見出し画像

ライター/編集者の強みのとがらせ方

Twitter経由で以下のご質問をいただいたので、自分なりに考えてみたいと思います。 ※質問はこちらまでお寄せください!ネタ不足なので歓迎です

【ご相談内容】
長くライターをやるために必要なことを教えてほしいです

ご質問いただきありがとうございます。
私自身もまだ編集者としては道半ばに過ぎず、明快な答えは持っていませんが、現時点で自分的にしっくりしていることをお伝えします。

意識すべきは、ライターとして「いつ」やりがいを感じるか


ライターとして長く活躍していく上で、個人的には一連制作フローの「どのポイント」に強みややりがいを見出しているか意識することが大切なのではないかと思っています。

コンテンツができるまでには大雑把に言って大きく、「①企画→②制作→③デリバリー→④効果検証」というフローが存在しますが、要するにこの中でどのポイントで突き抜けたいのかを意識し、キャリア形成していくのが良いのではないでしょうか。

① 企画力で突き抜ける場合

「企画を考えるのが大好き!」という方の中には、そもそも「ご自身で執筆する」という部分がそんなに重要ではなく、編集者的のような形で、意欲のある人と二人三脚してコンテンツを作ったりする方が向いている方もいらっしゃいます。
また、内容によっては、「記事以外」の表現の方が適している場合もあり、「ライターであり続けること」にこだわるのではなく、企画力を起点にキャリアを築いていけると非常に良いのではないかと思います。

その上で企画力を高めるために重要なのは、ご自身の知見をさらに深めてくれる経験と、ご自身にない引き出しを引き出してくれる人脈など。それらを意識的に収集する癖をつけて企画力を伸ばしていけば、前述の通り「ライター」としてだけではなく、より広い形でキャリアの可能性が開いてくるのではないでしょうか。

② 制作力で突き抜ける場合

「ライターをしたい」と思った方の多くがこれに該当するのかもしれません。「学生時代から文章を書くのが好きでライターになった」というような方はこれにばっちりハマるでしょう。

制作スキルにおいて強みを発揮したいと思うのであれば、コンテンツの目的に応じた書き分けができるような「たくさんの型」を知っておくことがとても大事なのではないかと愚考します。

紙メディアしかなかった時代とは異なり、今の記事コンテンツはブラウザやスマホで読むものが大半ですし、閲覧するシチュエーションも多様でで、それによって制作のポイントが異なってきます。
「読者がどのようなコンテンツを求めているか」、また「それをどのような手法に落とし込んで組み立てていくか」といったところに対して、ご自身としての「多様な型」を持ちながらも、それらを応用できるようになると、非常に市場価値もおのずと上がっていくのではないか、、と。

その過程の中で大事なのはとにかく新しい表現手法にチャレンジし続けることのではないでしょうか。
「伝えた結果どうだったか」という効果検証もしながら、「どんな書き方・伝え方だと人を動かせるのか」という視点から、ご自身の課題を見つめ続けることが、「制作スキルの強いライター」として生き残るポイントになっていくのではないかと思っています。

③ デリバリー能力で突き抜ける場合

当然ながらコンテンツは、「そこにあるだけ」では誰の目にも止まりません。ウェブ場合、SEOで上位に表示させたり、メールマガジンやSNSでプッシュしたりして、「コンテンツをどう見せて、人を連れてくるか」というのは実は非常に大切なポイントと言えるでしょう。

デリバリースキルが高いのは、コピーライティングをされている方などなど。「コンテンツの本質がどこにあり、読者が共感を示してくれる場所はどこにあるのか」といった審美眼を磨き、打率を高めていくことがとても大事だと思います。

こうしたコピーライター人材の訓練としてよく知られているのは、
・電車の中刷り広告を読んで面白いと思ったフレーズを書き留めておく とか
・定期的に本屋さんを巡回して興味深いタイトルや世相を反映していそうなフレーズを抜き出して自分の中に持っておく

などでしょうか(いや、もっといろいろあるはず)。新しいメディアに触れ、「なぜそれが多くの人に受け入れられるのか」というポイントを考察し続けることも大事なのではないかと思っています。

④ 効果検証能力で突き抜ける場合

 正直、記事やコンテンツの「効果検証」にやりがいを見出す編集人材は少ない印象があります。ただ、人材が少ない分ここにやりがいを見出せたら、大きなチャンスを勝ち取る可能性もありそうです。

ライターというよりはマーケターに近いかもしれませんが、うまくPDCAを回したり、媒体自体を運用したりしていくような、編集長的なキャリアも開けてきます。効果検証というと、「データを駆使して論理的に答えを導き出す」ような、なんだか難しそうな(?)印象を持たれるかもしれません。確かにその側面はありますが、個人的に大事だと思うのは「数字に対する解釈のところ」。読者が何を考え、なぜそう動いたのか、定量ポイントを言葉で表現できると、その考察が編集部全体に波及し、よりよいコンテンツの作成に繋がります。

ある意味、読者理解の達人というのが、この効果検証フェーズのプロであり、愛を持って媒体を考察できるような人材になれると、市場価値が高まっていくのではないかと思っています。

##雑感そもそもライターという職業の今後に思うこと

以上ではあるのですが、個人的には「ライター」という職業自体がこれまでとは大きく毛色の異なる職種になりつつある、という認識を強く持っています。

「文章を書く技術」というのはある程度普遍的なものではありますが、紙媒体が主流であった過去20-30年ほどの知見が、今後の20ー30年で通用するとはまず思えません。また、この20年程度で出てきたWebコンテンツのありようですら、SNSや動画メディア(非テキスト系メディア)の台頭によって、大きく変わりつつあります。そうした中で、伝統的&画一的なライター像にとらわれるのはけっこうリスキーなんではないかなという印象を抱いております。

従来型のライターのスキルを要素分解した上でご自身は結局ライターとしてどの作業にやりがいを覚えるのか、楽しさを見出すのかというポイントを起点に、柔軟にキャリアを切り開いていくっていうのが大事なのではないでしょうか。

※今後もご質問などあれば、こちらまでお願します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?