弁護士に問題解決を依頼した時の話

※以下、法律を専門としない一介の市民が弁護士に依頼したときの体験談であり、内容は2018年のことでありかつ実際の法律の運用を誤解している部分があるので、これをそのまま適応するのではなく、あくまでも個人の体験談として読んでください。

日本で馴染みのない専門職の一つに法律の専門家はあると思う。判事、検事、弁護士はもちろん、司法書士、行政書士にも関わりがない人は結構多いのではないか。
そういう意味では2018年まで私もそうであった。しかし雇用関係でトラブルが生じたのである日こう思った。

「そうだ、弁護士に依頼しよう」

端的に言えば、雇用条件を巡ることについて弁護士に介入を依頼し、解決を得た。弁護士が介入して交わした書面は現時点でも有効であるのと、相手が悪意100%でやったことではないので詳細はここには書かないし書いてはいけないと思っている。

勤務していた職場がセクハラとパワハラで秩序を失い、組織として崩壊してしまったので私も身を守るために職場を変えた。
そこで契約したのがその職場(以降Aとする)である。
雇用における絶対条件の中にある特殊な条件に対応できることというのがあり、Aはそれに対応できると言っていたのだが、Aとの契約が開始となったその日に、その条件が(予見性があったにも関わらず)満たせなくなったのだ。そのことを聞かされたのはAに雇用されてから1ヶ月後であった。
その条件を満たすために仕事をしていたので、直接上司と話し合ったが解決策も提示しなかったので、再度転職を決意した。見切り千両が人生のモットーなのと、専門分野業務ができるので転職はそこまで難しくないという恵まれた立場なので、そういう決断はおそらく他人と比較して早い。
しかし、Aとの契約にあたり私は転居しており、次の契約先次第では転居せざるを得ない(実際に転居した)。転居費用も馬鹿にならず、恥を晒すとそのときは直近で入院したこともあり貯金が底をついていたので新規で賃貸契約を結んで転居することが金銭的に困難であった。しかし、予見性を持っている事態に対応しなかったのはAであるため、出るところに出たらAが費用を出してくれるのではないかと思い「そうだ、弁護士に依頼しよう」と思ったのである。

弁護士を探すのは初めてだった。調べ始めて知ったのだが、弁護士にも専門があり、その専門も細分化されているとのことだ。雇用問題でも雇用側を得意とする弁護士、被雇用側を得意とする弁護士がいることも初めて知ったし、また雇用問題が発生した業種による得手不得手があることも知った。
上述したように特殊な条件が絡むため、それそのものを専門とする弁護士がいないことが早々に分かったので、検索範囲と自分の業種の被雇用者側の弁護を得意とする弁護士に絞った。周囲に雇用問題で弁護士と契約したことのある同業者が探せなかったこともあり(離婚関係はいたが今回はそれではないので)、インターネットの検索で候補を挙げた。10件くらいの弁護士事務所を候補として、まずはメールで問い合わせをしてみる。向こうから断られたり、対応が悪かったところを除外して3件の弁護士事務所が最終候補となり、その中から依頼する弁護士事務所を選んだ。
ちなみに最初は法テラスを利用しようと思ったのだが、(貯金がなくても)前年度の収入がある程度あると使用できないと言われたので断念したが、コロナ禍以降は変わったかもしれない。

「自分の業種の被雇用者側の弁護を得意とする」こと以外の条件は
・連絡は基本的にメール(電話は基本的に出られない)
という一点だけであった。
 ※2018年時点ではzoomなどのオンライン面談は全く一般的ではなかった

これが意外に対応してくれる弁護士事務所が当時少なく、故に、同一県内にあるにも関わらず、自宅からも職場からも遠いその弁護士事務所に契約のために訪れることになった。
尚、初回の相談は30分無料というのはどの事務所でも謳っていたので、私もそれを利用した。30分で相談が終わって延長料金無しで契約の判断ができるように、問題と(主に業界的なところの)背景をまとめた資料を持っていった。
結果、その弁護士の先生は「転居費用だけでなく、弁護士費用も合わせて請求できる」と受けてくれる意向を示したため、契約した。貯金がないことを相談の際に申告しておいたので、後払いにすることも盛り込んで私と弁護士先生間の契約書を作成してもらい署名した。契約成立である。

そこから後は弁護士に依頼したことを上に明言し、上司と誘導尋問だらけの面談(全部録音済)を重ねながら、内容をwordにまとめて弁護士の先生に送る日々を重ねた。仕事は普通に続けていた。
1ヶ月半後、私の言い分と職場からの条件(争点の漏出禁止など)を盛り込んだ弁護士先生が作成した同意書に基づいて、私の通帳に転居費用2回分(Aの近くへの転居費用と、次の賃貸契約分含めた転居費用)と弁護士費用が振り込まれた。弁護士の先生には契約した分の費用をそこから支払って菓子折りを持ってお礼に行った。そしてAを辞めた。

さて以下は弁護士に依頼する際の心構えというかTipsである。

0.弁護士に依頼をすることと裁判になることは同義ではない。
 →弁護士に依頼したからといって必ず裁判(訴訟)になるわけではない。刑事事件は訴訟が前提だが、今回のように民事は裁判以前の段階で解決できることが多い。訴訟まで行くと弁護士費用も跳ね上がるし裁判で出た結果(判決)はいじることができないので、自分の要求を飲ませることが見込めるなら、その前の段階で決着をつけることをおすすめする。

1.弁護士に問題としたいこと、背景を伝えるのは自分自身である。
 →このあたりは本当に個別性が高いので、介入できるかも含めて相談しないと弁護士側も判断できないのは当たり前である。無料相談は時間限定であることが一般的なので、事前に上記を説明する資料を自分で作成したほうが時間を有効活用できる。また資料を作成することで、自分の中でも論点が整理されるので弁護士に依頼する以外のことにも有効な手段である。「相手に何を要求したいか」は明確に伝えよう。

2.資料は自分で作成すると金銭的に得である。
 →弁護士への依頼は包括的契約もあるのだろうが、私は個別の契約を選択した。そのため資料をある程度自分で作成して、提出された資料を元に弁護士の先生に最終的な書類(同意文書)を作成してもらった。弁護士の先生に書類を作成してもらうだけでも費用が発生するので、作成できる気力体力がある方は作成することで微妙にコストを抑えることができる。

3.弁護士の先生はカウンセラーではない。
 →弁護士の業務は問題の法的な解決であり、それ以外は専門外であり対応できないと考える必要がある。精神的につらいのであれば、一度精神科や心療内科を受診して、そこから心理カウンセラーなどに繋いでもらうほうがよい。余談だが医者(精神科も心療内科も)もカウンセリングのプロではないので、(医者は「疾患とその治療」のプロであり、気持ちや考え方のコントロールについてはアドバイス的なアプローチしかできないことがほとんど)、カウンセリングが必要化の判断も含めて精神科や心療内科を受診することをおすすめする。間違っても弁護士の先生にカウンセリングを求めてはいけない。プロはその専門に対して報酬を得ているので、その専門以外のことは別のプロに任せよう。

4.選択権は自分にある。
 →頼みたくない人に仕事を頼む必要はないということです。どうしても相性はあるので。一度契約すると解除にお金も手間もかかるので、事前に何件か候補を探して選びましょう。知り合いの紹介であっても同様です。

5.100%思う結果は得られない。
 →問題解決においての基本的な考えです。私は本当に奇跡的に100%言い分が通りましたが、これはかなり珍しいと弁護士の先生にも言われました。

6.労務問題・雇用問題については在職中に弁護士に介入を依頼する。
 →ここは受け売りなのですが「労務問題・雇用問題については在職中に弁護士に介入を依頼しないと思うような結果がより得られにくくなる」と弁護士の先生に言われました。確かに辞めてから弁護士の先生にお願いするほうが気は楽だろうと思いますが、雇用されている間は賃金も社会保険も保証されていることを考えると、その面からも雇用中に弁護士の先生に介入してもらうのは理にかなっているかなと思います。

7.資料はコピー2部取って全部残す。
 →紛失や改ざんが致命的になりかねないので、原本含めて3部は必須です。私は原本を自分で保管して、コピー1部を弁護士の先生にレターパックで郵送(弁護士の先生が保管)、もう1部のコピーを実家に預けてありました。録音データについては、自分の端末に残して個人PCでバックアップ作成、コピーを入れたUSBを弁護士先生と実家にそれぞれ送っていました。

8.法的に解決できる問題は弁護士に依頼しよう。
 →生きていれば問題は生じます。病気になったら医者にかかるように、法律関係の問題が生じたら弁護士に依頼することは当たり前のことなのです(病気になるより頻度は低いと思うが)。法的に解決できる問題に対して弁護士に依頼して解決を図ることは正当な権利です。
個人的にはどっちも作れていませんが、かかりつけ医とかかりつけ弁護士を作りたいです。


2018年に弁護士の先生に依頼して問題を解決してもらって、2023年今、私は元気に生きております。

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