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京都の休日 48 〜【落柿舎(らくししゃ)】青柿の夏、日本家屋の涼しさに感嘆いたしました〜

晴れ渡る
七月の嵐山。

竹林の小径にさえも熱がこもっているように
感じられる暑い日でした。

そこを抜け、小倉池を通り
向かったのは「落柿舎(らくししゃ)」

本日は、この場所を
ご紹介したいと思います。

「落柿舎(らくししゃ)」は、
松尾芭蕉の弟子

向井去来(むかいきょらい)
別荘でした。

松尾芭蕉は三度ここを訪れており
長期滞在中に
『嵯峨日記』を随筆しております。


さて、この
「落柿舎(らくししゃ)」

向井去来(むかいきょらい)が
自ら「落柿舎の去来」と名乗ったことが
由来となっているのです。


去来(きょらい)の滞在中。
都から柿商人がやってきました。

庭には、40本の柿の木があったのです。

実る柿の代金を支払い、
翌日受け取りに現れた商人は驚きます。

なんと晩の嵐で
全ての柿が落ちてしまっていたのです。


去来は申し訳なく思い
柿代を返金することに。

そして、この後友人に当てた手紙に
「落柿舎の去来」と綴りました。

これが
この草庵に「落柿舎」と名前のついた
嘘のような本当のお話。

1690年頃の出来事と言われております。


このような有名なエピソードが
ありながらも

夏なので、柿の実を見られることは
期待せず訪れたのですが

嬉しいことに
実る青柿を目にすることができました。

落柿舎でみる柿は
やはり格別です。


その他にも庭園には、
なごりの紫陽花や
桔梗が美しく咲いておりました。

主が俳人だったことから
現在はこうして
季語となる花々が植えられているのです。


そして、夏に訪れたことで
一番感動を覚えたのは

日本家屋の涼しさでした。

陽を遮りながらも
風通しよくつくられているのです。

エアコンで冷たい風を空間に足すことに
すっかり慣れていたのですが

どれほど暑い日でも
熱を引くことができること、
またそれを実現できる設計に
感心してしまって。

建物に使われている
土や草や木がそれを吸収し
風が流してくれるのですね。

その自然な涼しさは
とても心地が良くて。


ということで、今回は
「落柿舎」をご紹介させていただきました。

四季の花々を愉しめる上に
もちろん柿の木の四季も

こちらは、銀盃草(ぎんぱいそう)です。

夏はこうして涼しさも味わえる場所と
なっておりますので

ぜひとも皆さま
秋以外にも足を運んでみてくださいね。

写真・文=Mana(まな)

落柿舎(らくししゃ)
住所:京都市右京区嵯峨小倉山緋明神町20
拝観時間:9:00~17:00  
※1月・2月は10:00~16:00
休日:12/31、1/1
http://www.rakushisha.jp

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