成績の伸びない中学受験生に起きていることとその対処法

対象とする読者

成績が伸び悩んでいる中学受験生のお子さんをお持ちの方。中学受験生ではなくともお子さんの成績が伸びず悩んでいる方。
(加えて、中学生以降になっても、本記事に記載する姿勢を持たないが故に、成長できない学生は多い。そういったお子さんを抱えた保護所の方にもお読み頂きたい。)

はじめに

私は自身が中学受験を経験しており、某中学受験専門塾に小学校時代に通っていた。もともと、成績は良い方ではなく、成績順のクラス分けにおいては、真ん中のクラスであった。然しながら、本記事に記載する考え方に気付いた後は、成績が伸び最も上のクラスまで順位を上げることができた。また、大学時代に家庭教師をしていた時には、この考え方を通じて、多くの子供の成績を向上させた経験から、より多くの子供の学習能力の向上に寄与したい思いから、本記事を執筆している。

多くの保護者の方は、子供に幸せになってほしい一心で高い授業料を払い塾に通わせ、どの中学に行かせるべきかとリサーチすることに非常に多くの時間を費やしていることだろう。にもかかわらず、子供の成績が伸びないと、「勉強しなさい!」と厳しく当たってしまっているのではないだろうか。それで成績が伸びればいいが、そう上手くいかないのが実態であろう。

ちなみにそのまま、成績が上がらないとどうなるだろうか。これは中学受験の闇の側面であるが、成績下位クラスの居続けた場合、低レベルな私立中学に入学することになる。低レベルな私立中学は費用ばかり高く、レベルとしては公立中学と変わらないか、それ以下の場合がある。また、恐ろしいのは、彼らには負け癖が付いてしまい、それ以降何かを頑張ることをしなくなる。結果として、まともな大学にも入学できず、就職も散々なものとなってしまう。私と同じ塾に行っており、成績下位クラスにいた友人は、いま地元でスーパーのレジ打ちをしている。職業差別をするつもりは全くないが、希望を一身に背負い、高いコストを払った結果がそれとなると、子供も親も本当に辛いはずだ。

従って、子供の成績に悩まれている保護者の方は、子供の為にも、是非この記事を読み、実践頂きたい。この記事を通じて、少しでも多くのお子さんの学習能力が向上し、幸せになることに寄与できれば幸いである。

子供の成績が伸びない理由

成績の伸びない子供に共通の大きな問題点は以下2点である。
1.モチベーションの維持ができない
2."勉強の仕方"が分かっていない
それぞれの詳細と対処法について、詳細に説明していきたい。

1.モチベーションの維持ができない

まず大前提として、自分の意思で「中学受験がしたい!」という子供は多くない。基本的には、親に言われるがまま塾に通い始めたり、友達が塾に行っているから塾に行きたいという子供が多いのでないだろうか。
そんな中で、高いモチベーションを維持し勉強し続ける子供とそうでない子供の違いはなんだろうか。私の経験上、前者は以下3パターンに分けることができる。

①知的好奇心が高い:勉強自体が好き。できなかったことができるようになることに非常に喜びを覚える。わからないことがあると授業後に直ぐに先生の元に質問に行く。
②競争心が強い:友達に負けたくない。中学受験用の塾では、成績順位が公表されるが、この結果に非常に拘りを持っている。友達より低い順位を取った場合等に泣いてしまうことすらある。
③目標達成意識が高い:将来こういうことがしたい、〇〇になりたいという夢を持っており、目標が明確である。

自身のお子さんはこれらの特徴を持っているだろうか。どれも持っていない場合、中学受験のモチベーション維持が難しく、成績向上が難しくなる。では、どうすればよいか、次項で説明する。

子供のモチベーションを維持する方法

子供のモチベーションを維持するには、上記のような姿勢を子供が身に付ける必要がある。但し、上記のうち、②については元来の性格的側面が影響することが多く、意図的に競争心を煽ることは比較されるのが苦手な子供にとってはモチベーション低下を招きうるため、一旦脇に置く(然しながら、①と③を身に付け、モチベーションが上がってくると②も自然と身に付いてくるのが実態だ)。
まずは、①の知的好奇心について。これは塾の勉強以前に、日常のあらゆる事柄について、「〇〇は何でだと思う?」という問いを子供にし続けることで身に付いていく。私が家庭教師をしていた時も、まずは生徒に日常生活で起こったことについて雑談をしてもらい、その都度、「それって何でそういうことが起こったと思う?」という問うていた。すると、彼らなりに原因を考え、説明してくれるし、彼らが説明できない場合にはこちらから説明してあげる。これを繰り返していくと、「〇〇は何でだろう?」と考える癖が身に付いてくるし、分からない場合は質問するようになってくる。これにより、知的好奇心が養われ、後述している”勉強の仕方”において、最も重要な”質問する姿勢”が身に付く。
次に、③の目標達成意識について。こちらは、長い目線で見た時の目標や自身の持つ可能性を子供に認識させることで養われる。具体的には、普段から「〇〇くんは将来何になりたい?」と質問を投げかけてあげることや、世界のどのような職業があり、どんな仕事をしているのかについて教えてあげることだ。そして、その職業に就くには、勉強や運動等を含めて何をしなければならないかを説明してあげることだ。皆さんは村上龍氏の『13歳のハローワーク』という本をご存知だろうか。2003年に発売され、約150万部を売り上げたベストセラーである。この本には、500種類以上の職業が子供にもわかりやすく説明されている。貴方が多くの職業について詳しくなくても、こういった本を参考に子供の可能性を広げてあげることが重要だ。実際に、私も生徒と一緒にこの本をめくりながら、世界にある多くの可能性を教えてあげるところから学習を開始していた。

2.”勉強の仕方”がわからない

1で説明したモチベーションの維持以上に重要なのが、”勉強の仕方”を教えることである。子供の成績が伸びない時に、貴方はどのように声をかけているだろうか。よくあるパターンとしては、「〇〇ばかりしないで勉強しなさい」ではないだろうか。これはとにかく勉強の時間・量を確保せよというアプローチである。然しながら、実際のところ、勉強の成果は、量も重要だが質(”勉強の仕方”)も極めて重要である。この点を理解せず、量ばかりを要求するアプローチは愚策と言わざるを得ない。
貴方の子供が天才児であるか懇切丁寧に”勉強の仕方”を教えてくれる塾に通っている場合を除いて、親である貴方が”勉強の仕方”を教えていない限り、子供はそれを知らず、質の低い勉強をしている。この状況を改善することで、子供の成績は向上する可能性が高い。次項でその方法を記載する。

子供に教えるべき”勉強の仕方”

ここでは、子供に教えてほしい”勉強の仕方”について記載する。”勉強”は以下4工程に分かれている。この4工程を正しく回し、理解できないことを無くすことが”勉強”である。

①予習:授業を受ける前に、次の授業範囲の問題等を読み、解けない問題を確認する(印等をつけておく)。
②授業:先生の説明内容を確り聞く。特に予習で解けなかった部分の説明を重点的に聞く。
③復習:授業を聞いた上で、理解できなかった箇所を先生に授業外で質問する。
④テスト:①から③の理解度を確認する。理解できていなかった部分を炙り出し、再度先生に質問する等して解けるようにする。

勿論、科目毎の細分化すると勉強方法は微妙に違うが、大きなフレームとしては、上記の通りである。この夫々の工程のどの部分が欠けているから子供の勉強の質が上がっていないのかを見極め、都度、正しく指示を出してあげるべきである。「”勉強”をしなさい」ではなく、「予習をして、自分のわからないところを確認したの?」、「授業をちゃんと聞いて、分からないところは先生に質問したの?」、「テストで不正解だった問題は、何がわからなくて間違えたのか確認して先生に聞いたの?」といった具合である。特に③の工程を苦手としており、わからない問題を放置してしまう子は非常に多い。授業外であれ何であれ、先生を捕まえて沢山する姿勢を子供に身に付けさせよう。是非、上記の方法を実践頂きたい。

最後に

本記事の内容は極めて初歩的なものとなっている。但し、この基本を疎かにしたことで、成績が伸びていなかった子供を数多く見てきた。これは子供が悪いのではなく、基本を教えなかった大人の責任である。塾に高い金を払っていても、全ての子供に手取り足取りこういったことを教えてくれる塾も多くはないだろう。「塾に任せておけば安心」そんな幻想は早々に捨てさり、先ずは本記事の内容を実践頂きたい。

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