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楽しいと思ったことをみんなにシェアしたい! ~フレスコボール杉村秀樹選手が描く未来地図~

川本真夢

           (写真:本人提供)

教職課程を履修していながらにして、
教員になること以上に、まずはフレスコボールを普及することに重きをおいた
関西大学4年・杉村秀樹さんが描くフレスコボールとともに歩む未来とは…
根っこには、とても熱い想いがあった。

          (聞き手:川本真夢)

フレスコボール=共創のスポーツ

――フレスコボールとはどのようなスポーツでしょうか?

 7m離れて対面した二人の選手が、5分間でより速く、より美しくラリーを重ねることで高得点を狙う、採点形式の新感覚ビーチラケットスポーツです。二人で協力してラリーを続けていくことから、「共創のスポーツ」と言えます。

――フレスコボールにはまるようになったきっかけは何ですか?
 
フレスコボールを初めて体験させてもらったときに、自分も上手くなったような気になったことと、体験に行った先の人が温かかったことです。

大学2年の2月に、それまでやっていたソフトボール部を辞めたのですが、それでも「何かをしたいな」という思いがあり、マイナースポーツを調べている時期がありました。

「メジャーなスポーツに転向するのではなく、マイナースポーツで上を目指そうかな、人のやっていないことをしてみたいな」と思って調べているうちに、Twitterでフレスコボール日本代表の小沢彩香(おざわ・あやか)さんと落合真彩(おちあい・まあや)さんと繋がりました。

二人とも関東在住の方だったので、関東へ行くタイミングで「体験をさせてください」とお願いしました。実際に体験してみると、相手が上手く合わせてくれるので、僕も上手くなった気になっちゃって。「1年頑張ったら日本代表を目指せるよ」と言われたこともあり、(日本代表を)目指そうかなと思い始めました。

その後、地元関西のチーム『フレスコボール関西Grêmio VENTO』に体験に行ったのですが、そこの人たちがすごく温かくて、優しかったんです。そこで人にもフレスコボールにもはまりました。気付けば、毎週フレスコボールをしていましたね。

みんな敵のはずなのに、応援したくなって応援している

――マイナースポーツの中でもフレスコボールが一番合っていたのですか?

フレスコボールに一番魅力を感じましたね。

もともと、野球やソフトボールなど、相手と対戦して一瞬で勝ち負けが決まるスポーツをずっとやっていました。そこでは試合中にヤジが飛ぶことがよくあったのですが、フレスコボールは真逆で、ヤジは飛ばないんです。

大会では一組ずつやるのですが、敵味方関係なく、みんながその一組のプレーを見て応援しています。いいプレーがでれば「ナイス」と言うし、プレーが続かない時は「頑張って」と。みんな敵のはずなのに、応援したくなって応援している。

「何でみんなこんなに笑顔で応援しているんだろう、不思議だな」と思ったと同時に、すごく居心地が良かったんですよね。「和気あいあいとしながらも、みんなが正々堂々とプレーしている姿が良いな」「このスポーツ好きだな」とすごくしっくりきました。

――フレスコボールの一番の魅力は何でしょう?

魅力が多すぎて(笑)

今はまだマイナースポーツだからということもあるのですが、全国のフレスコボールをしている人と繋がれるということが一番の魅力だと思います。

また、フレスコボールは一回するだけで仲良くなれることも魅力です。相手のために難しい球を取ったり、相手の打ちやすいところに頑張って返したりするスポーツなので、キャッチボールみたいな感じですね。

――家族でフレスコボールをすると仲の良い家族になりそうですね

なりますね、絶対に。僕が所属している『フレスコボール関西Grêmio VENTO』は、兵庫県の明石海峡大橋の近くで練習をしているのですが、体験には近所の親子がよく来ます。家族の中でも話すひとつのきっかけになっているみたいです。

――魅力が止まりませんね。他はどうでしょう?

ラケット2つと、球がひとつあれば出来る手軽さも魅力ですね。僕は、名刺代わりのような感じで、いつでもできるようにカバンにラケット2つとボールをひとついれて、学校に行っています。「昼休みにフレスコボールをしよう」と友人に声をかけることもあります。

――健康的ですね。今後、休み時間の使い方のひとつにフレスコボールがでてきそうですね。普段はどのような練習をしているのですか?

個人練習が出来ない平日は、5日間かけて自分の動画を見て次回の修正ポイントを考え、そこを土日の練習で調整しています。1対1のペア同士でとにかく打ち合って、「楽しい」「悔しい」と感じていますね。ビーチでやる大会とは違い、練習は体育館や公園などでもやっています。

――大会では、杉村さんのどんなプレーを見てもらいたいですか?

 他の選手とは一味違うプレーや無駄がない理想の形を見てもらいたいです。

フレスコボールには5分間の中でテクニカルポイントという股抜きショットや背面ショットによるポイントがあります。技術が高く、見た目もカッコイイのですが、「次に股抜きショットをする」とペアで決めたうえで、フワッとパスを出してもらい、狙って股抜きすることが多いです。

僕はそうではなくて、速いラリーをしている中で、股の下に来たから股抜きショットをするというプレーをしたいです。

――狙ってというよりはタイミングに応じて?

そうです。今はもう反射的に背面ショットも股抜きショットも出来るようになったので、あとはどれだけ精度を上げられるかですね。次の大会でみんなをびっくりさせたいですし、大会のレベルも上げていきたいです。

           (写真:本人提供)

フレスコボールはみんなで楽しさをシェアできる

――フレスコボールを始めて、一番感動したことは何ですか?

旅先で偶然出会った長もえか(ちょう・もえか)さんが、フレスコボールを体験してくれたことをきっかけに、フレスコボール日本代表をともに目指すパートナーになってくれたことです。

昨年8月、大阪から福岡まで自転車で旅をしました。当初の目的は、「旅で通っていく道の途中で公園に寄り、出会った子供たちとキャッチボールをしていくことで、その子供たちが野球やソフトボールに興味を持つきっかけを作ってあげたい」ということでした。しかし、猛暑の夏休みだったこともあり、公園で子供に出会うことはなく、キャッチボールをすることはできませんでした。

そんななかでも、各地の友達が「フレスコボールをしたい」と言ってくれたので、体験してもらうことができ、その全員がフレスコボールにはまってくれました。

福岡県に到着した日に、たまたま大阪の友人が開催していたフットサル大会に、タイミングよく参加させてもらいました。その大会の休憩中に、参加者のひとりだった長さんがフットサルコートでフレスコボールを体験してくれたんです。後日SNSでつながった時に「すごく面白かった!!」と言ってくれました。

本当は、会って、クラブチームでフレスコボールを体験してもらいたかったのですが、大阪と福岡の距離なので、それがなかなか叶いませんでした。

しかし、昨年2月から福岡県に『フレスコボール福岡』という新チームができていたので、そこで初めてビーチでのフレスコボールを体験してもらうことができました。それで、さらにはまってくれたようで、気付いたら長さんはそのクラブの一員になっていたんですよね。

自分が楽しいと思ったことを伝えたら、相手も「楽しい」と思ってくれた。それがすごく嬉しかったので、「これでいつでもできるから」と言って、ラケットを2つプレゼントしました。その後、長さんは大学の友達にフレスコボールを普及してくれて、向こうにフレスコボール仲間が出来ていたんですよね。

自分の知らないところで普及までしてくれていた。それだけでも十分嬉しいことなのに、「一緒に日本代表を目指そう」と言ってくれて、とても感動しました。

――いい旅になりましたね。縁が繋がるのは、「心の底から楽しんでもらいたい」という杉村さんの思いが相手に伝わるからかもしれませんね

そうですね。今に繋がっている考えのひとつなのですが、『楽しいと思ったことをみんなにシェアしたい!』という気持ちが僕の根っこにあります。

その気持ちとマッチしたスポーツがフレスコボールだと感じました。

フレスコボールは、みんなで楽しさをシェアできるので、みんなを笑顔に、幸せにできるんじゃないかと思っています。

――フレスコボール愛が止まらないですね。普及活動などもしているのですか?

今は、コロナ禍で公式的に動くのは難しいですが、「今度行くから」と個々で連絡を取り合い、友達を集めてもらったりして普及しています。

また、お金に余裕がある時には「フレスコボールをやりたい」と言ってくれた人に、ラケットを送っています。

――もはや学生ではなくて企業のようですね

普及したい気持ちがあふれすぎて、ラケットの1、2本くらいは、「(フレスコボールを)やってもらえるなら、あげるよ」という感じですね。

――一人ひとりと向き合っているんですね

「やりたい」と言ってくれる人がひとりでも多くいるのであれば、そこに目を向けたいなと思います。

親子でフレスコボールをしているシーンを日常の風景にしたい

――夢はありますか?

公園でバドミントンやキャッチボールを親子でしている現在の日常の風景が、何年後か何十年後かにフレスコボールに変わっていたらすごく面白いなと思っています。

その道のりは長いと思いますが、それを目指して、来年福岡県へ移住して、今はまだ福岡県にしかないフレスコボールのチームを九州全域に5年以内、できれば3年以内に創りたいと考えています。フレスコボールだけで生計を立てている人はまだいないので、僕がその第一人者になりたいです。

――九州に目を向けた理由はありますか?

人も多すぎないし、海も近くにあって、食べ物もおいしい。全部が自分にとってちょうどよく「一度住んでみたい」と感じたのが福岡県だったからです。来年からは福岡の地で、スポーツ教室のような形で、フレスコボールを取り入れてもらおうかなと思って、今、取り組んでいます。

――具体的にはどのようなことに取り組んでいますか?

総合型地域スポーツクラブの種目の中にフレスコボールを導入することを検討していただくためにメールをしたり、福岡県で起業している人などと人脈を作ったりと奮闘中です。

まだ認知度の高くないフレスコボールを九州で普及し、仕事をつくっていくことはまだ誰もしていないので、いろいろな可能性があると思います。福岡県に移住する前に、一つ成果を出したいです。

           (写真:本人提供)

【プロフィール】
関西大学人間健康学部4年 杉村秀樹(すぎむら・ひでき)
フレスコボール2019国内ランク男子21位
1998年6月5日、大阪府生まれ。父・母・兄2の5人家族。
ソフトボールをしていた兄の影響で小学生から大学生までソフトボールと野球に従事。
小学生の時に所属していたソフトボールチームで指導に携わり、そこで指導の面白さを知る。
大学では教職課程を履修し、教育実習にも参加。
大学3年から始めたフレスコボールで、現在は選手としてだけではなく普及活動にも取り組んでいる。
「周りから大人しい性格だと言われる一方で、小学生時代は学年で1番足が速く、スポーツをしている時は積極的に声を出す」という賑やかな一面も。

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川本真夢
星稜高校・立命館大学卒業後、スポーツが盛んな学園で2年半勤務。 2020年1月から上京し、某局でスポーツ番組編集をしています。「スポーツをもっと楽しく、アスリートをより身近に😊」 動画撮影と掛け声拾いが大好きです☺️❤「選手の応援団を増やすこと」を目標に記事を発信していきます!