員さんに「私の買い物を手伝ってくれてありがとう」と言ってくれる。

以前、うちで買い物したお客さんがクレームに来たことがあった。

商品に問題があるから取り替えてほしい、というので交換すると、翌週に「新しい商品にも同じ問題がある」とまたお店に来るのだった。

日本なら
客「どうなっとんねんここの商品は!?」
店「大変申し訳ございません!!」

となってもおかしくないが、オーストラリアのお客さんは

「何度も同じことで文句言ってごめんよ!」
「また俺が来たと思って嫌な気分だよね?」
「君が悪いんじゃないことは分かってるよ!商品の問題だからね。」
「どうしたらいいか、お店としては何ができるだろうか?似たようなほかの商品はある?返品はできる?」

と言ってくれて、それがあまりにも思慮深くて、日本でこんな優しいお客さんいないんじゃない!?と、私は感動した。

私は優しいお客さんだと思ったが、実はこれは割と普通らしい。誰もサービスに大きな期待をしていない

日本ではポイントが失効していると言えば大泣きして怒られたり、商品の在庫がないからといって怒鳴りつけられたりして、店長も出てきて平謝りしても許してもらえず…ということが往々にしてあったが、オーストラリアではそうやってお客さんに怒鳴り散らされることは全くない。

むしろお客さんにお礼をもらうことも度々あった。「あなたのサービスがとても嬉しかった」とお菓子や飲み物の差し入れを時々いただく。お客さんがお店の人を対等に見てくれているのがよくわかる。

② 形式<フレンドリーでプレッシャーが軽減

日本では姿勢や、笑顔や、言葉遣い、目線、おじぎの角度まで厳しく指導されていて、それがプロになること、それが売り上げを上げることにつながっていた。

オーストラリアではあまり丁寧にすることより、フレンドリーであることのほうが好まれる。英語にも敬語に似たような硬い表現があるが、オーストラリアの客商売ではあまり使われない。

お客さんとの会話を楽しみ、距離を縮めて、商品を売る、というのが基本の販売の流れかなと思う。

例えば、「何になさいますか?」「どのようなお色がお好みですか?」といった話し方より、

「ハロー!今日はショッピングデーかい?おっ、シャネルの袋持ってんじゃん、何買ったの?リップいいねー!」みたいな、全然自分のお店とは関係のない話から始め、少しずつお客さんの情報をつかみ、「今度パーティだからリップ買ったのね~、そしたらうちの小物も新しいのあるんだけど見る?」といった感じで、友達と買い物してるかのような接客が好まれている

もちろんお店の価格帯や立地にもよるけど、割とお高めのお店でもフランクな接客が基本。

お客さんとの関係性に上下関係のようなものが感じられないので「売らなきゃいけない」というプレッシャーがあまり感じられない。

悪いところ

① 安全ではない

これは場所によると思うけど、私が今まで経験した店舗2つとも万引きが日常茶飯事だった。私の店だけでなく、多くの店が被害にあっている。

私の経験では子どもの質の悪いいたずらがとても多い。

頭からオイルをぶっかけられたり、水をかけられたり、正面から動画を撮られて「ネットでばらまいてやる!」と叫ばれたり(一体なぜ?)、いろんなことがあった。そんなことをするのはみんな10代の少年少女たちだった。私はブリスベンで働いて子どもたちの犯罪についてとても気になっている

オーストラリアは法律が甘いのも原因だと思う。こういういたずらをしても、現行犯でなもない限り捕まったり罰金をとられたりすることはほぼない。

こういういたずらはあまりにも多発しているので警察に相談しても特に何も対策してくれない。自分自身でいたずらに備えるしかないのだ。

② いろんな人がいる

良いところの①で書いたのと矛盾するが、優しいお客さん中に時々変なお客さんもいる。

以前、ぐちゃぐちゃに使用したあとの商品を「返品したい」と言うお客さんがいた。

店としては「商品に問題がない以上、使用後の返品はできない」というわけだが、相手は「30日以内は返品できるはずだ!絶対に返品する!」の一点張りで譲らず、私では手に負えずセキュリティを呼び、最後に警察を呼ぶハメになった。

最終的に警察がブリスベン市の消費者窓口を案内して終わり、という結末だった。

こうやって暴れるお客さんを対応したことが今まで2回あったが、2回とも騒ぎが落ち着くと全く関係ない通行人がやってきて

「あなた、大丈夫?ひどいこと言われてたわね。気にしなくていいのよ!あの人がおかしいんだから!」

と慰めてくれた。すごくない?
日本で山ほどクレーム対応を経験したがこんなこと言ってくれる、同僚でもなんでもない通行人には出会ったことがない。

いろんな人がいるけど、オーストラリアの国民性は優しいんだといつも思う。私も時々ひどい扱いを受けても、優しい心を忘れずにいられる。


このように、同じ仕事でも日本と外国で全然やり方や傾向が違うことはよくある。

日本でうまくいっていないと感じている人、この仕事は好きだけど向いていないのかな、と感じている人、または何も好きじゃない、という人も、海外に行けば何か違うかもしれない。

環境を変えて同じことに挑戦するのもいいかもしれない。


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