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自然科学分野技術者の思考の断片。残せたらいいもの。 著作権の範囲内の引用可。 こちらの記事をベースになにか書いてくださる方がいらっしゃいましたら、その文章などを読ませてください。

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最近の記事

「可能」性のはなし

現在、日本において人工中絶が可能なのは、WHOの妊娠期間の定義に従った上での22週未満と法的に定義されている。しかし、それは法が制定されてからずっと変わらなかった期間ではない。 以下、Wikipediaからのコピペ(一部編集)である。 1976年以前までは通常28週未満 1976年から1990年までは通常24週未満 1990年に通常22週未満と基準期間が短縮されていっている。 ここからは私見に戻る。 人工中絶可能期間の法的許容期間の短縮は新生児医療の進歩によるものであ

    • 復讐の品詞分解

       移動中に眠気がなかったので、「夜行秘密」(カツセマサヒコ)を読んでみた。  J-POPのアルバムをベースに、エッセンスを再構成して書かれた小説であるということを本編読了後に、収録されている対談で知った。  群像劇という形をとっている小説だが、松田英治が岡本音色に声をかけるシーンからはミステリー、しかも解の与えられないタイプのそれだと感じた。  二人が話してからのストーリーを大雑把に言ってしまえば「岩崎凛を殺した人への松田英治の復讐」となるが、これについては「誰が、誰に、何

      • 勉強と搾取

         大人の学び直しが盛んである。学ぶことは大事であると私は思っているし、ありがたいことに学び続けられる環境で仕事をさせてもらっている。  さて、大人が勉強するときに、何を勉強するかについてだが、目的によって大きく変わると私は考えている。  大人の勉強は大きく分けて趣味の勉強と仕事に関係する勉強に大別されるだろう。  趣味の勉強は学ぶこと自体が目的であり、そこは完結している、遊びと学びが融合した愉悦の世界であろう。残念ながら、私は趣味で学びたいほどの興味関心を抱いている事項はな

        • 論文が掲載されるまでのはなし

           私は仕事なので論文を書くが、それはどう考えても一般的な営みではない。  多くの人にとって自らが書いた論文というのは存在しない、あるいは卒業論文となるだろう。後者であっても、それなりのマイノリティになる。  さて、論文を書くという事であるが、論文はそれ単体で成り立っているわけではないのである。  多くの自然科学系の研究者が論文を書く際には「テーマの設定→学会発表→論文化→掲載」という流れを取る。  「テーマの設定」だが、基本的に修士までがテーマを授与され、博士がテーマを自

          States to Nation

          United States of Americaはアメリカ合衆国の英語表記における正式名称である。 United Nationsは国際連盟の英語表記における正式名称である。 「state」は由来を含めた語義において、「立場・状態」などの比較的中立的ないし選択など積極的な行為に基づくニュアンスがあり、「nation」は自然発生的で土着的な(本人の希望とは関係なく)付与されたという受動的なニュアンスがあると私は感じている。 アメリカ合衆国も国際連盟に加入しているので、Nati

          States to Nation

          科学的ということ

           古代オリンピックにおける勝者が得られたのは名誉と月桂冠のみであったそうだ。その月桂冠が枯れたとき、得た名誉を忘れよと、与えられた時から失うことを求める様は諸行無常そのものに思える。  科学の定義についてはコンセンサスが得られたものがないという、なにやらパラドクスめいた状況ではあるが、カール・ポパーの反証可能性は、科学的な姿勢という点において核心に近いものであろうと私は考えている。それに従うと、科学は事実とそれに対する反証を止揚していく営みを指すと考えてよさそうだ。  科学

          科学的ということ

          努力 未来 Beautiful star

           休みの日に、蓮見重彦『祖語の誘惑』を読んでみた。装置としての大学というものを考えながら、知の目的ないし自己目的化について考えさせられた。  そのときはゆっくりすることを目的に鳳明館の一室にいた。備え付けのお茶を飲みながら、ページを繰り、文章を反芻していた。  手術をした目がさすがに疲れたので、第二章を終えたところでしおりを挟んだ。ふと上げた視線の先には掛け軸があり、そこには「無知を恐れるな 誤った知識を恐れよ」と書かれていた。  なるほど、ここが本郷かと思った。  会ったこ

          努力 未来 Beautiful star

          引越狂騒(サービス編)

          人生で何回引っ越したかが咄嗟に出てこないくらい引っ越している。 改めて数えてみたら、記憶にある範囲ですでに10回を超えていたので、もうカウントしないことにした。葛飾北斎には負けるが、こんなに引っ越してどうすると自分にげんなりする。尚、成人後に引っ越した理由は就職・退寮・転職のいずれかによる。転職しすぎだと言われることもあるが、幼少期の親の転勤はさておき、雇用の流動性が高い業界に属しているので仕方ないと思ってほしい。 今回は再び首都圏に引っ越すことになった。単純に嬉しい。 首

          引越狂騒(サービス編)

          引越狂騒(手続き編)

          人生で何回引っ越したかが咄嗟に出てこないくらい引っ越している。 改めて数えてみたら、記憶にある範囲ですでに10回を超えていたので、もうカウントしないことにした。葛飾北斎には負けるが、こんなに引っ越してどうすると自分にげんなりする。尚、成人後に引っ越した理由は就職・退寮・転職のいずれかによる。転職しすぎだと言われることもあるが、幼少期の親の転勤はさておき、雇用の流動性が高い業界に属しているので仕方ないと思ってほしい。 さて、引越しである。 とにかく手続きが多い。 引越しの手続

          引越狂騒(手続き編)

          手帳の作り方

          色々あって、来年の手帳を自作した。  (色々①毎年買っていた手帳が終売となった。     ②月曜始まりしか使いたくない。     ③2024年1月~2025年3月までのが必要。     ④白紙のページが沢山無いと不便すぎる。     ⑤管理することが多岐にわたっているので年間、月間、週間カレンダーの他、リストなどがないと詰む     など) 予想以上に満足の行く一品ができたので自慢しまくっていたら、自作方法を様々な方に聞かれたので、友人にあてたメールを覚書として転載しておき

          手帳の作り方

          学びてときに之を習う

          急遽目の治療を行うはめになり、その諸々が落ち着いたので久々に文章を書いてみる。 まだ目の調子は万全ではないが、文字が読めるというのは嬉しいことである。聴力も同時に低下していたため、情報入力器官が二系統ダウンしている状態でいるのが辛かった。ましてや私は文字で情報を認識するタイプなので問題なく文字が読めることは本当にありがたい。 さて、大人の勉強をリスキリングと言い換えられて、学ぶことがまたコマーシャル化され、苦笑いをしている。 学びを続けることはとても大切なことだと思ってい

          学びてときに之を習う

          そこまで歩く

          高校時代、数学を集中的に勉強していた。大学入試のためである。 微分積分の計算はできるが、式を立てることがとても苦手だったのは余談である。 数学は私が普段使用している言語とまったく異なる世界系を構築していたので、数学に取り組んでいるときはJ-POPを聞いていた。Walkmanの中に入っているT.M.Rの「風のゆくえ」をBGMに、そのとき私は(今だから名称を把握している)解析幾何学の解を求めていた。 僕らは透明に 交わり別れ続けるーー  (井上秋緒)  x軸とy軸、向かい合う

          そこまで歩く

          principal

          成長の過程で、遊びの結末が争いで終わることが少なくなってきた。それは遊びに結果を求めなくなった結果であり、遊びの中で無責任でいられるようになる、いわゆる遊びの純粋化に成功したからであると解釈している。 遊びの純粋化はそのprincipalが明確化したことに由来する。 私にとって遊びのprincipalは「ルールが明確であること」「プレーヤー全員が同等の選択肢を持っていること」の2点である。 このprincipalを前提とした遊びの中で、私は平等の夢を無責任に見て、現実における

          principal

          アンディ・ウォーホル

          先日、「抽象絵画の覚醒と展開」を目当てにアーティゾン美術館を訪れた。 一番好きな画家はルノワールで一番好きな絵は「エチュード若い女のトルソ 陽の効果」とものすごくベタであるあたりから察せられるように美術には詳しくないがアーティゾン美術館の企画展は興味を引くものが多いので、時間が合えば前売り券を購入して年に数回訪れている。 さて「抽象絵画の覚醒と展開」である。展示としては印象派から抽象までの美術史を辿る内容であった。その展示は素晴らしかった。展示において個々の作品もさることな

          アンディ・ウォーホル

          コストを払うのは誰だ?

          今日もコーラを買った。最近、500mLペットボトルも値上がりが続いていて嗜好品の購入を躊躇うようになってきた。 「図書館のお夜食」(原田ひ香)の初版本が手に入った。「数学者たちの黒板」(ジェシカ・ワイン)はまだ入荷していないとのことなのでまた今度購入する。 電気代の請求が来ていた。生活のためにもちろん払うが、値上がりの理由に腸が煮えくり返る。 さて、上記行動は私の日常である。非常にわかりやすい消費行動であり、請求された明確な対価を支払っている。 私がそれを消費したから・サー

          コストを払うのは誰だ?

          弁護士に問題解決を依頼した時の話

          ※以下、法律を専門としない一介の市民が弁護士に依頼したときの体験談であり、内容は2018年のことでありかつ実際の法律の運用を誤解している部分があるので、これをそのまま適応するのではなく、あくまでも個人の体験談として読んでください。 日本で馴染みのない専門職の一つに法律の専門家はあると思う。判事、検事、弁護士はもちろん、司法書士、行政書士にも関わりがない人は結構多いのではないか。 そういう意味では2018年まで私もそうであった。しかし雇用関係でトラブルが生じたのである日こう思

          弁護士に問題解決を依頼した時の話