まなびや茶屋

高校教員(地理歴史科)などを経て、現在は塾講師として活動中。”風が吹けば桶屋が儲かる”…

まなびや茶屋

高校教員(地理歴史科)などを経て、現在は塾講師として活動中。”風が吹けば桶屋が儲かる”的な独自の視点から、日本史・世界史の捉え方を記事にしていきます。

最近の記事

帰納的な勉強しかしない日本人

受験勉強の悪弊だと思うんですけど、勉強=とにかくまずは正確に覚えてから、っていう価値観は根強いですよね。 しかも教える側、教わる側双方ともに。(ま、教わってきた人たちがそのまま教える側になるんだから、それもそっか) 英語の文法を習ったらすぐに長文でその文法が使われている箇所を読んでみる。 歴史の授業なら、個々の事項を引き出す前にその時代全体の概略を眺めたり、前の時代までとどういう違いがありそうなのか検討してみる。 アクティブラーニング云々の前に、「まずはある程度覚えて

    • クラス替えの裏話(高校教員だった時の実話)

      先日、塾で授業を担当している生徒から、 「学校のクラス替えって、どうやって決めてるんですか??」 という質問を受けました。 教員の頃もよく聞かれていたんですが、勤務していた当時は本当の事など言えるわけもなく、適当にはぐらかしていました。笑 が、退職してから3年以上経っているので、もはや時効だろ!と思い、洗いざらい話してみると生徒には大ウケ! というわけで、今回のテーマは、”教員しか知らないクラス替えの裏事情”です。 あ、ちなみにこれはあくまで私が勤務していた高校で

      • 歴史の独学法

        具体的な方法をいくつか列挙します。 自分に合うやり方があれば、ぜひ取り入れてみてください!(あ、学生さんだけでなく、大人の方にもオススメです。) ①文章を図に描き直すダラダラとした長い文章をがんばって読むより、簡単な図に置き換えた方がシンプルなぶん、より本質を理解できることがあります。 ②簡易版の年表を自作する資料集にあるようなびっしりとした年表を作ってはいけません。笑 時系列を整理するだけで、出来事同士がつながってストーリー性が生まれることがあります。 イメージと

        • "ストレス"は近代以降に生まれた??

          先日読んだある本(タイトルを忘れてしまいました...)の中に、 「自由競争の社会では、勝者も敗者も自己への思い込みを強化していく」というようなことが書かれてありました。 すなわち、勝者は「自分が成功したのは、すべて自分の努力と才能によるものだ(実際には恵まれた環境で過ごし、周囲のサポートがあったためだとしても)」と信じ、敗者は「自分が不遇なのは、自分が才能もなく努力を怠ってきたからだ(実際には自分の土俵をまだ見つけられていないだけだったり、自分にはコントロールできない要因

        帰納的な勉強しかしない日本人

          今の時代に求められているものは、普遍的に求められているものではない

          旧石器時代に求められた人→動物を狩るスキルの高い人 戦国時代に求められた人→たくさん人を殺せるスキルのある人 高度経済成長期に求められた人→言われたことを言われた通りにやる忍耐力のある人 現在求められている人→必要ないものを必要だと思い込ませるスキルの高い人 これから求められる人→???(各自で考えてみてください) 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

          今の時代に求められているものは、普遍的に求められているものではない

          歴史にまったく興味がない人は、ちょんまげ文化が永遠に続くと思ってた江戸時代の人間と同類。

          身のまわりの人たちを観察していて気付いたことがあります。 それは「社会的にそれなりの地位についている人・大人としての教養を感じさせる人は、みな例外なく歴史にヒントを得ながら世の中を見ている」ということです。 ここで取り上げたいのは、学校の勉強で日本史や世界史が得意だったかどうかではなく、(関心が特定のテーマに偏っていてもいいから)過去の社会と現在の社会を比較する習慣があるかどうか、です。 タイトルに挙げたように、江戸時代末期の人々はペリーが黒船で来航した時、(勝海舟や坂

          歴史にまったく興味がない人は、ちょんまげ文化が永遠に続くと思ってた江戸時代の人間と同類。

          世界史は1500年代のヨーロッパから学び始めよう!

          2月の受験シーズンとなり、受験生たちは今までがんばって勉強してきた成果を示すべく入試問題と格闘している頃でしょう。 一方で、塾講師をしている私は入試直前期のコマ増をこなしきって一息ついているというか、ハッキリ言ってヒマしてます。笑 そこで、これから本格的に受験勉強を始めようとしている来年度の受験生に向けて伝えたいことがあります。 それは 世界史は近代ヨーロッパを先に勉強しよう! ということです。 なぜヨーロッパからなのか結論から言うと、現代の社会システムはだいたいヨー

          世界史は1500年代のヨーロッパから学び始めよう!

          筆記試験受験者が減っている背景とその弊害

          河合塾の統計によると、大学受験生のうち、一般選抜(旧・一般入試)での受験者数が大幅に減ってきているそうです。 私(筆者)は高校教員や塾講師として大学受験業界に身をおいてきた経験から、この傾向を顕著に実感しているのですが、なぜそうなってきているのかを考えましたので、読者のみなさんもぜひ一緒に考えていただければと思います。 なぜ筆記(一般)試験を忌避するのか一般受験者数が減っている背景として、受験生側にとっても、大学側にとっても、推薦(AOや指定校など)入試の方がメリットが大

          筆記試験受験者が減っている背景とその弊害

          大西洋三角貿易の、”もう1つ”の闇

          世界史の教科書を見ると、 ヨーロッパ ↓ 生活雑貨・武器 アフリカ ↓ 黒人奴隷 アメリカ ↓ 砂糖・タバコ・綿花 ヨーロッパ っていう図があります。 ヨーロッパ人は砂糖や綿花がほしい ↓ 広大な土地のあるアメリカで作らせたいけど、人がいない(元々いた先住民はヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘やインフルでほぼ絶滅) ↓ 人が余ってた(←厳密には余ってなかったけど。)アフリカから連れていく ↓ 雑貨や武器をアフリカへ。 ・・・ん??武器??(゜。゜)

          大西洋三角貿易の、”もう1つ”の闇

          世界史に学ぶ、敗者の存在価値

          現代社会では、何かと「競争」を強いられますよね。 「上には上がいる」わけで、1%の勝者のウラには99%の敗者がいます。 私自身は常々「なるべく人と競わない(比べない)」ことをモットーに暮らしていますが(笑)、それでも完全に「競争」から降りられるわけではありません。 それに、「人と競い合うことに意味はない」というメッセージは、正論すぎてもう巷に溢れてしまっており、ここであえて論じるまでもないので、今回は「競争の結果、敗れてしまった側にも存在価値はある」という視点を記事にし

          世界史に学ぶ、敗者の存在価値

          今、そしてこれからの学校に求められているのは「教育」ではなく「福祉」?

          タイトルからして暴論だと思う人もいるかと思いますが、そういう人にこそ(視野を広げるという観点で)読んでいただきたい記事です。 ここで言う「学校」とは、幼稚園や小学校だけでなく、中学・高校も含めます(さすがに高等教育機関である大学までは含んでほしくないですが・・・。) 「学校=教科の勉強や、部活動・その他生活指導を通して知識や社会性・規律を身につけるべき場所」と一般に考えられているわけですが、この前提は実際問題として成り立っているのでしょうか。 私の見解では「NO」です。

          今、そしてこれからの学校に求められているのは「教育」ではなく「福祉」?

          米文化圏では社会全体で機械化が進まない?

          怒涛の30連勤もあって、久しぶりの更新です(汗) 先日、『そのとき、「お金」で歴史が動いた』(ホン・チュヌク著)という本を読みました。 経済をベースに近現代の世界史を概観する内容で、「なるほど!💡」と思うことがいくつも書かれていたのですが、その中の1つをご紹介したいと思います。 今回のテーマは「産業革命が西洋で起こり、東洋で起こらなかったのは何故か」です。 西洋で機械化が進んだ事情麦を主食としている ↓ (米に比べ)生産効率が悪い ↓ 人口が増えない ↓

          米文化圏では社会全体で機械化が進まない?

          歴史の勉強で「年代を覚える」ことは必要か

          勉強論でこれまたよく話題になるのが、「(用語と一緒に)年代も覚える必要はあるのか」ということ。 最近は「年代を一切載せない参考書」が売られるようになった一方で、入試問題ではピンポイントな年代を問われたりするし・・・。 「歴史を学ぶ醍醐味はストーリー性にこそあるから、年代なんて関係ない!」という人もいれば、「覚えることが勉強だ(勉強の成果=どれだけ覚えられたか)」と考えている人もいるでしょう。 わざわざこの記事に目を通してくださるような方は、かなり歴史に造詣の深い、ごく一

          歴史の勉強で「年代を覚える」ことは必要か

          歴史学習のカギは、「スキーマ」をつくれるかどうか

          少なく見積もって過半数の人が「結局は暗記」と思っている日本史や世界史。 いや、現実に入試問題や定期テストの問題が記憶力だけを問うような一問一答スタイルである以上、そう思うのも自然ですね(^^; 年末になり、入試が近づいてきた受験生のみなさんも、きっと”最後の追い込み”として知識を詰め込んでいることでしょう。がんばって! ここで「暗記はムダだ」なんて言うつもりはありませんが、気合いと根性だけで覚えたことって、少しひねった出題をされると応用がきかなかったりするし、なにより試

          歴史学習のカギは、「スキーマ」をつくれるかどうか

          戦国時代のポルトガル商人に学ぶ、継続的な利益の出し方

          1543年、種子島に鉄砲が伝来したとされています。 従来は漂着した船にたまたま鉄砲が積載されていて・・・、なんて言われていましたが、最近は「漂着のフリをして、実は狙って売りに来てた」説も普及しはじめています。いやー、歴史ってのはコロコロ変わるんですね。笑 で、実際どっちだったかは、ここでは問題にしません。 事実だけに目を向けていくと、半世紀後の1600年段階で、日本は世界で最も多くの鉄砲を所有する国になっていたと言われています(ほとんどは国産品。いや、急ピッチで作りすぎ

          戦国時代のポルトガル商人に学ぶ、継続的な利益の出し方

          「経済活動の自粛」は、歴史上成功したことがない??

          感染症予防の観点で、経済活動を制限するか否かが連日の話題となっていますね。 「自粛した方がいいのか」どうかについては、専門外の私には分かりません・・・。(・・;) しかし、歴史を振り返ってみると、権力が全体に自粛を求めて上手くいったことはない、と言えそうです。 では、以下具体例を2つばかり。 ①中国・明王朝の海禁政策日本が室町時代だった頃、中国は明の時代でした。 室町時代の前は鎌倉時代、鎌倉時代にはモンゴル軍が日本に攻めてきたことを思い出していただけると分かりやすい

          「経済活動の自粛」は、歴史上成功したことがない??