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原稿を寝かせすぎて腐らせてしまうあなたへ…編集の「4大つまずき」の乗り越え方

編集人材とのやりとりで生まれた企画をnoteで記事にする往復書簡シリーズ。またも、ばぶさんに良いパスをいただいたのでネタにさせていただきます!

勤め人ライターは、どーしても書けねぇええ!って時どうしてるのかめちゃくちゃ気になります!!

定期的な記事執筆を宿命づけられたサラリーマンライターが書けないとき、どうするのか。確かにめちゃめちゃ切実な問題ですし、言われてみると「そういえばあの人、最近原稿を提出してなくない?」みたいなことって日常的にもよくある。。。タイトルにもしましたが、「今原稿どんだけ進みました?」⇒「寝かせてます…」という光景ってあるあるですよね。かくいう僕も、noteの下書きフォルダは、寝かせた原稿であふれた酒蔵みたいになってます。ぐはー。


今回は、そういうときの打開方法について考えてみました。(考えてないでおまえ自身もつまずき打開しろよというツッコミはやめてください)


編集のあらゆる個所に存在する「つまずき」


 
そもそも、記事を書いているとあらゆる個所に「つまずきポイント」は存在します。個人的には大きく、以下の4ポイントくらい、あるかなあと。
 

  1. 企画面でのつまずき:そもそも何を書いていいかわからないとき

  2. 取材後のつまずき:忙しくて手がつけられない、やる気がでないとき

  3. 初動後のつまずき:3割くらい書き始めたけど先にすすめない

  4. あと一歩でのつまずき:7割くらいできてるけど完成させられない

 
各フェーズにおいて「なんだか違うな」とか、「もっといいアイデアがありそう」と思った挙句、明日の自分に期待して原稿を寝かせ、そのまま腐らせてしまいがちな人、いるのではないでしょうか。はいぼくです。ただ、この5年くらいは、試行錯誤のかいあってスムーズに記事が書けるようになってきています。

上記4フェーズにおいて、意識的にやっているのは以下のような感じ。
 

①   企画面でのつまずき:そもそも何を書いていいかわからないとき

特にインハウスで編集者をしていると、これが結構あるような気がしています。日常の業務って編集以外にもあったりしますし、わざわざ企画書を出すレベルのものが思い浮かばず何日も経過している。そういう経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。


身も蓋もないですが、そういうとき僕はとりあえず、「自メディアの1段階上流工程にある情報源を見て、そこでトピックに挙がっているものの中で自分が行けそうだと思ったことにとりあえず手を付ける」というアクションを取っちゃったりもします。

社内メンバーにはよく、以下のような「一般的な情報の流れ」を見せているのですが、専門媒体(業界紙など)なら学会での注目の演題を見てみるとか。もう少しライト読者が多い媒体なら、業界紙の目次を眺めたり本屋さんのラインナップを見て、「どんな情報に人々がお金を払おうとしているのか」とをリサーチしたうえで、「自社の読者用に少しアレンジした企画を考えてみる」など。外的なリソースをうまく使って、すこし角度の違うことをやってみると良いかと思います。学会やセミナー、書籍の場合、既に演者や著者が見えている状態なので、その方に取材を申し込むも良いですし、実際にその本やセミナーの内容を見てみて、考えたことや、学べたことを記事にするのも一つでしょう。


一般的な情報の流通網


 
僕自身1社目のネットニュース時代どうしても企画が立てられず、苦肉の策で参加したセミナーで出会った方をインタビューしたところ、その記事が年間トップのページビューを叩き出したことがありました。自分自身の中ではそこまでのホームランを打つというイメージは持てていなかったのですが、「社会的にも意義のある内容だ」と合点が行くテーマであれば、受けるかどうかはさておき、とりあえず動いてみるということも大事だなと学んだような気がします。

②   取材後のつまずき:忙しくて手がつけられない、やる気がでないとき

これまたよくあるのが「取材はしたけれど、その先に進めない」というケース。

ベテランライターの方などであれば「おいおい」みたいな話かもしれませんが、、インタビュー取材をするとそれ自体で疲れてしまって、「終わったーーー!」と息をついたけど原稿着手が後手後手に回る…みたいなやつです。その事象自体へのツッコミはさておき、先に進みます。
 
 こういう事態は本当にもったいないないので、基本的に僕は取材をしたらテープ起こしもせず記憶ベースで「すぐ書く」を徹底しています。そして行き詰まったら、テープを聞きなおしてインタビュー相手のメッセージを再確認する、みたいな。取材後に取材相手にお礼を言う際にも、定型文を送るのではなくて「どこがおもしろかったか」や、一個人として感じたことを添えておくことで記憶にも残りますし、「そうそう、あれはね…」「言い忘れてたけどこういうこともあってね…」みたいな感じで追加コメントをもらえたりもします。これについては初動がほんとに大事です。

取材後にすぐ原稿執筆に着手できる時間的ゆとりがない方も多いとは思うので、そういう場合は取材が終わった瞬間にテープ起こしを依頼するとか、NOTTAみたいななAIテープ起こしツールに音源をぶち込んでおくとか。取材が終わった直後というのはゴールデンタイムなのでその間に大まかな構成だけでも考えておくと、その後の作業工程がぐっと楽になったりします。


なんだって、「時間がたてばたつほどやる気を低減し、取材の内容も記憶から薄れていってしまうもの」。ハードルの低い初動をいかに早く行うかが、このつまずきを解消する一つのポイントではないかと思っています。


③  初動後のつまずき:3割くらい書き始めたけど先にすすめない

こういうケースの場合、構成案がそもそもふにゃふにゃなことが往々にあります。

一度にたくさんのことを盛り込もうとしすぎていたり、あるいはメッセージが薄くて書き手自身があまりしっくりきていなかったり――。そんなとき僕自身は一度パソコン離れ、ボーっと散歩でもしながら「あの人ってつまりこういうことを言いたかったんだよな」と脳内で咀嚼しまくっています。その過程でおすすめなのが、「あの取材内容を中学生にもわかるように説明するとしたらどういうふうになるんだろう」と考えてみること。
要するに「この前こんな人に取材をしてね、こんなこと言ってたんだよ」と、身近な子どもに端的に言うとしたら、自分はなんて言うんだろうかと。仮にそれがスムーズに思い描けるのであれば、それが「記事で伝えたいこと」であるはずです。リード文に盛り込んでもいいでしょうし、そのメッセージ一点で突き抜けるような形で再構成すると、かなり構成もがすっきりします。抽象的かもしれませんが。
 
逆にこの段階で構成案がしっくりこない場合は、取材自体に問題があった可能性すらあります。

その場合は、端的に何が足りていないのかを十分に把握し、もう一度取材相手に聞くも良いでしょうし、あるいは取材の流れから「おそらくこういうことを言いたいのであろう」という部分を補足して執筆したうえで、先方確認の際に確認を取るということも実務上はあるかもしれません。


「いずれにせよ、書き始めてすぐつまづく」という場合は構成案に問題があることが多いので、そこを徹底的に考えること(できればパソコンから離れて)が重要ではないかと思ったりします。
 

④  あと一歩でのつまずき:7割くらいできてるけど完成させられない

これまたよくあります。「記事、ほぼできたんだけど、なんか面白くない」みたいなケースで、僕的にはこれが一番絶望的だったりもします。苦しい。

正直この段階になると、自分だけで答えを打つのはなかなか難しいしドツボにはまって時間がかかるものです。

ですので、個人的には「もう人に見せちゃった方が早いんじゃないかな」と思ったりもします。

自分1人で悩んでいたことが、他人の手にかかれば一瞬で解決することもありますし、自分が思い悩んでいることって、外から見ると大したことなかったりもします。もちろん原稿としての最低限のクオリティを担保しつつ、文章の流れへの違和感を指摘してもらうも良し、フランクに相談できる相手がいるのであれば、「この原稿を読んでみて、もっと知りたいと思うことはない?」とか「分かりづらいところはない?」と聞くのもよし。「1時間悩んで答えが出なければ、第三者の目線に頼る」となど、ラインを決めてしまうのもおすすめです。

▼いずれの工程も、「時間で区切る」のはオススメ

僕は編集チームで20人くらいのライター編集者のマネジメントをしているのですが、特に新入りメンバーには「この原稿ができあがったら提出してください」ではなく、「●月●日時点でのできているものを、どんな状態でもいいので見せてください」と伝え、3日後・1週間後など「時間で」区切って、その段階で成果物をチェックして製作工程のつまずきを解消するようにしています。

その方が、本人ののびしろが見えやすいですし、人の手を頼ろうと考える「見切りライン」も明確になってくるもの。仮にフリーランスであっても、「このラインを越えたら人の手を頼ろうとか取材相手に聞き直そう」とか、工程で区切ってリミットをつけるのは一つ、重要なのではないかと思います。その経験を繰り返していくと、つまずきポイントを乗り越えてスムーズに案件を進行できる執筆スキルが身につくようになるかなと思ったりします。そんな感じです!

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