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宝石箱

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エッセイ集。大切な瞬間を収めています。
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#秋

《柿、なるなる.》

 気の合う人との時間。これ以上に愉しいものはないなと、しみじみする秋の日です。あっという…

《続・金平糖、ころころ.》

 恥ずかしい想いというのは、誰もがとおる道なのかもしれない。そんなことを教えてくれたのは…

《香、心.》

 香りと記憶。その結びつきにはっとさせられること、皆さまもおありでしょうか。お出汁のいい…

《柿、絆.》

 ひんやりとした空気。それが、からっともしていて。すっかり秋だなと感じるのです。  わが…

《秋の風.》

 皆さんにとって「幸せ」って何でしょうか。  20代半ばまでのわたしにとってのそれは「な…

《菊、印度.》

 近づいてきた。たとえ形が変わったとしても、そのことには大きな喜びを感じている。  一年…

《霜月、茶.》

 十一月から「お茶」を始めることにした。その環境が整ったことと、タイミングとご縁があったからだ。  そういえば、10年ほど前にも茶道を始めるチャンスはあった。ただ一度見学で訪れたお教室の先生が(とても素敵な先生だったのに)、すぐに体調を崩されてしまった。それでもその時の、お茶室の「清らかさ」はずっと心に残っていた。  そんな最近。散歩道にお茶室があることに気がついた。そして、そこでお稽古が行われていることも知ることになる。海外旅行に行かれないこの数年の間に、すっかり日本の

《栗、終.》

 2021年秋。初めて挑んだ一粒の栗の皮むきから、二ヶ月で50粒以上の渋皮を剥いただろうか。親…

《秋、温(あたたか).》

 本格的な秋が始まった。桜の葉が色づき、空気はからっと乾き、林檎が美味しくなった。  夏…

《柿、着物.》

 10月に入った。続く爽やかな秋晴れ。今年二度目の、あの初秋の香りがただよい始めた。  金…

《三日目の正直.》

 その甘さに、うるっとさせられた。  祖母の介護を、彼女の家に住み込む形で担うようになっ…

《アイ・ラブ・ユー.》

 今を生きる。その単純で、実に素晴らしいことを教えてくれたのは祖母だった。  今年93歳に…

《おはぎ、初.》

 「ふうっ。」一息ついたのは、その満足感と初めての挑戦がくれた「あくせく」のせいだった。…

《栗ごはん、学.》

 台所にただよう甘い香り。それに手応えを感じたのは、初めて「栗ごはん」をつくったからだった。  ことの始まりは、数日前。九月九日が「重陽(ちょうよう)の節句」であることを知った。90代の祖母、60代の母と暮らしているせいか、この日をお祝いしないわけにはいかない気持ちにさせられる。  ”大人のひな祭り”のようなこの節句では、菊酒や栗ごはんで長寿や無病息災をお祈りするのだ。菊はお花を飾ることにして、栗の美味しい季節だからごはんを炊くことにきめた。    買ってきた生の栗を