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女性の3ピースバンドでは、昔のチャットモンチーがよかったな...(オススメMV #56)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の56回目です。(連載のマガジンはこちら)

オススメのMVを様々なテーマで紹介するこの連載ですが、不思議と最近の楽曲が少なく、1980年代~2010年頃のものがほとんどです。
決して最近の楽曲を聴かない、最近のMVを観ないというワケではないのですが、なぜひかピンとくるものが少ないのはナゼでしょうかね...

というワケで、今回もちょっと昔の楽曲ですが、オススメの楽曲のオススメのMVをお届けします。
今回のテーマは「日本のガールズバンド」。

最初のMVは、チャットモンチーの「シャングリラ」です。どうぞ!

聞いて楽しい楽曲、そして観て楽しいMVですね。
小柄な女の子が大きなギターを抱えて演奏している姿は、それだけでなぜかホッコリします。

楽曲もMVも手作り感が満載ですが、決してチープではなくいい味となっていますし、何より楽曲と映像のテイストが完全に一致しているのが素晴らしいところです。

チャットモンチー(chatmonchy)は、2000年に結成し3年前の2018年に解散してしまったガールズバンドです。
しかし、2004年からの3ピースバンド時代が一番お気に入りで、そのメンバーは2011年まででしたので、私的にチャットモンチーは2011年に終わっているという感じです。

特にボーカル兼ギターの橋本絵莉子さんの曲とドラムの高橋久美子さんの詩の組み合わせが最高で、この「シャングリラ」もお二人の作詞作曲です。
その作詞を担当していた高橋さんが2011年に脱退することで、このお二人での楽曲がなくなり、私の中でのチャットモンチーは終わってしまいました...

悲しい話はこれぐらいにして、MVの解説に参りましょう。

このMVの映像的な特徴は、まず最初に楽曲のリズミカルなイントロにあわせて「けんけんぱ」で黄色い雨ガッパをきた3人の女性が躍る...というワケのわからない映像から始まり、その映像が全体の1/3を占めているところにあります。(3:14のうちダンスシーンは1:05とちょうど1/3です)
「けんけんぱ」という女の子の遊びを前面に出すことで、若いガールズバンドのテイストを前面に押し出し、かつ「けんけんぱ」というリズムの遊びとリズミカルな楽曲の組み合わせも秀逸です。
また、上からの俯瞰映像が多用されていることも面白いですね。

色使いも特徴的で、基本は白い背景に対して原色が配されており、メンバー3名がそれぞれ赤、白、紺の服を着て、ダンサーは黄色の雨ガッパといういで立ちとなっています。
白背景ばっかりだと単調になるので、1ヶ所だけ紺背景でボーカルの高橋さんが歌う場面が30秒だけサシ色のように差し込まれています。(ちなみに、その時だけ高橋さんは白地の服を着ています)
しかし、その30秒だけ背景色を変えたとしても、それ以外の場面の色彩的な単調さは払しょくできないはずですが、それでも単調にならずに最後まで観れてしまうのは、楽曲のすばらしさと3人の女性の存在感にあります。

この素晴らしいMVを制作されたのは福居英晃さんという映像作家で、チャットモンチーのMVの多くを手掛けておられます。
この楽曲がリリースされたのは2006年11月ですが、福居さんは同年4月にそれまで勤めておられた事務所を退社しフリーになられています。
独立後間もない作品ということで相当気合を入れて作られたと思うのですが、素晴らしいMVが出来上がり、かつ高い評価も得られたので、本当に良かったと思う次第です。

なお、雨ガッパを着て踊る3人ですが、これはチャットモンチーのメンバーではなく別のダンサーさんです。
このダンスをチャットモンチーの3人が自分自身でも楽しみながら踊っていれば、また違ったテイストのMVに仕上がっていたのではないかとも思っており、少しだけ残念ではあります。
その辺がHALCALIと違うところかな...とも思いますが、そもそもHALCALIはバンドじゃないですね。(急にHALCALIの話を差し込んでしまいましたが、自分自身でも楽しんでいる感の超絶具合は、やっぱりHALCALIってすごいな、と思ってしまいます。HALCALIについては別の連載で語っていますので、ご興味ある方はそちらもご覧ください)

またまた話が飛びますが、雨ガッパでアーティスト自身が出演しているMVとしては、以前この連載でも紹介したSmif-N-Wessunの「Wrekonize」がいい味出しています。

チャットモンチーで一番のヒット曲は、この「シャングリラ」ですが、実は私が一番お気に入りの楽曲は別にあります。
それが次に紹介する、チャットモンチーの「ハナノユメ」です。

3人を前面に出しながらも、楽曲の世界観も打ち出しているMVですね。

実はこのMVは、MVとしてのオススメ度合いは普通なのですが、チャットモンチーの楽曲としては一番のお気に入りなので、無理やり紹介させてもらいました。(決してMVの出来が悪いというワケではありませんので誤解なきように!)
「ハナノユメ」は初期のチャットモンチーの楽曲の中では秀逸で、初々しさとパワフルさが同居しており、何度聴いても飽きない名曲です。

この「ハナノユメ」のMVも「シャングリラ」のMVと同じ福居英晃さんが監督をされています。
「シャングリラ」のMVでは上からの俯瞰の映像が効果的に使われていますが、この「ハナノユメ」のMVでも出だしの部分を含めて上からの俯瞰の映像が何か所か使われており、このMVで取り入れた映像効果を進化させて「シャングリラ」のMVで使われたとも想定もできます。
アーティストともに映像作家も成長されているのかもしれませんね。

なお、この時代のチャットモンチーのプロデュースは元SUPERCARのいしわたり淳治さんがされているのですが、いしわたり淳治さんというと以前にこの連載でも少し話に出させてもらったテレビ番組「関ジャム完全燃SHOW」にちょくちょく出てくる方というのはさておき、私の中では名曲「神様のいうとおり」の作詞を手掛けられた方という位置付けになっています。

この「神様のいうとおり」という楽曲は、以前この連載でも少し触れさせてもらった「ノイタミナ」という深夜アニメ番組の中の「四畳半神話体系」のエンディング曲でもあるのですが、砂原良徳さんの曲といしたり淳治さんの詩、そしてやくしまるえつこさんの歌が超絶すばらしく組み合わさった名曲で、ぜひ皆さんにも聴いていただきたいところです。(やくしまるえつこさんも以前取り上げています

しかし、MVのほうはというと、アニメ「四畳半神話体系」のエンディングアニメーションのテイストのままMV化されているため、悲しいかな単独のMVとしてはなかなか残念な仕上がりとなっています。
楽曲としてはすばらしいいだけに、言葉もありません...

だいぶ話が脱線してしまいましたが、今回の「チャットモンチー特集」はいかがでしたでしょうか?
実は他のガールズバンドも紹介する予定でしたが、ついついチャットモンチーの話で盛り上がってしまいましたので、「日本のガールズバンド特集」から「チャットモンチー特集」に変更してお送りしました。

「シャングリラ」も「ハナノユメ」も10年以上前の楽曲ですが、イイものは時代を超えて素晴らしいので、未体験の方はぜひこの機会に体験してみてください。

ではまた次回に。

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